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オッサンと呼ばれて

これまでの「【往復書簡】人のハナシ聞いてる?」は?(口調は海外連続ドラマ風で(笑い)

先手は小生こと【めけめけ】、後手はひまわりのきみこと【松永ねる】の往復書簡。小生の2手目です。
小生のテーマ:美術館鑑賞の感想戦? からどれだけ脱線できるか。



拝啓 ひまわりのきみ

 桜前線は日向から日陰に移り、桜の幹にも緑が見受けられ、かの花は遅かろうと早かろうと、刹那的であり、それが人々を魅了するのでしょうね。

 桜咲く 浮かれし人の あさましさ
 酒におぼれて 泥船沈む

 泥酔とはよく言ったもので、酒を飲みすぎて身を崩すさまはかくのごとしと歌ってみたものの、浮かれたく気分でいる人のほうがむしろ精神的には芳しく、おいしいものを「うまい」と言い、可愛いらしい縫いぐるみに「こんな所でどうしうした」と愛で、小生を「オッサン」と呼ぶひまわりのきみの屈託ないを通り越して剛毅な振る舞いに焦がれるばかりです。

 まぁ、だからこその天の配慮なのだろうか。もしもお酒との付き合いが得意であれば、泥の船どころかそのまま池に飛び込んでいただろう「ひまわりのきみ酒豪版」を思い浮かべつつ、小生の書簡に返事をいただけたことをうれしく思いながら筆を進めております。

 さて、ネタばらしとなりますが、今回、往復書簡をするにあたり、果たしてどうキャラを作るべきかと二晩考え、自分のことを『小生』と呼ぶのはいい感じに歳をとった堅物なりに、ユーモアと教養のある老紳士を演じようと試みたのですが、そのような人物は「オッサン」とは呼ばれへんやろなと。
 あかん、もうキャラ崩れてもうたわ。
 まぁ、着慣れない服は堅苦しゅうてアカンから、もうまんまで行こう思うたんやけど、それも芸がないっちゅうか、オモロないやんかぁ。そやからもうしばらく「小生キャラ」やってみようと思うネンなぁ。
 ほなぁ、いくでぇ。

 SOMPO美術館で開催されている「北欧の神秘展」をひまわりのきみと鑑賞したのち、小生はいろいろと調べてみたのです。一般的にいうゲルマンの北欧神話――ラグナロクやニーベルングの指環の物語は様々な映画、コミック、アニメの元ネタになっており、全知全能のオーディンや雷神トール、うらぎりの神ロキ、英雄ジークフリードの名前は何度となく目にしたことがあるし、トロルやスレイプニルといった魔獣、神獣の名前もよく知られているかと拝察する。

 しかしながら今回の出典はフィンランドで19世紀にまとめられた叙事詩「カレワラ」を描いたものが多く展示されており、は今まで耳にしたことがない神話との出会いは、小生の好奇心を大いに刺激するものでした。

 そこに登場する「サンポ」と呼ばれるなんでも作れてしまう器具を巡り、それに関わる人々の運命を大きく変えていくさまが描かれています。永井豪原作の「キューティーハニー」で言えば「空中元素固定装置」ということになるのですが、或いは桂正和の「ウイングマン」に登場する「ドリームノート」のようなものである可能性もある。
 実際、「サンポ」がどのような形状でどう使うかはあまり明確な記述がないらしいのですが、造ったのが鍛冶屋だったので、おそらく器具であり、持ち運びができるものだったと推察されます。

 これは、もしかして、宇宙人の仕業か?
 或いは未来人か?
 スタートレックのレプリケーターのようなエネルギー変換技術なのか
 或いは錬金術なのか

 なぞは深まるばかりだと思うのは小生だけだろうか。

 小生はそうした着想をもとに日常が非日常に変わる物語を読むこと、書くことに没入しているときがもっとも愉しく、時間が過ぎるのも忘れてしまうほどですが、ひまわりのきみには、そういう夢中になる瞬間というのはあるのだろうか。

 それはさておき、ひまわりのきみは、ヒマワリの種を食べたことがあるのだろうか。あれはビールのつまみにとてもあう。ゴッホの「ひまわり」を観た週末にヒマワリの種を知人にふるまわれることなど、果たしてどれだけの人が経験しているのだろうか。

 よしんばそれがただの偶然であったとしても、小生は今回の美術館巡りに至る紆余曲折を10年前の出会いから類推すると「ただ事ではない」と思えてならないのです。
 それは浜松の楽器博物館へと続く道で、そこでまた何が起きることに期待しつつ、スタバの中のお姉さんにコーヒーを入れている間に話し込まれるという小生の「このおっさん、大丈夫だ感」の謎は、さらに深まるばかりなのです。

 では、コーヒーをお代わりするようにまたお会いできることを楽しみにしております。

                               敬具

追伸
アーシャのアトリエ、一年目にたどり着くまでに5回やり直しました。攻略を見ずにやるのは地図を持たずに知らない土地を旅するようでいとおかし。


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