言葉の魔術師：トム・ホーバス監督の「ビリーブ」哲学
日本の男子バスケットボールチームは、世界ランキング36位の地位にあった際に、64位のカーボベルデとの試合で見事な勝利を収め、アジアの代表として最も上位に躍り出ました。これにより、2024年のパリオリンピックへの出場権を手中に収めました。なお、この自力でのオリンピック出場は1976年のモントリオールオリンピック以来、実に48年ぶりの快挙であり、団体球技部門での出場権確定はパリオリンピックの中で最初でした。
トム・ホーバス監督は試合後、特に緊迫した第4クオーターについて「非常に厳しかったが、選手たちは粘り強く戦った」と選手たちの奮闘を称賛しました。ホーバス監督は、「ビリーブ（Believe：信じること）」という言葉をチームのモットーとして掲げ、選手たちに常に信じ続ける心の大切さを伝えてきました。彼は、その精神を持たなければ、今回のような大きな成果は得られないと力説しています。
ホーバス監督は「言葉の魔術師」と称されるだけのことはあり、彼の指導力と、彼が伝えるメッセージの力強さが、チームを強化し、パリ五輪への切符獲得の大きな要因となりました。彼は前回の2021年東京五輪でも、身体能力で劣るとされる女子日本代表を銀メダルへと導きました。その経験を生かし、今度は男子チームをオリンピックへと導いたのです。
心理学的に見れば、ホーバス監督の「ビリーブ」という言葉は、選手たちの自己効力感を高める効果があったと言えます。自己効力感とは、個人が特定の状況で成功するための自分の能力を信じる気持ちのことを指します。彼の強いメッセージは、選手たちの自信を高め、困難な状況でも挫けずに前進する力となったのでしょう。
このアプローチは、女子チームの監督時代にも効果を発揮していました。高田真希選手は、ホーバス監督の「信じる」という言葉の影響について、それがチームの結果に大きく影響したと振り返っています。このような信じる気持ちは、選手たちのモチベーションを高め、困難を乗り越える鍵となったのです。
総じて、トム・ホーバス監督の戦術的な指導と、選手たちの心理をしっかりとつかむ指導法が、日本男子バスケットボールチームをパリオリンピックへと導く大きな要因となったと言えるでしょう。
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