ネガティブな思考と感情の悪循環

こんにちは。メンタルウェルネスあおぞらです。

悩みや苦しみは、一時的かつ一方向的なものではなく、時には互いに影響し合い、さらに強め合う悪循環として現れます。

例えば、自分がダメだと思ってしまい(考え方)、過度な悲しみや絶望感(感情)を感じていると、その感情はますます自分の考え方を裏付け、「こんなことで落ち込んでしまう自分はやっぱり駄目な人間なんだ」といった確信に変わっていきます。

このようなループが生じるメカニズムを理解するために、神経科学の観点からの説明が役立ちます。例えば、人が落ち込んだり、不安や憂鬱な気分を感じているときは、脳の一部である扁桃体が活発化します。扁桃体は他の部位と協力して、ネガティブな記憶を思い出させたり、ネガティブなことにより強く注意を向けさせたりします。これにより、ネガティブな思考や注意が強まり、悪循環に陥りやすくなります。

重要なのは、扁桃体がネガティブな側面に限定されないことを理解することです。そのため、ポジティブな経験や感情を持つような行動を経験することが大切になります。そうすることで、扁桃体は他の部位と協力してポジティブな感情や記憶、注意を引き起こすようになります。

また、扁桃体は前頭前皮質との関係で調整されます。前頭前皮質は感情の制御や行動の制御の調整を担う領域です。
慢性的なストレスが脳を一時的に変え、ネガティブな経験を増幅させることがあります。扁桃体が活発化しすぎて前頭前皮質を制御し、注意を狭めているのです。
不安が強い時には、脅威的な状況とは関係のないポジティブな経験をすることで、注意の幅を広げ、扁桃体から前頭前皮質の制御を取り戻すことができます。

ポジティブな経験や感情を促進するための具体的な方法は人によって異なります。趣味に没頭したり、運動したり、ポジティブな友人との時間を増やしたり、一人で好きな本を読んだり、泣ける映画を見たりすることもあるでしょう。これらの活動を通じて、扁桃体がポジティブな感情や記憶、注意により多くの関心を払うようになり、ネガティブなループを打破するのに役立ちます。

こうして、メンタルヘルスの重要性を理解し、そのメカニズムを知ることで、ポジティブな経験や感情を育むことが、悪循環を断ち切り、心の健康を促進する鍵となります。皆さんのお仕事においても、自己ケアや患者・利用者のケアにおいても、この知識が有益であることを願っています。どんな小さな一歩も、大きな変化へのスタートです。

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