札幌地下鉄延伸の妄想①~南北線~

札幌市の地下鉄は、清田区を除く区に広がっている。
地下鉄を清田区まで延伸して欲しいという声や、宮の沢より先まで延伸して欲しいという声もあるようで、札幌市における地下鉄は重要な公共交通機関と言える。

そこで、既に考えている方々も多く、陳腐な発想になってしまうが、もし今の路線からの延伸を行うとどうなるか、採算を度外視した上で自分なりに考えてみたいと思う。
なお、市外までの延伸は場合によっては考慮する。

今回は、当初の計画等を踏まえながら、南北線の延伸を考えていく。




当初の計画

当初の計画は、下記の通り茨戸から藤の沢までとなっている。

1号線・南北線(茨戸―創成川―テレビ塔―真駒内―藤の沢)

北海道建設新聞社 "第13回「五輪を支えた都市施設〈地下鉄(高速軌道)①〉」"より

このほか、新札幌団地(石狩市花川南)まで延伸する案もあったようなので、麻生駅からの延伸は2パターン分考えることにする。

なお、新琴似駅との接続は今回は考慮しない。
乗り換えを考えると延伸したほうが良いと思う人もいるが、麻生駅1番出口から新琴似駅までの距離は遠くなく(350m程度)、地下歩行空間で繋げたほうが早いのではないかと考えているためである。


麻生駅からの延伸(茨戸方面ルート)

茨戸を通過する訳では無いが、その周辺まで延伸する場合のルートを考える。


通るルート

ルートとしては以下の通り。

青線部分が、延伸路線となる(Mapionの「キョリ測」を使用)

【樽川篠路線→新琴似通】を進み、イトーヨーカドー周辺を終点とする。

石狩方面への接続を考えるならば、
【イオン緑苑台→紅葉山茨戸通→花畔茨戸通】
を進み、石狩市役所を終点とする、といったところだろうか。

また、西進して藤女子大学を経由するルートや、石狩市の接続を行わずに東進して篠路駅まで延伸するルートも考えられるだろう。


各駅の詳細

できる限り、交差点付近になるように、また駅間距離が2kmを超えないように選定した。

■新琴似8条
 距離:約1.3km
 周辺施設:北洋銀行 新琴似支店など

■屯田3条 (屯田会館前)
 距離:約1.5km
 周辺施設:屯田会館など

屯田8条
 距離:約1.3km
 周辺施設:イトーヨーカドー 屯田店、JOYFUL AK 屯田店など

総距離は約4.1kmとなる。


麻生駅からの延伸(新札幌団地方面ルート)

新札幌団地(石狩市花川南)へ延伸する場合のルートを考える。


通るルート

ルートとしては以下の通り。

青線部分が、延伸路線となる(Mapionの「キョリ測」を使用)

【樽川篠路線→石狩手稲通】を進み、石狩ふれあいの森、あるいはその先へ進み石狩市役所を終点とする。

このルートの場合、屯田を通ることはない上に、石狩市まで入ることになる為、当然だが石狩市との協議は必須となる。


各駅の詳細

できる限り、交差点付近になるように、また駅間距離が2kmを超えないように選定した。

■新琴似8条6丁目
 距離:約1.3km
 周辺施設:北洋銀行 新琴似支店など

■新琴似8条13丁目
 距離:約1.2km
 周辺施設:東京靴流通センター 新琴似店など

■新琴似8条17丁目
 距離:約0.7km
 周辺施設:中央バス自動車学校など

■花川南8条4
 距離:約1.9km
 周辺施設:石狩南高校など

■花川南8条1
 距離:約1.1km
 周辺施設:フレスポ石狩南(ショッピングセンター)など

■石狩ふれあいの森
 距離:約1.1km
 周辺施設:バースデイ 石狩店など

総距離は約7.4kmとなる。


真駒内駅からの延伸

藤の沢(現在の藤野)方面へ延伸する場合のルートを考える。


通るルート

ルートとしては以下の通り。

青線部分が、延伸路線となる(Mapionの「キョリ測」を使用)

【平岸通→石山通】を進み、東光ストア周辺を終点とする。

これ以上の延伸をするならば、よくて簾舞までになると思われる
(その先の豊滝地区は市街化調整区域の為)。

また、真駒内駅は地上線であるが、その先は再び地下線になることを想定して作成した。


各駅の詳細

できる限り、交差点付近になるように、また駅間距離が2kmを超えないように選定した。

■真駒内南町3丁目
 距離:約1.3km
 周辺施設:北海道警察学校など

■石山2条2丁目
 距離:約1.7km
 周辺施設:石山北公園など

■石山2条5丁目
 距離:約1.2km
 周辺施設:ロピア 石山通店など

■石山2条9丁目
 距離:約0.9km
 周辺施設:アクロスプラザ 札幌南(ショッピングモール)など

■藤野2条4丁目
 距離:約0.9km
 周辺施設:東光ストア 藤野店など

総距離は約6.2kmとなる。


延伸の際に考えるべきこと

仮に、このような妄想ではなく本当に延伸への機運が高まったとしても、

  • ルートをどうすべきか

  • 利用客の増加は見込めるか

  • 市や交通局の財政状態および経営成績は、新駅を建設できるレベルで良好か

  • 建設費等の財源はどうするか

  • 継続して利益が見込めるか(採算性があるか)

等の問題をクリアする必要がある。
この他、人口流出・少子高齢化社会等の社会的事情も考慮する必要があるので、延伸すべきかは慎重に決めなければならない。

さらに、この問題をクリアしたとしても周辺が賑わうかといえば、必ずしもそうではない。
コンパクトシティが叫ばれている中で、本当にその開発は必要なのかという意見もあるだろう。


南北線特有の問題

仮に延伸するのであれば、麻生以北・真駒内以南ともに問題は出てくるだろう。

南平岸駅から真駒内駅までは、廃線となった定山渓鉄道跡を再利用している為、地下鉄と銘打っているが高架に建設されている。
真駒内以南へ延伸をするならば、定山渓鉄道跡地の一部は道路に転用されているようなので、地上に建設するか地下に建設するか、良い落としどころを見つけなければならない。

麻生以北への延伸の場合、新琴似駅との接続は勿論のこと、ルートによっては石狩市方面への延伸は必要か等を考える必要も出てくる可能性がある。

勿論、終点駅周辺にはバスターミナルが併設されるだろうが、その用地を確保できるか、交通の拠点にふさわしい場所を見つけられるかも課題となる(特に真駒内方面)。


実現可能性

豪雪地帯である札幌にとって、気候の影響を受けない地下鉄が欲しいと思う方々もいるだろう。
環境問題の解決や「脱クルマ社会」への一歩を踏み出す為に云々、といった大義名分を掲げて、延伸に関する運動が出てきてもいいはずである。

事実、東西線や東豊線には、手稲まで・清田までの延伸に対する期成会が存在している。
しかし、南北線にはそういったものが存在しない。

上記の点を踏まえると、南北線の延伸は、議論するまでもなく費用対効果が見込めないと判断したか、そこに住む人々がそもそも必要としていない(既存の公共交通機関で事足りる)かと思われる。

よって、南北線の延伸は実現性がほとんど無いといえる。


次回は、当初の計画等を踏まえながら、東西線の延伸について考えてみたいと思う。

※参考資料↓


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