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Clubhouseについてまとめてみた

本稿執筆時点(2021/1/30)では、やや世間で話題になっている「Clubhouse」について、ざっと眺めてみた雑感なども挟みつつ、まとめてみようと思います。

Clubhouseとは?

「Clubhouse」とは、単純に説明すればモバイル端末向けのオーディオ・ソーシャルプラットフォームです。「オーディオ」とわざわざ冠しているのは、これまで普及しているSNSや動画配信サイトのうように、コンテンツをアップロードすることもできなければ、テキストのチャットやコメントをすることもできないからです。

Clubhouse内では「Room」と呼ばれるトーク用の部屋を作り、そこでオーディオのみでコミュニケーションを行います。Room内では部屋を作ったメンバーがそのRoomを仕切るモデレーターとなり、単独で音声を流したり、あるいは、Roomに「Co-host」となるモデレーターを呼んで一緒にトークを行うことができます。

又、Room内にやってきた他のユーザーをトークに招待して一緒に話すことも可能です。Roomへの来訪者は基本的に自分からトークに参加できませんので、モデレーターに招待されるか、手をあげて招待を希望する必要があります。

具体的な使い方などについては、後述します。

なぜ話題になったのか?

SNSと言えば、facebookにTwitter、InstagramやTwitchなど、いくつかの巨大プラットフォームが存在していて、およそ考えられる要素はそれぞれのSNSで盛り込まれていますので、新たなソーシャルネットワーク的なプラットフォームの参入はなかなか難しい現在です。そんな中、なぜオーディオオンリーのソーシャルアプリが話題になったのでしょう。

一つの理由としては、ベンチャーキャピタルの大手「Andreessen Horowitz」によるバックアップが大きいでしょう。Andreessen Horowitzについての説明は省略しますが、今回の投資額は、Andreessen Horowitzが主導しおよそ1億ドルの調達となりました。この巨大の投資額は、このサービスに10億ドルの価値があるからだとされています。

この金額もさることながら(現時点ではベータテスト段階とされているため)完全招待制によるメンバーシップということもあり、他のSNSなどで小出しに流れるClubhouseの噂の拡散によって、人々の関心を惹きつけ、「招待して欲しい」と思わせるプロモーションへとつながり、この数日で急進するトピックとなりました。

又、特にサービスインしたばかりの日本では、ネット上のインフルエンサー、芸能人、文化人、あるいは、技術系界隈を中心に、割と名のしれた人々がファーストユーザーとして招待されたため、まだ招待されていない人たちの好奇心をより煽ることへとつながります。

Clubhouseのビジョン

Clubhouseは、先述のAndreessen Horowitzの大きな後押しがあったわけですが、そのAndreessen Horowitzによる1月24日の声明によれば、「Clubhouseは、ただ消費するためのものになった既存のSNSやネットのコンテンツを、人々がお互いに交流し、クリエイターに力を与えるもに再発明するものである」と述べられています(Clubhouse could not have come at a better time for social media. It reinvents the category in all the right ways, from the content consumption experience to the way people engage each other, while giving power to its creators.)。その他、Clubhouseに投資するに至った経緯などが書かれていますので、英語がわかる方は上記の声明を一読すると良いでしょう。

もちろんVCの言うことですから、ビジョンについてはある程度は大きなことを言う必要がありますが、実際にClubhouseを体験して見ると、確かに彼らの言っていることや、Clubhouse開発陣の言っていることがなんとなく見えてくるようになりました。

私自身、「今どき音だけのSNS?」とか「インターフェースも簡素過ぎてつまらなそう」などと思っていたのですが、それが逆にClubhouseに「はまる」要素であることに気付かされます。その理由については、使い方と共に説明していきます。

Clubhouseの入会方法

Clubhouseは現時点ではiOS / iPad OSのみのリリースです。

先の「Andreessen Horowitz」のサイトによれば、開発者の一人はGoogle MapsやAndroidの開発に携わっていた人(Rohan Seth, a seasoned entrepreneur and technical genius who spent years at Google working on Android and Maps)のようですので、Android版など同時に出せそうなものですが、Android版が後回しにされている理由は、開発スケジュールの問題かもしれません。

もしくは、iPhoneは日本以外では割と高価なものですので(日本は割賦販売の購入が多く「高い」と思われていないため)、安価であるAndroid端末のユーザーが流れてくると、複数端末でのログインなどを含め、Clubhouse内が荒らされてしまうことを危惧してのことかもしれません。

いずれにせよ現時点ではSMSでの認証が必要になるため、電話番号を持ったiPhoneユーザーに限られます(電話番号必須という点もユーザーのクオリティーを担保する策の一つなのかと思います)。

入会の話に戻しますが、まずはApp Storeからアプリをダウンロード、インストールし、電話番号を入力して送られてくるSMSから番号で認証、その後、アカウント名(Twitterなどの@〜のようなもの)を入力し入会申請します。

本稿執筆時点ではベータテストフェーズとなっていますので、Clubhouseからの入会許可を待つか、既に入会しているメンバーから招待されるのを待たなくてはなりません。あるいは、既にメンバーである場合、連携しているSNSのフォロワーが申請した際、ホーム画面に申請待ちのフォロワーを「入れてあげる(Let them in)」表示が出るため、招待なしに入会できるケースもあります。

Clubhouseの使い方

初回起動〜ホーム画面

Clubhouseをインストールすると、アフロアメリカンな男性の顔写真のアイコンが表示されます。この男性はBomani Xというジャズギタリストだそうですが、この方のインタビューは他のサイトにありましたので、興味ある方はそちらをご一読ください。

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起動すると他のSNSと同様、フォローすべきメンバーや、既存メンバーで自分とつながりのある人の一覧、関心のあるトピックの選択画面などが表示され、ようやくホーム画面に辿り着きます。

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画面は非常にシンプルで、左上から検索、ユーザー招待、Roomのスケジュール、通知、マイページのアイコンが表示され、その下には配信中のRoomが表示されます。一番下にはRoomのスタートボタン、右下は自分のフォロワーのステータスを表示するためのボタンがあります。

Roomへの参加

まずは適当なRoomに入ってどんなことをしているか覗いてみます。

Roomに入ると、冒頭でも触れた「モデレーター」と呼ばれる部屋のホストと、一緒に部屋を仕切るホストがアイコンで表示され、入室と同時に音が流れます。

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名前に緑の丸印がついている方がモデレーターで、トークがミュートされている場合はアイコンの右下に斜線入りの赤いアイコンが表示されます。

ユーザーリストは上から「Moderator」「Followed by speakers」「Others in the room」と分かれており、ホストであるモデレーター、モデレーターもしくはトーク中の方にフォローされている人、それ以外の人、という分類で順に表示されます。

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トークはモデレーターだけが可能になりますが、モデレーターがRoom内の人を招待することで、入室者をトークに参加させることができます。

あるいは、右下に表示されている手のひらアイコンをタップすると「挙手」したことになり、モデレーターに許可されればトークに参加することができます。

挙手ボタンの左にある「+」ボタンは、自分のフォロワーを今いる部屋に呼びためのボタンです。Roomの話が面白いから一緒に聞いてほしい時などに友達を呼ぶための機能です。

左下の「Leave quietly」をタップするとRoomを退出できます。基本的に一つのRoomにしか入ることができませんので、ホーム画面から他の部屋に入ると、それまで入っていた部屋からは自動的に退出することになります。

Roomに滞在しながら、他のRoomを探す場合は、左上の「All rooms」をタップすると、現在のRoomが下に閉じ、他の部屋を探すことができます。

興味が無く、何度も表示されてしまうRoomは右スワイプすると「Hide」と表示され、タップすると非表示となります。

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プロフィール編集/設定

プロフィールの編集やアプリの設定は、ホーム画面右上の自分のアイコンからマイページを開きます。

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写真を変更する場合は、画像部分をタップ、名前を変更する場合は名前の部分をタップします。私の場合「Mental Position (Keiichi Hasegawa)」と表示されていますが、これは「Mental Position」がAlias、つまり芸名のようなものを差し、Aliasを設定している場合、本名は括弧書きで表示されます。ちなみに名前は一度しか変更できません。これは初回設定時に適当に入力したものを直したい場合を考慮し、一度だけの変更としているのでしょう。又、本名(ないしは偽名だとしても固定の名前)で利用すべきとのポリシーを反映しての設定だと思います。

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その他の設定は右上の歯車アイコンをタップします。一番上は通知関連(頻度、トレンド部屋の通知、通知停止)、次が関心のあるトピックの選択、その下がはFAQやプライバシーポリシーなどへのリンク、そして、TwitterとInstagramとの連携となります。スクリーンショットには表示されていませんが、さらにスクロールすると「Log out」ボタンが表示されます。

TwitterやInstagramは、フォロワーやフォローしている人のリストを参照しますが「Clubhouseを密かにやりたい」という人は接続しない方が良いでしょう。ただ、Clubhouseの性質的には、連携している方が楽しめるはずです。

通知の確認

ホーム画面上段の通知アイコンをタップすると「ACTIVITY」がリスト表示されます。連携したSNSで繋がっている人が入会したり、自分がフォローされたり、あるいは、フォローしている人がイベント(Roomの予定)を入れたりすると通知されます。尚、連携したSNSで繋がっている人の入会通知で「Follow」も即座にできますが「Not yet, thx!」をタップすると見送ることができます。

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入会招待

入会すると2枠の招待枠が付与されます。ホーム画面上段の招待アイコンをタップすると、自分のアドレス帳を参照して候補が一覧されます。「Invite」ボタンをタップすると招待リンクを送ることができます。尚、招待枠はClubhouse内の活動が「活発」と見做されると枠が増えるようです。

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イベントスケジュール

ホーム画面上段のカレンダーアイコンをタップすると、イベントスケジュールが表示されます。「イベント」という名称となっていますが、Roomが開かれる予定のことを「イベント」と呼びます。リスト上段の「UPCOMING FOR YOU」は設定内で選択した「INTEREST(興味関心)」から選ばれたイベント一覧です。タップすると、「All Upcoming(全ての予定)」「My Events(自分のイベント)」に切り替えることができます。参加したいRoom右上のベルアイコンをタップすると、Room主催者の開催するイベントをフォローすることができます。

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メンバー・Clubの検索

他のメンバーを検索する場合は、ホーム画面左上の検索アイコンをタップします。

キーワード入力欄に名前などを入力すると、メンバーもしくはClubが検索できます。Clubの検索とは、あるトピックで作成されたClubのことで、これはRoomとは別に存在します。Clubの作成は、Roomを3回以上開き、ユーザーを招待するなどの活動があると作成が許可され、FAQのリンクから申請ができるようになります。これは審査があるため、どんなClubでも作成できるわけではないようです。

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検索画面ではキーワード入力欄の下に、フォローの候補(SNS連携からの候補)とテーマ別の検索メニューが表示されます。テーマ別のページへ入ると、そのテーマでのフォローすべき人の一覧、テーマに属するClubや、さらに細かいカテゴリーの選択オプションが表示されます。

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Roomを開く

Roomはホーム画面下段の「+ Start a room」ボタンから行います。

ボタンをタップすると、メニューがスライドアップします。まずは、右上の「Add a Topic」からRoomの見出しを入力します。その後、中段の三つのメニューからRoomのタイプを選択します。「Open」は文字通り全てのメンバー向け、「Social」は自分や参加モデレーターをフォローしているメンバーのみ、「Closed」は選択した限られたメンバーのみのRoomです。

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「Let's go」をタップすると、Roomを開くことができます。

フォロワーステータス

ホーム画面右下のアイコンをタップ、または、画面右端をスワイプすると、フォロワーの一覧が表示されます。他のメッセンジャー系サービスと同様に、Onlineであるかどうか、又、現在参加中のRoom名が表示されます(以下のスクリーンショットは、ぼかしているのでわかりづらいですが)。右端の「+ Room」ボタンは、タップすることで、即座にRoomを開き、対象メンバーを招待することができます。

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大まかな使い方は以上です。

オーディオに特化しているということもあり、非常にシンプルですが、なぜこれが利用者を繋ぎ止めているのでしょうか?使ってみた雑感をお話ししてみたいと思います。

Clubhouseの良い点


様々な人が気軽に交流できる

既存のSNSでも有名人やインフルエンサーと呼ばれる人をフォローすることができますが、情報の断片であったり、あるいは歪曲された情報など、インターネットやSNSの利用者が増えれば増えるほど、人の発信する情報の質や、情報との関わりが劣化していきました。

先述したAndreessen Horowitzのサイトでも言われているように、現在のインターネットコンテンツは「消費する体験」が主体になっており、「人との関わり合い方を再発明する」と言っているのも、実際にClubhouseを使ってみると理解できる部分はあります。

特にオーディオであるが故に生の声を発する必要があり、現時点では、ソーシャルプラットフォームとして黎明期であることから、参加している有名人などが、良い意味で「カッコつけない素の状態」で参加しているように見えます。それ故に、Roomに参加している人は、加工されたSNSでの投稿と違い、より生の情報で関わることができます。

Roomによってはトークに参加することは難しいですが、突発的にメンバーが有名人のトークに参加するチャンスもあり、今の時点では、それも気軽に発生していて、なかなか面白い状況が生まれています。

もちろん、有名人で無くとも、自分の業界でありながら中々交流が持てなかった人、他業種や、今まで関心のなかった分野の人とも気軽に関わることができます。

無責任な発言や勝手なコメントがしづらい

声で参加しなくてはいけない性質上、又、電話番号や名前を入力しての参加が必須である以上、SNSやYouTubeなどのコメント欄のように、いわゆる「クソリプ」的なことを発信しづらい環境もClubhouseの良い点です。

又、「いいね」ボタンやコメントでのリアクションもできませんので、意見を表明したい場合は「挙手」してトークに参加する必要があります。つまり、会議などで手を挙げないと意見が主張できないことと同じですので、「他に意見のある方いますか?」と言われて下を向いてしまうような人には向かないかもしれません。

故に「クソリプ」的なコメントで荒らすようなことを回避しやすいシステムとなっています(少なくとも今のところは)。

無駄な緊張感が無く気軽にトーク/入室できる

オーディオオンリー故に、話したい時に話せばよく、入室したメンバーとの関わりを過剰に気にしなくても良いので、気軽にトークしたり入室したりするのは、このプラットフォームを気負いなく使うメリットの一つです。

ただし、Clubhouseのガイドラインにも書かれているように、このプラットフォームの役割は「意味のある本当の関わり合いを促進する(Foster meaningful and genuine connections. This is what Clubhouse is all about.)」ことですので、何かしらのテーマでトークを行う場合には、入室者との関わりを大事にすることも必要です。

とは言え、無言オンリーのRoomがあったり、逆の意味での緊張感(一応人がいるけれど、さほど気にしなくて良い程度の緊張感)のようなものを楽しんでいる人もいるようです。

トークのシステムが秀逸

モデレーターがトーク参加者を突発的に招待できたり、入室者の挙手によってトークに参加させたり、といったシステムは、単純なようでよくできています。

先述したように、自分の意見を言いたい場合は、声で、しかも、挙手しないと発信できません。沢山の入室者がいるRoomなどは、きっと自分の意見が言いたくてうずうずしている人が多いんじゃ無いかと思います(日本人の性格上、積極的に挙手できる人は少ないようですが)。

気軽にトークに参加する機会があることで、有名な方と意見交換もできますし、そうした方とつながるチャンスも生まれます。

活躍の場を失った人が行動できる場所にも

コロナ禍で活動の場を失ったミュージシャンなど、エンタメ界隈の人はYouTubeなりSNSで自分の活動の場を広げていますが、それでも飽和状態で新規参入が難しい状況です。

海外の有名人や日本の芸能人が参加したRoomなども見て回りましたが、既存のメディアとは違うファンとの関わりや、層の開拓ができそうな可能性を感じました。

社会や政治について割と真面目に意見交換できる

他のメディアがダメというわけではありませんが、昨今の既存メディアでは偏向傾向が強く、真面目な意見の主張が煽り合いや炎上につながることも多いように感じます。

現時点で開かれているRoomを眺めていると、オリンピック問題であったり、最近であれば、GameStop株で話題のヘッジファンドvs個人トレーダーの問題など、様々なトピックで真面目に意見交換しているRoomを見つけることができます。

ネット好きな河野太郎大臣も早速Roomに参加して質問を受けたりしていました。

まとめ

Clubhouseを礼賛するような文章になってしまいましたが、まだスタートアップして間もないですし、日本でのサービスも初期の初期の段階ですので、今後、話題の熱も冷めて廃れていく可能性もあります。ただ、使用する前は少し馬鹿にしていたものの、いざ使ってみると、色々な良さが見つかりましたので、このnoteにまとめてみました。

まだ招待性で、かつ、Android非対応など制限はありますが、参加する機会があれば、このnoteを参考に楽しんでいただければ幸いです(私はClubhouseの回し者ではありません)。

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