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暑かった日のこと

朝、車で仕事場へ向かって走ると、代かきを終えて後は植えるのを待つだけになった田の水面が、日に照らされてキラキラと光っている。それを眺めながら、暑いなと思い窓を開けると、風はまだひんやりとしていて気持ちいい。

遠くまで続く田の間の道を抜けて、山を越える坂を登ると、この間散った桜の木が今度は新緑をみせている。花も良いけど、若い青さの葉をみせる今頃も好き。


坂を下ればすぐなので、たいして走らないのだが、音楽を流しながら外を眺めて運転する、この時間が自分にとって結構癒しになっていることに5年かかって気づいた。

いつもiPodを全曲シャッフルにしているので選曲はランダム。今日は安室ちゃんのBaby don't cryとNUMBER GIRLのCIBICCOさんだった。なんでもごちゃ混ぜに聴いているので、よくこういう正反対のテイストですねって感じの組み合わせになる。嫌いじゃないし、ハイとローを繰り返す自分の気性をまるで知っているかのように流してくるから、よく分かってる、長い付き合いだもんな、classicよ…とむしろ褒めてやらなくちゃいけない。


どんどん忙しくなる一方なのに、毎日毎日暑すぎないか。長く伸びっぱなしにしている髪を下ろしているだけでも首もとがムシムシして鬱陶しい。一つにくくってから仕事に取りかかる。


苗は続いた快晴のおかげで(本当はもう少し雲って楽させてくれても良かったけれど)、ぐんぐんと、こちらが追い付かないくらいにあっという間に水を吸い上げるから、いつも土がカラカラになって萎れてはいないか気にしておかないといけない。もうポッドのままじゃ窮屈だ、全然足りないと言わんばかりの大きさになった。植える準備にも手を付ける時期に入ってきたが、いかんせん目を離せないという板挟みで皆がヒーヒーいっている。


くそ、世間がGWで賑わっているのにさあ...愚痴もぶつぶつこぼしながら、休憩に冷やした麦茶を飲んだら、ただの麦茶のくせしてめちゃくちゃ美味しい。ちょっと気持ちも立て直す。分かってる。なんやかんや言ったところで、自分が選んでやってるんだから、文句言ったところでしょうがない。そうだ。帰ったら、冷蔵庫のアイスを食べることにしよう。そんでもって、今度の休みはなんか美味しいもん食べに行こう。そうやってだましだましやることも大事な気がする。


帰り道は赤い夕日と水色の空が混ざり合って薄い紫がかった空になっているから、いつも見とれてしまう。嘘みたいに涼しくなるから、普段もこのくらいでいいのに。そして今晩のご飯のことに思いを巡らす。食べ物のことばっかりだ。まあいいや。今日もなんとかなった。


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