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因幡はねるの誕生日イベントと闇の女王

2021年3月6日に、因幡はねるちゃんの誕生日を祝うオンラインイベント「#はねたん」が行われました。とても楽しい内容でしたが、それだけではなく気づきもあったので、イベント内容を振り返りつつ書きたいと思います。

因幡組の年間行事

実質的に二部構成で、第一部は「因幡組の年間行事」を4月から順番に紹介するというものでした。体育館のステージのようなセットになっていて、新入生(新人因幡組)へのオリエンテーションみたいなイメージでしょうか。

はねたんステージ

4月の行事は花見ということで、これは露店ですが、あにまーれの鳥類メンバーが例によって食料扱いされています。こういうノリで、あにまーれメンバーや運営がネタにされつつ、時々歌をはさみながら進行していきます。

はねたん焼き鳥

9月の行事は「栗拾い」なのですが、これは因幡組としては懐かしいネタでした。2018年10月11日に「★企画会議★次はどんなことしようかな~40,000人記念枠も!」という配信があり、企画出しとして「はねるといっしょにどこに行きたい?」とアイデアを募ったときに誰かが「栗拾い」とコメントしたことが発端になっています。

はねたん栗拾い企画

いったんリストに書かれたものの、「栗拾いって何するの? 一瞬で飽きるでしょ!」と消されてしまいます。しかしその後、ことあるごとに「栗拾いは?」と言いだす栗拾いガチ勢がいて、その念願が2年半ごしに叶ったわけです。きっと彼らは感無量でしょう。

はねたん栗拾い

10月はハロウィンということで聖飢魔Ⅱの「蝋人形の館」を歌い、意外な選曲だけど良かったですね。こういうかっこいい悪っぽい感じの曲も何気に合います。アイドル衣装はやはりよいし、カメラワークなども良かった。イベントならではです。

はねたん蝋人形3

クリスマスのパートではプッチモニの「ぴったりしたいX’mas!」を歌っていて、ねるちゃんの声にぴったりだし振りも可愛くて、アイドルとしてのねるちゃんを見せてくれました。踊りながらちゃんと歌うのすごいなと思いますが、歌の先生やダンスの先生に付いて練習したそうですね。

そうして2月の行事まで紹介し、次は3月というところで場面が転換します。ここからが実質第二部と言えます。

夢を叶えた先にあるもの

第一部は全体がCGでしたが、第二部は背景が実写になりました。実はここは秋葉原エンタスのステージで、ねるちゃんが始めてソロイベントをやった思い出の地です。そこに帰ってきたという演出はエモいですね。

はねたんエンタス2

しかしそれだけが理由でリアル会場を使ったわけではありませんでした。ねるちゃんが3月にちなんでAKB48の「桜の花びらたち」を歌っているところに、ポムポムプリンくんがバースデーケーキを持って登場します。つまり拡張現実(AR)だったのですね。

はねたんプリンくん

ファンなら全員知っていることですが、ねるちゃんはプリンくんの熱烈なファンで、初配信で「プリンくんとコラボするのが夢」と語ったくらいです。そしてついに2019年11月にコラボを、しかもサンリオピューロランドを会場にして実現させました。これはその時の記事です。

この時に夢は叶ったと思っていたのですが、ピューロランドのイベントではこのように、ねるちゃんはステージ上のモニターに映される形で、雰囲気はあるけどARとは言いがたいものでした。

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それが今回はこうです。はねたん ぷりねる

とても自然で素晴らしく、技術的にも可能性を感じます。同じ空間にいてお互いに動き回ることもできるということで、これはもう完全に共演でした。夢を実現したと思っていたけれど、さらに上があったんだなと。

そして実は、またさらに上がありました。

闇の女王はねる

プリンくんと一緒に楽しく「KAWAII FESTIVAL」を歌って踊ったあと、急に不穏な空気が流れました。ねるちゃんがおどろおどろしい声で「昼間が嫌い 光が嫌い 笑顔が嫌い」と唱え、自分は闇のはねる、ぼっちの女王だと言います。この世のすべてを闇に変えてやると。

私はピューロランドでのイベントに行ったので、この段階でピンと来ました。中央の広場で行われていたパレード(ミラクルギフトパレード)だ!と。ねるちゃんが絶対見ろと言っていたので、あのイベントに行った人はたいてい見たはずです。

内容は、人々が楽しく暮らしているところに闇の女王が現れ、知恵の木の光を奪って世界を闇に変えてしまいます。絶望した人々は闇の女王と戦おうとしますが、キティちゃんはそれを止めて、誰だって心が闇に囚われることはあるし闇の女王にも優しい心はあるはずだと、だから会場のみんなの「思いやり」と「仲良く」の心を女王に届けよう、と訴えます。

今回のイベントではこの筋をそのままなぞっていて、KAWAII FESTIVALの後に闇の女王が現れるところから原作通りだし、あにまーれメンバーたちが声で出演していましたが、そのセリフも原作準拠とのことです。ちょいちょい改変して小ネタを仕込んでいましたが。

はねたんパレード

ねるちゃんの演技は素晴らしくて、みんな「闇の女王の演技うまいですね」とコメントしていました。ゲーム実況でも悪役の演技がうまいことに定評があるねるちゃんですが、特に気持ちが入っていたような。自身も「負の感情をセリフに乗せるのがうますぎる」と言っていて、当日夜の配信で再現していました。本番のほうがさらに良かったですが。

その後、キティちゃんっぽいキャラ(CV パトラちゃん)が登場して、リスナーからの「ねるちゃんすき」の言葉を集め、ねるちゃんがリスナーを信じる心を思い出すというストーリーでした。

よく出来てるわけですが、それだけではなく、このストーリーで気づかされたことがありました。ねるちゃんの心はまさに闇と光が一体で、いわば太極図のようなものなんだなと。

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これが太極図(陰陽魚)ですが、闇と光は表裏一体だということを表しています。闇を極めれば光になり、光を極めれば闇になる。白黒つけたい西洋的な思想とは違う、東洋的な思想の源流にあるものです。

ねるちゃんは確かに、よく闇に堕ちています。新人に浮気するものが多いと恨みごとを言う配信をしたり(こういう時のあにまーれは停電している)、リスナーの男女同士が仲良くしているとキレたり。

はねたん停電

だからリスナーは「闇の女王がハマり役」と口々に言うのですが、それは一見悪口っぽいけれど、そうではないんですよね。むしろ、ねるちゃんのそういうところも好きだから言ってるんだよな、と気づきました。なんで好きなのかと言えば、ねるちゃんの闇と光は表裏一体だということが、無意識的にもリスナーに伝わっているからでしょう。だって、リスナーが浮気することで闇に堕ちるということは、それだけリスナーを愛しているということだから。光が強いから闇も深い。光を極めれば闇になるという、まさに太極図です。

Twitterで他のVTuberさんのことをつぶやいたりしていると、ねるちゃんが威嚇でイイねを押すことがありますが、あれもやられた人は悪い気持ちはしないと思うんですね。ねるちゃんを怒らせて申し訳ないという気持ちにはなるけど、「浮気するな、こっちを見ろ」というサインだから。もちろん怒られないのが一番いいですが。

今回のイベントは全体として「因幡組の1年間」ということで、因幡組への愛がこもった内容だったわけだし、イベントの最後でもリスナーが大好きだということを伝えていました。それが信じられるから、その裏側である闇を見てもリスナーは「愛されてるな」と感じるのでしょう。

ねるちゃんは、ミラクルギフトパレードをプリンくんと共演することが夢だったそうで、それを叶えたわけですが、ただやるだけではなく、自分向けにぴったりなストーリーに変えて落とし込めるのも凄いなと思いましたね。

そんなわけで、ねるちゃんがやっぱり好きだな、すごいなと思えたイベントでした。小並感ですみません。

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