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エヴァンゲリオン展に行って来ました。

だいぶ久し振りの美術館。普段から行く文化が自分にあればいいのだが悲しいことにそんなものはないのでなかなか機会がなかった、けれどこの催しがあると知って、これは行かなくてはと慣れないことをしてみている。

庵野監督はスペシャルエフェクトアーティストと評される。

(だったと思う。)その説明がついた原画は、ただエヴァが着地してその瞬間水しぶきが上がる、というたった数秒のカット。けれど、そのただの水しぶきが、ばあっと跳ね上がってそれから散っていくのが何枚にも渡って丁寧に書かれている。原画だから鉛筆でシャシャシャーと書いといてもいいんじゃないの?後でいい感じに仕上げて~って言っとけばいいんじゃないの?って思うようなところが、一つ一つがリアルなだけじゃなく、いきいきと大きく動きを見せていて。うっわー...と驚嘆の声を出してしまう。


これだけではなく煙、崩れた建物の瓦礫、血だったり、自分がストーリーにのめり込んでいて気に止めていなかった細部の多くがこうやってこだわって書かれていた。しかも原画の

時点でもかなり細かい。上から町を見渡すときのずらっと並ぶ建物もしっかり書いてある。いや、監督から言ったらこういう構図見せたいって思ったら具体的じゃないとイメージ伝わらないのかもしらん。でも、数秒のシーンにこんな書き込むんか?しかもこれ登場人物じゃなくて背景なんだぞ?これどんだけ大変なんだ...?の堂々巡り。

その後その原画を元に書かれた第2原画というのがまた綺麗で感動。あの細かい原画を見て更にそれを清書していくの、大変だろうな...違えよ!こういうことじゃねえよ!とか怒られたりするんだろうな...などと変な心配をしていた。


「画面が綺麗」何も分からない私からしたら、ただ、そのたった一言で終わってしまうことなんだけど、当たり前かもしれないが膨大な時間を費やして細やかに書かれることによって生まれることを、目の前に見れてめちゃくちゃワクワクしてしまう。


意外と人物の方がぐちゃあとラフに書かれていたりしてて(清書では綺麗になっていてそれもまた感動)、監督があまり人物はあんま得意じゃないっていうのはこういうことなんかとか思うのもまた楽しい。でも鉛筆で書かれた線は重みが違うような気がする。特に怒りや憎しみを込めた表情の迫力は映画よりこちらの方がぐっと迫ってくるよう。


絵ばかり目につくが、原画の端々には指示があって、こういったことを出したいとかがちょいちょい書き込まれている。それやタイムテーブルを元に書かれているのだ。それが実際に色がついて、CGで動き出して完成になるまでの流れが見れるのだが、完成されているようにしか思えないところが幾度も修正され、またそれを違った構図にしてみたり、別パターンを用意して試してみたりの繰り返しなのが、すごい。それが組み合わされて一つのシーンが完成されていく様は果てしない。気が遠くなりそう。一つのシーンに妥協を許さず、画面にあるもの全てを完璧にしようとしているのだ。

うっ、と息を飲んでしまう。

水しぶきから始まって、映画の全ての動きがそうなのか…


これ、終わらないわ。いくら時間があっても足りない。

膨大過ぎる。果てしない...本当に果てしない。庵野仕事しろとかはよ映画完成させろとか、もーよう言いませんわとしか言えなくなる。ここまで身を粉にしてやっているのが見れて、ありがとうございますの気持ちですとしか...


展示はとにかく、圧倒的な仕事量を(それもほんの少しなのだろう)垣間見れてとても良かった。なんかありきたりな感想しか出てこないのが悲しくなるけど。

勢い余ってお土産まで買って、ホクホクで帰途に。

よきでした、
全ての製作者の方々に、ありがとう
エヴァンゲリオン展に、さようなら
そして全ての子供たちへ、おめでとう
(見られてよかったよね的な意味で)

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