印象残欠

 百貨店と繋がっている地下街を歩いている。マネキンこそないものの、同じように均質で陰鬱な光景を抜けて、片田舎への汽車に乗った。
 行き先は夜のように彩度のない青空をのぞむ山々だ。ロープウェイに乗ろうとして取り残される。無駄に洒落たホームは底抜けのような構造をしており、いつ落下するかと気が気ではない。ようやくやってきた戻りの汽車に乗った――が、来たところとはまるで違う方向へ行く。よくよく見ればそれは汽車ではなくモノレールで、わたしはいやに三角錐めいたビルの建ち並ぶ都会に運ばれていくのだった。

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