印象残欠

 雑多な街並みを歩いていた。修学旅行生であるところの私は班からはぐれ、現地集合を目指して遊園地へと向かっている。
 目標である尖塔が目に見えているのにたどり着けない。小路を千々に折れ曲がりながら近づいてはいるのだが、視点の移動からするとどうも螺旋を描いてゆるやかにしか進んでいないようなのだ。それでもようようたどり着くと、入場口は青く暗い。低い屋根を通る。仲間の姿は見えない。少しさびれてはいるが、人々がめいめい遊んでいるそこは広く高く暗くネオン輝くドームで、やはり小路ひしめく下町なのだった。

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