M16は一芸に入るのか否か

旅のお話 エジプトあたり編6 ヨルダン家族の宴

まだ日が高いうちに家に帰り着いたので
ヨルダン・ママとパパが家を案内してくれた。
パパは
自分の家は自分で作っている。
「アイム・カーペンター」と言ってにっこりした。

一階には居間や寝室がある。
二階はちょっと手をかけている途中という感じ。
「ここがバスルームよ」と
とても誇らしげにバスタブのあるタイル張りの部屋を見せてくれた。
そのうれしそうな様子を見て
バスルームがあるのはとても稀で
ステータスなんだろうなと思った。

「三回と屋根は、まだ^^」

まだ ってどういうこと?

と思ったら言葉通りだった。

よく見ると
この家には屋根がなかった。
二階の天井は一部ぽっかりと空いていて

鉄筋が飛び出しているところもあり
簡易な階段が渡してあった。

夕方の薄い青空が目に染みる。

家とはなにか。

家の定義について考えた。


つまるところ
人間は壁で囲まれていて
外界と仕切られたスペースがありさえすれば

自分の「家」と認識するらしいと
結論を出した。
天井はさほど重要ではないと思われる、
なぜなら我々は垂直移動しない生き物であるから。


さて、
夜は、家族や近所の人を招いて
宴会だった。

東の果てから客人がきた
ということでひらいてくれた。

たくさんの料理がならび
たくさんの人々に囲まれ。
イスラムの国だし
お酒はなかったけれど
集団でワイワイやれば盛り上がる。

宴もたけなわ…
のあるとき
子供たち数人が
私の前に寄ってきた。
「この子の特技を見せてあげるね」

見れば、3歳か4歳くらい、
まだおむつが取れたばかりではないの
という年齢の少年が
ニコニコして立っていた。

歌でも歌ってくれるのか
と思って
「ありがとう、お願いします」と言った。

「オッケー、GO!」
男の子たちのサインをうけて
その子が持ってきたのは、
なんだか不穏な雰囲気の部品。

とても子供のおもちゃの風体ではない。

ぜったいヤバいやつだ。

「見ててね!」


そう言ったその子は
にっこりしたあと急に真顔になった。

ものすごい速さで組み立てる。

できたのは
映画などで見る…自動小銃。

たぶん、M16。


最後の部品をカチャッとはめ、

その男の子は
組みあがった銃をかっこよく構えた。

そして、銃口を私に向ける。


いやいやいやいや。

さっき
部品を持ってくるだけで
重さでよろけてたじゃん。

完成品を構えて
いまはピシッとしてるけど
よろけて引き金ひいちゃったら?
どーするの・・・!

胃の中がひっくりかえって
吐きそうになった。

人間
死を目前にすると不思議と吐き気がする。


映画とかで
銃口を突き付けられて吐いてる人がいるけれど
こういう気持ちなんだな、

勉強になった夜だった。


それにしても
平和に宴会をやっているけれど、
こんな小さな子でも自動小銃が組み立てられる。

そういう世界もある。


勉強になった夜だった。


なにかよくわからない肉の煮込みがおいしかった。


ありがとうございます。毎日流れる日々の中から、皆さんを元気にできるような記憶を選んで書きつづれたらと思っています。ペンで笑顔を創る がモットーです。