サポート詐欺とクリティカル・シンキング

「あなたのパソコンはウィルスに感染しました!」

 パソコン画面にいきなりこのメッセージが出てアラート音が鳴り響き、まったく操作できなくなって(「閉じることもできない」と思わされた)相当に動揺した。
 結果から言うと、被害は受けなかった。だが、念のためそのときブラウザで開いていたwebメールやSNSのアカウントはもとより、それ以外のショッピングサイト(amazon等)もパスワードを変更した。万が一を考えてクレジットカードも止めた。当面は不便だが仕方ない。

「正常性バイアス」「真実バイアス」で詐欺に引っかかる

 わたしは放送大学生だ。「より良い思考の技法~クリティカル・シンキングへの招待」を受講した(ちなみに今日からテスト期間に入る)。その第12回が「詐欺や悪質商法に強くなる」だった。
 同講義で「心理操作(心理コントロール)」を学んだ。自分の思考過程を意識的にとらえるメタ認知によって、詐欺を予防できるはずだった。
 特殊詐欺に高齢者の被害が多いのは、認知機能が低下するだけではない。人生経験を基礎とした「正常性バイアス」の働きが低下しているからということも教科書に載っていた。
  それに加えて 「真実バイアス」が強固にかかっていることも多いので、詐欺を見抜く、ましてアラート音が鳴り響くなかで冷静に、クリティカルに考えるのは難しいとも記されている。
 「パソコンがウィルスにやられた!」と信じ込んでしまうことで、どこまで追い詰められるのか。指定された番号に電話をかけるなど、ふだんなら決してしない行動に走ってしまうのである。それが今回よくわかった。

騙されないために

  今回はぎりぎりのところで被害を受けずに済んだが、今後どうしたらよいかも考えておくべきだろう。
 この答えも「よりよい思考の技法~クリティカル・シンキングへの支招待」にあった。次にこうなったらどうしたらよいか。そのプロセスを考えるのが第一歩だ。
 今度怪しいメッセージが表示されたら、まずは電話をかけるのではなく、スマホで解決法を検索する。Alt+F4キーで当該画面を消す。そうすることに決めた。

2次被害も無視できない

 教科書にはさらに、「悪質商法や特殊詐欺は、被害者に経済的な面だけでなく2次被害として心理的にも大きな禍根を残す」とある。「人が精神的に健康に生きていくための、他者への信頼、自分の能力への信頼を奪い、心の回復力を破壊してしまう」。
 いまの自分の状態がまさにこれ。被害はなかったのにものすごく動揺していて、ふだんどおりの生活ができていない。「信頼した結果が裏切られ、自分は正しい判断ができなかった事実を突きつけられる」「人間や未来に対する希望を失う点で、金銭的被害よりもある意味で深刻なダメージになりうる」と菊池先生は述べているが、まさにそのとおりなのである。自分に自信を失っている状態だ。

サポート詐欺について知ろう

 最後に2つ、サポート詐欺防止のためのサイトを貼っておく。いや、ほんとに恐ろしい。PCを持っていれば誰でも引っかかる可能性があるのだ。この投稿をここまで読んだ方は、ぜひ下の2つのサイト(マイクロソフト公式サイトと警察の公式サイトです)も目を通してほしい。



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