予防医療と医療費

みなさんは予防医療は医療費の抑制になると思いますか?
私は予防医療で病気の発症を防げれば医療費は抑制されるのではないかと短絡的に考えていました。しかし、どうやらそう簡単に物事は進まないようです。

■予防医療とは?
予防医療は単に病気を予防するだけではなく、傷害の防止、寿命の延長、健康の増進などより広い意味で使われます。
予防医療は以下の3つに分けられます。

①一次予防:健康を増進し、病気の発症を予防する。
ex) 食生活、適切な運動、健康教育、予防接種

②二次予防:病気を早期に発見し、治療する。
ex) がんなどの早期発見、早期治療、適切な治療

➂三次予防:治療・機能回復・機能維持を行う
ex) リハビリ、再発予防
高血圧や糖尿病の治療が一次予防なのか二次予防なのかは調べた範囲では分かりませんでした。高血圧を病気とすると二次予防ですが、脳卒中や心血管疾患の予防のための治療とすると一次予防でしょうか…。

■予防医療と医療費の関係
2008年、アメリカのCohenらは、予防医療には医療費を抑制するものとそうでないものがあるという報告をしています。
N Engj Med 2008;358: 661-663
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp0708558
2000年-2005年までに発表された費用効果分析の論文をレビューし、1500個の項目の費用効果比を調べたようです。

その結果、医療費を減らし、かつ健康を改善したものは全体の20%でした。
(幼児へのB型H.influenzaeワクチン接種、60-64歳男性への大腸癌スクリーニング、アルツハイマー病の家族への認知行動療法、難聴のこどもへの人工内耳など)

つまり、80%は医療費を減らすことはなかったということです。
ただし、医療費が増加しても健康上の利益が大きい場合もあるので、そのような医療行為や検査はやめた方がよいとは一概には言えません。

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この事実にとても驚きました。予防医療を進めれば進めるほど良いことばかりと思っていたので、1つ1つの検査や医療行為について検討していかないといけないと感じました。

今後も疑問に思ったことや興味のあることについてまとめていきたいと思います。

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