放送大学 日本語学入門第7回「文法①―日本語の品詞と動詞活用」前田直子教授

 「日本語学入門」も、いよいよ今回と次回は「文法」である。佳境に入ってきた。

文法を3つに分けると

 文法は、大きく品詞論・形態論・統語論に分けることができる。今回はそのうち品詞論と形態論について扱う。

品詞論 日本語にはいくつ品詞があるか

 品詞とは文の材料になる単語をグループに分け、それぞれのグループに名前を付けたものである。日本語は「十品詞」と言われている。

自立語で活用がある―動詞・形容詞・形容動詞(ナ形容詞)
自立語でで活用がない―名詞・副詞・連体詞・接続詞・感動詞
付属語で活用がある―助動詞
付属語で活用がない―助詞

日本語に特殊な「形容動詞」

 日本語の十品詞のなかで、世界的に見ても特殊なのが形容動詞である。形容動詞の特徴は、活用があり、「だ」を伴って文末の述語になり、「な」を伴って名詞を修飾し、「に」を伴って用言を修飾する機能を持つことである。
 形容動詞は動詞よりも形容詞に似ていることから「ナ形容詞」と呼ばれることがある。この場合、従来の形容詞を「イ形容詞」と呼ぶ。
 形容動詞(ナ形容詞)には、漢語や外来語が多く、和語が少ない。一方、形容詞(イ形容詞)はほとんどが和語である。

動詞の活用

 日本語の動詞の活用は5種類に分けられる。

規則活用 ―五段活用、一段活用(上一段活用と下一段活用)
不規則活用―カ行変格活用、サ行変格活用

 日本語の動詞の活用の難しいところは、このように規則動詞が2種類あるところである。
 ここで活用形だが、国文法では未然形、連用形、終止形、連体形、仮定形、命令形という活用表であったが、現代日本語の分析では次のような活用の捉え方をする。

語幹・基本形(辞書形)・ナイ形・受身形・使役形・マス形・可能形・条件形(バ形)・意向形・命令形

 この活用表では、五段動詞「書く」の語幹はアルファベットを使って「書k」と考える。すなわち子音語幹である。一段活用「考える」の語幹は「考え」、すなわち母音語幹と考える。
 ある単語を初めて見たときにどちらの活用なのかがわからないというのが学習者にとってとても困ったことになる。 
 たとえば「かえる」という動詞を見た場合、語幹が「かえ」と一段活用であれば「帰る」の基本形(辞書形)であり、「か」と五段活用であれば「買う」の可能形となる。ここに日本語の動詞活用の難しさがある。
 わたしは昔学校で習った「国文法」しかしらないので、「ナ形容詞」はあまり馴染みのない語である。さらに、「子音語幹動詞」など初めてきく語もあり、国文法と日本語文法の違いの大きさにかなり驚いた回となった。


 

 

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