Merge Labo 山本 篤

●大阪芸術大学解剖学非常勤講師 ●(一社)日本音楽家機能解剖学指導者協会代表理事 ▶音…

Merge Labo 山本 篤

●大阪芸術大学解剖学非常勤講師 ●(一社)日本音楽家機能解剖学指導者協会代表理事 ▶音楽家の方々に 演奏時の身体のつくりと動きを解りやすくお伝えしています。

最近の記事

友達の”個性"

先の投稿で、 音楽家が演奏をする時の 「身体の動きの”連動”」を 「友達」と称してみました。 ところで、リアルの「友達」は 色々な”個性"を持っていますよね。 ・休日に一緒に笑い転げたい友達 ・深夜に相談できる気のおけない友達 ・研ぎ澄ました個性が際立つ友達 etc. 色々な”個性”をもつ友達が あなたを活かしてくれています。 さて、そんな友達の”個性”ですが、 「身体の動きの”連動"=友達」にも “個性" がとっても重要になります。 友達の“個性”の集まりが

    • ✕連動→◯友達

      先の投稿で 連動なんて書いちゃいましたが、 「だからScienceはArtに不要なんだよ…」 と仰られるお声が 聞こえてきました(笑) 訂正です!友達です! 自然と集まる仲間です! ほら、仲間って 何も言わずとも集まりますよね。 同じ方向を向いていたり 同じ目的を持っていたり なぜか意識せずとも 自然と集まっている。 この自然さに 身体屋は見とれてしまうのです。 例えば、そうですね、 息を吸う時に ・視線が少し空を向いたり ・口元がふっと緩んだり ・うなじに力強

      • 演奏と連動

        身体屋の視点から 演奏中の音楽家を見ると、 全身の美しい動きが 気になって仕方がない。 これはこれで 目の前の音楽家の方には 失礼な事だなと我に返るのだが、 いかんせん気になってしまう。 さて、一度そのような視点が すっかり腰を据えてしまったのなら もう仕方が無い。 奏でられる音楽に身を任せて 全身の動きの妙を楽しませて頂く。 しかしどうだろう… 優れた音楽を奏でる方は すべからく共通している事がある。 それは全身の 見事なまでの連動だ。 なぁに、 身体屋が言う

        • Medical-4. 胸腔体積の増加

          前回の記事では、 胸腔が閉鎖空間であることは、 呼吸を考えるにあたり 重要な概念であるにも関わらず、 音楽家の呼吸の世界においては 言及されない空間であると伝えた。 しかしながら他方では、 ◯◯呼吸法といった まことしやかなメソッドによって、 音楽表現においては 呼吸がいかに大切なのか といった論調が繰り広げられている。 もちろんこの論調が 解剖学の観点から とてつもなく乖離しているかと言えば 意外とそうでもないのである。 それらのメソッドを 丁寧に読み解いてゆけば、

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          Advance-4. 胸膜腔を拡大する

          胸郭の働きのひとつに 身体の外側からの力に対して 呼吸器を守るという機能があります。 ・身体の前側には  → ネクタイのような胸骨(きょうこつ) ・身体の後ろ側には  → 背骨の一部である胸椎(きょうつい) ・身体の横側には → 肋骨(ろっこつ) これらの骨がカゴのように組み合い、 上半身の上半分に空間を作って 呼吸器を守っています。 さて、前回の記事では この胸腔の内側の空間を 胸腔(きょうくう)として学びました。 では、音楽家の呼吸は 一体どのようにして 行われる

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          Advance-4. 胸膜腔を拡大する

          Basic-4. ”入れ物”を大きくする

          さて、では 肺の”入れ物”の話に入っていこう。 前回の3.では 「息を吸うのは”入れ物”を動かすんだ」 というお話をしました。 でも、でもだよね。 「肺の”入れ物”を動かすって  結局どうするのさ?」 と思っている可能性は120%のはず(笑) “入れ物"というくらいだから 何かに【囲まれて】いるはずだよね。 囲まれていなければ “入れ物”にはなり得ない。 では何に【囲まれて】いるのか? そう!この点が ブレスにおいてとっても重要! 肺は”入れ物”に入れられていて

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          Basic-4. ”入れ物”を大きくする

          Medical-3. 胸膜腔のはたらき

          肺胞内に外気を導入するために ヒトは陰圧呼吸を行っている。 ではここで 陰圧呼吸について再度考えたい。 陰圧呼吸:Negative Pressure Breathing この場合のNegativeとは 大気圧>胸膜腔内圧であった。 (無論、細目においては 齟齬相違が生じる表現方法ではあるが、 概念においてである事を了承願いたい) 胸膜腔内圧が大気圧(≒肺胞内圧)と 概ね等しくなった時点において、 一般的な呼吸サイクルにおいては 呼吸運動のSilent Periodが認

          Medical-3. 胸膜腔のはたらき

          Advance-3. 肺の外側の空間

          前回の内容では 吸気時の肺の動きは “受動的"であると学びました。 吸気時においては 肺自身が動くのではなく 肺は"動かされるもの”という事実が、 吸気を理解するためには 不可欠です。 さて、では “受動的”である以上は 肺を動かす外部のエネルギーが 存在するという事です。 では外部のエネルギーとは 一体何なのでしょうか。 そのエネルギーは 【 気圧の差 】 と理解することが出来ます。 この気圧の差によって 肺は"動かされます”。 さて、ここで 気圧の差という表現が

          Advance-3. 肺の外側の空間

          Basic-3. 肺の”入れ物"

          前回のお話は 「肺は自分では動けない」 って事だったよね。 でもみんなの胸は、 息を吸うと大きく膨らむし 演奏をすると元に戻ってゆく。 これってシンプルに考えると 「空気が入ったから」 って考えることができる。 さて、ここで考えてみよう。 ブレスの練習の時、 みんなは「何を」練習しているのかな? 「そりゃあ決まっているよ!  速くたくさん息を吸う練習さ!」 そう、確かにそうだよね。 そうじゃないと 休符の間でブレスを取り終えない。 では、もう一度。 みんなは「何

          Basic-3. 肺の”入れ物"

          Medical-2. 胸郭の動きについて

          音楽家において ブレス(特に吸気)に言及される時、 「空気を取り込む」事が 文言として強調される傾向にあります。 そして「空気を取り込む」対象として 肺に関する情報が 教えられることがあります。 さて、気管の3層構造において 中央の層に筋線維は存在しますが、 気管支から先へと分岐が進むにつれ 筋線維は急激に減少し、 第7分岐以降の細気管支ともなると 認められなくなります。 つまり肺は 積極的には形状を変えることが出来ない、 すなわちブレスにおいて 肺が能動的に拡大するこ

          Medical-2. 胸郭の動きについて

          Advance-2. 肺とまわりの構造

          演奏のためにブレスを取ると 当然の事ながら 身体に空気が「取り込まれます」 では どこに空気が 「取り込まれる」のでしょうか。 この設問に関しては 回答はシンプルです。 もちろん「肺」ですよね。 さて、 ここでさらに設問なのですが、 「なぜ 胸郭が動くのですか?」

          Advance-2. 肺とまわりの構造

          Basic-2. 息はどこに入るの?

          さて、始めてゆきましょう! まずは息はどこに入るか?です。 みんな、知っているかな? 「それくらい知ってるよ〜  肺に決まってるさ!」 そう!正解だ! 楽器を演奏する時や 歌う時に息をすうっと吸った時、 空気は肺に入ってくるよね。 ところで こんな事を考えた事はあるかな? 「息を吸うと なぜ胸が動くの?」

          Basic-2. 息はどこに入るの?

          Medical-1.“吸気”の表現の妥当性

          歌唱や管楽器の演奏における ブレスの重要性は ここで論じるまでもない。 その一方で、 音楽の指導現場においては、 ブレスに関して 多少の混乱が生じていることは 残念ながら否めないのが現状である。 音楽の指導現場においては、 ブレスのことを 「息を吸う」 として表現される事が多い。 しかしながら、 実際に体内で生じている現象は 全く違うものであり、 「陰圧呼吸」がそれにあたる。 この「陰圧呼吸」を 音楽家が理解できた時、 音楽家が常用している ブレスに関するイメージワ

          Medical-1.“吸気”の表現の妥当性

          Advance-1.ブレスの理解を深めよう

          音楽の練習の場面では ブレスに関しての指導は よく行われます。 その指導現場において 吸気について語られる時には、 「息を吸う」という言葉が使われます。 もちろん 一般的な概念において 「息を吸う」という表現は 非常に理解しやすいものです。 しかしながら、 人間の身体の構造から考えると、 「息を吸う」というのは A:(活動によって得られた)結果 を表すものであり、 「息を吸う」場面において B:実際の活動 は全く違う活動を行っています。 A:結果 に着目して 練習

          Advance-1.ブレスの理解を深めよう

          Basic-1. ブレスの不思議な旅に出かけよう!

          音楽の練習をしていると 「ブレスは大切だよ」って よく言われるよね。 でも、 息を吸うのは 何も考えずにできちゃうし、 そんなに頑張らなくても歌える。 うん、ブレスできてる!(笑) じゃあなぜ 「ブレスは大切だよ」って 言われるんだろう? ここで不思議な事を みんなに言うよ。 それはね… 息は「吸わない」んだよ〜 …ちょっとビックリしたかな? でもこれは本当の事。 みんなは「息を吸っていない」んだ。 「そんな事ないよ!  息を吸わなかったら  死んじゃうじゃな

          Basic-1. ブレスの不思議な旅に出かけよう!

          音身体®→noteの想い

          「音楽の練習におけるイメージワードが  かえって生徒を混乱させている気がする」 知り合いのトレーナーや教師から 相談を寄せられる事が多くなりました。 ・お腹の風船を膨らませて! ・太い息の柱で音を支えて! ・客席の最後列まで声を届けて! ・ノドを開いて共鳴腔を大きくして! 教える側は 成功体験をすでに持っているので、 その時の”体感"をイメージワードに 投影したのだと思います。 しかしながら教えられる側は 成功体験をまだ持てていないので、 体感のイメージワードで語られ

          音身体®→noteの想い