見出し画像

"データアナリストは理系文系で分けられる職種ではない" メルカリのインターンを通して気付いたこと

はじめに

初めまして、メルカリ Analyticsチームでインターンとして働いていたshino.sです。この記事では、インターンで行ったこと・学んだことを紹介します。データアナリストという職業は一見して「理系の職業」だと思っていたのですが、決してそうではないと思うようになった経緯や背景をブログを通して伝えられればと思います。データアナリストの仕事に興味がある方、特に文系学生で興味がある方に読んでいただけると嬉しいです。

文系学生がデータアナリストのインターンに応募した背景

私は現在、大学院で教育経済の研究をしています。研究内容としては、どういった環境の子どもがより成績が良いのか、より長く就学するかのような分析を定量分析メインで行っています。

メルカリのインターン開始前は、長期インターンの経験はあるものの、データ分析のインターン経験はありませんでした。大学院で定量分析はしていましたが、統計的根拠に基づいた定量分析スキルには力不足を感じていました。そんな私がデータアナリストのインターンに参加した経緯をお伝えします。

今年の春頃、自身の研究で使う定量分析スキルを上げるために重点的に勉強を始めました。文献調査や様々な方にお話を聞いた際に、同じ数値でも解釈により結果(活用の度合い)が大きく異なってくること、それに関する私の知識の甘さを実感したためです。同時期に就活も意識し出したところで、今身に付けているスキルを少しでも活かしたいと思い、将来的に分析の仕事に就くということに興味が出始めました。

ただ、不安はたくさんありました。具体的には、

  1. そもそもビジネスでの分析の仕事は何をするのかわからない

  2. 文系の私でも価値を発揮できる自信がない

  3. 私自身が共感できる事業をしているところはあるかわからない

の3点でモヤモヤしていました。

そのときにちょうどメルカリがデータアナリストのインターン募集をしており、応募しました。

メルカリのインターンに決めたのは、データアナリストとしての専門性を持った方々と仕事ができること、分析した結果を事業を通してすぐに市場に出すことができることに加えて、メルカリのミッションやバリューが私の価値観と似通っていたためワクワクできたという面が大きいです。

インターンで行なった分析

メルカリのインターンでは社員の方と同様にチームに配属されます。私は検索チームに所属し、「同じキーワードを繰り返して検索するお客さまの行動」(以下「繰り返し検索」と呼びます)の分析を2ヶ月かけて取り組みました。

背景

みなさんは、メルカリで何か欲しいものがあるとき、同じ商品を何回も検索した経験はありませんか。これが繰り返し検索です。

メルカリでは毎日新しい商品が出品されるため、同じ商品を調べても昨日と今日では出てくる結果が変わります。だからこそ、「お客さまは自分が欲しい商品がより良い状態や価格で出品されていないか確認するために、繰り返し検索をしている」と考えています。この仮説自体はこれまでも社内で認識されていました。

しかし、実際にどの程度のお客さまが繰り返し検索を行うのか、なぜ繰り返し検索が行われるのか、定量的にも定性的にも分析がされていませんでした。そのため、この検索行動や動機を理解をすることで、お客さまがより検索がしやすくなる機能的示唆を得ることを分析の目的としました。

分析内容・結果

全体の流れとして、まずはログ分析でお客さまの行動を定量的に理解し、インタビュー(社内インタビュー)で動機を探り、発見したインサイトを元に機能改善を提案する、という流れを取りました。

インターンで行なった分析の流れ

ログ分析の結果から(数値は割愛しますが)、メルカリで検索するお客さまの多くが繰り返し検索をしているということがわかりました。また、繰り返し検索における機能の使われ方や課題の仮説が見えてきました。

続いて、なぜお客さまが繰り返し分析をするのかを知るために社内インタビューを行いました。ログ分析では行動を取った人の割合はわかるものの、その行動をとった理由まではわからないため、インタビューという手法を選択しました。

インタビューやログ分析の結果をまとめると、繰り返し検索には探している商品の違いにより2つの検索パターンに分けられるという仮説が見えてきました。

この結果を元に、それぞれのパターンにおける課題を抽出し、どちらの繰り返し検索のパターンのニーズも逃さないような機能改善案を複数出しました。各案に対し、実現可能性や実装した際のインパクトで評価を行い、最も評価が高かった「検索画面における"保存した検索条件"の表示方法の変更」の提案をしました。

分析に対する評価

提案後、プロダクトマネージャーの方からは、ぜひこの機能を試してみようというお言葉をいただけました。また、検索チームでは、定量と定性の両方のアプローチで分析を進める手法はあまりされていなかったので、そこに挑戦し納得できるインサイトを出せたことは周りからも自分としても評価できるポイントでした。心残りとしては、この機能で本当にお客さまの体験向上ができているのか、A/Bテストを行なうところまではいけなかったことです。A/Bテストを行なえばこの施策に対するお客さまからの評価がわかるので、意味のある分析ができたかフィードバックを得ることができます。

インターンで活かせたスキル

メルカリのインターンをするまでは、データアナリストは数値を追い、数値やプログラミングに強いことが一番求められるという印象がありました。しかし、実際にインターンを行う上で、文系の私でも思いがけず活かすことができた経験やスキルをできるだけ具体的にまとめました。

①英語力
私が分析に携わったチームではプロダクトマネージャーやエンジニアを中心に非日本語話者の方が多かったため、発表を含めて英語を使う機会が多かったです。私自身、様々なバックグラウンドを持つ方々と関わることが好きで、英語でのコミュニケーションや発表は自分の英語力を上げるとても良い機会でした。

②可視化力
データアナリストとして、数値を出すことや数値の解釈はもちろん大事ですが、分析結果を実際のプロダクトに落とし込むには関係各所に分析結果をきちんと伝え、活かしてもらうことが必要不可欠でした。これまでのインターンや研究で数値をビジュアル化したり、複雑なことをわかりやすく資料に落とし込んだりした経験が役に立ちました。

③助けを求める力
インターンでは分析の進め方といった概念的なところから、必要なクエリの書き方といった具体的なところまでわからないことだらけでした。自分で調べたり考え続けても埒が明かないことも多いので、積極的に質問していきました。私は自分がわからないという自覚があったからこそ、わからないことに恥じらいを持たずに質問をできていたことは良かったと思います。ただ、わからないときにどう動くかに関して反省もあるので次の項でまとめています。

インターンで必要とされたこと

インターンを行う上で必要とされたこと、特に自分で不足を感じている部分に関してまとめました。

①ハードスキル(統計の知識、SQL)
統計の知識もSQLも基本を身に付けた上でその後は適宜学び直していくことが重要だと感じました。特に統計の知識に関しては、今回のインターンで具体的に必要な機会はありませんでしたが、他のチームの方の業務を見ているとやはり統計知識が必要になる面も多そうでした。ただ入社後に勉強を積み重ねることで知識をつけている方もいらっしゃったので、現状での知識量やスキルより勉強する気概が重要だと感じました。

②質問力
前項で私は助けを求める力が必要と書きました。しかし、私自身質問の仕方に反省があるので記載します。インターン当初私は、「〇〇はどうすればいいですか?」といった漠然とした答えを求める質問をしていました。しかし実際はやり方は何通りもあったりしますし、そもそもこの聞き方では自走力が付きづらいです。メルカリには知りたいことが大体どこかに資料として残っているので、「〇〇に関する資料はありますか?」といった聞き方や、「自分はこう思うけど他の視点はあるか」など、できるだけ相手が答えやすい質問をするように意識していきました。

③優先順位をつける力
インターン当初は最初に決めた計画にそって全て行なうという意識が強かったですが、その結果重要なことに避ける時間が減ってしまうことがありました。優先されないことには時間をかけないという良い意味での諦めも必要だと感じました。

分析以外でインターン期間中に取り組んだこと

メルカリのインターン期間中にはタスク以外にも様々なことに取り組みました。

①色んな方との1on1ミーティング
インターン期間中、色々な方に1on1をお願いし、20名弱の社員の方とお話しする機会をいただけました。Analyticsチームの方だけでなく、違う職種やSouzoh(グループ会社)の方にも1on1をお願いしたら快く受けてくださいました。お忙しい中時間を割いていただいて本当にありがたい限りです。キャリア選択の中で多くの方に共通していたことは、その人にとって完璧にマッチする会社を探すというより、選択をする時点での経験やスキルセットでマッチする選択をしてることが多かったということです。メルカリは中途入社の方も多いだけに人により様々なストーリーを持っていて、今後の進路を考えていく上で参考になりました。

②統計勉強会
私は統計的知識に自信がなかったので、自分で勉強したことを発表しフィードバックをもらう機会をいただきました。自分で調べて発表すること私自身の学びも深まり、また周りの方にも復習や疑問点のディスカッションのきっかけにもなるのでこの取り組みはwin-winであったと思います。

文系学生の視点から見たデータアナリスト

私はメルカリでインターンをするまで、データアナリストは理系がほとんどで数値が絶対というような印象がありました。しかし、Analyticsのチームの中には文系出身の方も多くいました。理系文系に関わらず、みなさんに共通していたのは「知らない分析方法を常にインプットし続ける学ぶ意欲」と「事象の背景を深堀りする論理的思考力」だと感じました。このことから、データアナリストは理系文系で分けられる職種ではないことに気づきました。

また、文系にしろ理系にしろみなさんそれぞれ自身の強みを持っていることが印象的でした。例えば理系の方なら統計的知識が強みになりますし、文系の方でもインタビューに強い方や周囲の人を巻き込む力が強い方など様々でした。なので、一番大事なのは理系文系ではなく自分だからこそ出せる強みを見つけていくことだと気づきました。

色々書きましたが、何よりもお伝えしたいのはインターンがとても楽しかったということです。インターン期間中には、Analyticsチームの方、1on1してくださった方、インタビューを受けてくれた方々など多くの方に支えていただきました。みなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。インターン前は不安だらけで、インターン期間中も自分にとってはストレッチなことが多かったですが挑戦できてとても良かったです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?