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dreamcide.

火は紅。

褪せ切った残像を焚く。
19歳になった彼女は今宵も
噎せ返るほどに
真っ白の濃霧を
身体に纏い、
少し歪んだ、鳴っていないはずの
音と揺蕩う。

まだ夢の中の話。
深い藍 で満ちた、
あの夜の空が答えだとしたら
月光、
きっと彼女はあなたに殺されたのだ。

朧気の記憶が 態とらしく
僕の脳内を揺すり
あの消えそうな柔らかい手に
触れた感触を燃やした
窓から射す星影は、
溶かすようにあの子の死体を
あの子の夢とやらを
当然の如く
待ち望んでいたかの様に
伽藍とさせていく

蔓延る空虚の中を
迸る、きみの血液と言葉
僕にとってきみは
ただのあこがれだったの
そういう言葉で
無理やり仕舞っておく事にしたんだっけ

くだらない事を考えている間に
炎が僕の身体を包んでいた。
夢は、色の無い
僕達の墓場。

とうに溺れたきみを
置き去りにすると謳って
都合良く 片隅に残したまんま。
そんな今日も

日は暮れない。

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