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【Weekly SELECK】DAOで「精神的豊かさ」は追求できる?キーワードは「自発性」と「創造性」

みなさま、こんにちは!SELECK編集部の吉井です。

ここ最近もずっと暑い日が続いていますね…!皆様、体調いかがお過ごしでしょうか。

私は若干バテ気味(?)なのですが、暑さに身体がやられぬようにと「スイカジュース」にハマっております🍉

成城石井で500円前後で買えるのですが、本当に美味しい。少し甘いものが食べたいな〜と思った時にも、砂糖が入っていないので安心して飲めます。現在、私の冷蔵庫の半分を埋めてます。おすすめです(笑)🍉。

というわけで、本日も「Weekly SELECK」をお届けです🙌

今回は7月19日(火)に公開した「DAO的コミュニティで「個人の選択肢」を追求する。web3の学び場「UNCHAIN」の想い」の取材後記をお届けします🔥

すでに記事をご覧いただいた方はご存知かと思いますが、改めて、UNCHAINとは株式会社shiftbaseによって運営されている、web3エンジニア向けコミュニティです。

Discord上でコミュニティが形成されており、実践型のプロジェクトをP2P(ピア・ツー・ピア)で学べる、というのが大きな特徴です。

今回の取材は、shiftbase社の創業背景から、UNCHAINのコミュニティ運営における思想や設計を深掘りさせていただきました🤲

そして、本題に入る前に。

取材記事の公開と同じ日に、こちらのプレスリリースが公開されていましたね!なんと、shiftbaseさんがシードラウンドで総額3.1億円の資金調達を実施されたとのこと…!とても素敵なニュース!本当におめでとうございます!🎉🎉

ここ最近、身の回りの友人からも「UNCHAINというコミュニティが気になっていて…」という話をよく聞くので、熱量が徐々に広まってきているのを感じます。今後のご活躍も楽しみです!

それでは早速、本題に入っていきましょう〜!✊

今回は、①取材の背景と ②記事本編に含められなかったお話③記事本編に登場したエーリッヒ・フロムの著書「自由からの逃走」について、の3つをお伝えしていきます!

記事タイトルの「自発性」と「創造性」については③で登場しますので、ぜひ最後までご覧いただけますと幸いです🌱

1. まずは取材の背景をお伝え!

「UNCHAIN」は、私がweb3の情報を収集し始めた3月くらいから気になっていたので、ずっと取材させていただきたいなと思っていたのがようやく叶った!という取材でした(笑)。

その理由はいくつか挙げられますが、やはり「実際にソーシャルトークンを発行しているコミュニティが珍しかった」という点が一番大きいです。

取材のネタ探しとして、国内のいろんなNFTプロジェクトやDAO的コミュニティを覗いているのですが、当時は”DAO”という言葉を使いつつも、「まだトークンは発行していません」というコミュニティが多い印象でした。

そんな中、UNCHAINでは「$CHAI」と呼ばれるコミュニティトークンを発行していて、これは、他のコミュニティメンバーの質問に回答するなど、P2P学習のエコシステムに貢献した際に発行されるものです。

このトークンを活用することで、従来の「教える側 対 教えられる側」という構造から脱却し、「全員が教える側でもあり、かつ教えられる側でもある」という、いかにもweb3的な学習エコシステムという点にも惹かれ、一体どのようなコミュニケーションがDiscord上で行われているのだろうかと気になり、取材させていただいたという背景です。

2. 取材のこぼれ話 「人間はソーシャルであることで、精神的に豊かになれる」

記事の文量的に、本編ではお伝えできなかったこぼれ話🤏をお届け。

記事冒頭で少し触れましたが、shiftbase前代表取締役の志村さんは、「利他的行動」をキーワードに海外で研究を積み重ねられてきたとのこと。

その研究内容に関連して、人間の精神的豊かさを構成する3つの要素についてお話いただきました。

「ソーシャルである」ということが、人間の精神的な豊かさに直結していると言われていて。例えば、「良い友達がいる」ことが、精神の健康や長寿につながるとされています。

また、人が幸せになるために必要な要素はいくつかあるとされていて、例えば、①心理的安全性(=「何とかなる」と思えること)や、②自己効力感(=何でも「自分でチャレンジしてみよう」と思えること)、そして③感謝(=自分が誰かにポジティブな影響を与えられてると思えること、反対にそれを表現すること)、この3つが重要だと研究でいわれていて。

なので、どうしたらこの3つを社会生活の中で満たせるのかを基軸に研究したり、コミュニティ組成を行っています。

先日、Twitterで少しバズっていましたが、ハーバード大学が75年にわたって行った研究でも、「人間の幸福や健康は、年収、学歴、職業と直接的には関係なく、関係があったのは『いい人間関係』」だそうで。

人生の大半の時間を占める仕事は、「何をやるか」よりも「誰とやるか」の方が大事だと思っている身なのですが、やはり人間関係が大事なんだな〜と記事を読みながらしみじみ……。良い人間関係を構築するためにも、常に自分もご機嫌な存在でありたいですね。

▼元ネタはこちらのTED TALKで見れますのでぜひ

そして、今回の取材を通じて感じたのは、志村さんが研究されてきたことが、コミュニティ内の仕掛けやカルチャーに反映されているのかなと。

いつ誰が発言しても回答があるカルチャーは心理的安全性に繋がっていますし、ソーシャルトークンの発行は「感謝」の可視化かと思うので、UNCHAINというコミュニティ自体が、「人間の精神的豊かさ」を追求する実験場になり得るのではないか、という印象がありました。(※個人の見解です。笑)

UNCHAINはweb3エンジニア向けのコミュニティですし、今はある程度ITリテラシーがある成人向けかと思いますが、再現性のあるエコシステムが実現できれば、年齢・分野に関わらず様々な方面で(義務教育を受ける世代にも良さそうです)、幸福を感じながら自己実現を目指せる場が生まれるのではないかとワクワクします。

web3領域にはさまざまな期待が寄せられていますが、個人的には「教育」の分野にももっと期待したい…!

3. エーリッヒ・フロムの著書、「自由からの逃走」について

今回の取材記事の中で、ドイツの心理学者 エーリッヒ・フロムが著した「自由からの逃走」について軽く触れられていたので、少しだけ補足を。

▼記事中で述べられていたのはここ

私の研究テーマに繋がるのですが、人間が何か行動を起こした際に幸せを感じるパターンは二つあるとされていて。

自由意志の元に動いたという実感がある場合と、たとえ強制されたとしても自分の価値観に合っている場合です。これは、DAOの在り方にすごく似ていると思うんです。

ドイツの社会心理学者、エーリッヒ・フロム氏が著書「自由からの逃走」で述べているように、人はルールや制約のない「自由」な状況下では方向性を失ってしまい、広がるけれど収束できない状況になってしまうので、ある程度の規範は必要なんですね。

DAO的コミュニティで「個人の選択肢」を追求する。web3の学び場「UNCHAIN」の想い - SELECK

本書は1941年に刊行されており、内容は主にドイツのナチズムなど、1930〜40年代に台頭したファシズム(全体主義)への批判です。

人はようやく「自由」を獲得したにも関わらず、なぜ”服従のシステム”に惹きつけられてしまうのか。その原因を、社会心理学的に分析した一冊です。

文量がボリューミーで、全然要約ができる内容でもないのですが、ざっくりお伝えすると、ファシズムに惹かれてしまう原因は、「自由」の獲得の代償として”自分で生きる”ことが求められるようになり、個人が「孤独」を抱えたからだといいます。

そもそも、この「自由」が存在していなかった従来の封建社会では、人々はキリスト教の協会や封建制による絶対主義的な権力のもとで生活をしていました。

彼らは生まれた時から社会構造に組み込まれるため、階層やギルドの中で与えられた役割さえ全うすれば生活が成立し、安心感と帰属意識が存在していたのです。

しかし、ルネサンスを起源として宗教改革、さらには市民革命が起き、新たな有産階級が出現したことで、資本主義的な市場の形成が加速していきます。

そうして形成された競争社会に生きる”個人”は、それぞれの”努力”が求められるようになり、安心感を喪失し孤独を抱えてしまったというわけです。この不安は中産階級ほど強く、この「自由」からむしろ逃れたくなってしまうのだそう。

▼資料を作成する機会があったので載せておきます

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ここで、フロムは孤独から逃れるための選択肢を2つ挙げています。

まず一つは、積極的な自由(「〜への自由」:自我の実現、愛)を求めること。もう一つは自由を捨てること(逃避)だといいます。

そして、この後者を選択する人が大多数生まれることによってファシズムのような権威主義が成立してしまっているため、それに取って代わられぬよう民主主義を前進させる必要がある、というのが本書のざっっっくりとした結論です。

DAOは「自律分散」という言葉だけが先行してしまって、いかにも”自由”な組織のように語られている文章も多く見かけますが、ルールなどの縛りのない”自由”では、人はまた”自由”から逃れてしまうため、ある程度の規律はやはり必要だということが本書から示唆されます。昨今、自律分散型組織の一つとして「ホラクラシー」という組織形態も注目されていますが、ホラクラシーの組織運営法は参考になるのかもしれません。

またフロムは、積極的な自由は「自発性」のある行動によって実現されると説いているのですが、この自発性のある行動は、個人が孤独や無力によって駆り立てられるような「強迫的」なものではなく、人間が自己の本質的な部分を解放した創造的行為において実現するとしています。

UNCHAINでも、実際に手を動かしながら新しい価値を社会に生み出せる創造性が確保されていますし、盛り上がっているNFTプロジェクトでは二次創作が活発だったりするので(先日取材させていただいたNTPさんもそうですね)、コミュニティの運営において、メンバーにいかに「自発性」をもって行動してもらうか、言い換えると、いかに個々の創造性を発揮してもらうか、という仕掛けが重要なのかもしれませんね。

ということで、今回のWeekly SELECKは以上となります!

最後までご覧いただきありがとうございました!mm

引き続き暑い日が続きそうですが、健康第一に、心身ともに元気に過ごしていきましょう!

そしてweb3領域の取材ネタは常に探している状態なので、事業を立ち上げられている方、プロジェクトに関わっていらっしゃる方など、ぜひお気軽にお話させていただけますと幸いですmm(TwitterのDMでお待ちしております!)

それでは、またお会いしましょう!🔥

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