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連綿と続く日常に涙する


Eテレを見ていた息子が言う。「テレビのなかの人もこっちを見てるの?」

今日も平和だ。

この間ネトフリで『ペンションメッツァ』を見た。

ずっと見たかったけれどようやく全話見終わった。
で、あるシーンで私はすべてを持っていかれた。

ペンションをひとりで営むテンコを軸に物語は進んでいく。緑が生い茂る長野の森のなか、ふらりと訪れる客もさまざまだ。この客が個性的で面白い。

一話が30分程度なのもよい。ほどよい尺で長野の自然と小林聡美を堪能できる。どちらも好きな私にとってはたまらない。

そもそも好きの条件が揃っているドラマではあったのだが、なぜこれほどまで心惹かれたのか。
あるシーンというのは、小林聡美さん扮するテンコが自分で作った料理を黙々と口に運ぶシーンだった。

テンコが、トマトがのった冷や奴にオリーブオイルらしき液体をかける。(たぶんオリーブオイル)お刺身をテーブルに運ぶ。エプロンを外し椅子に腰掛け「いただきます」と呟く。お猪口に手をやり、くいっと一口流し込んだあとの少し驚いたような表情。(酒の旨みがこちらの口内にも広がっていく)ここらあたりでぶわっと涙が溢れ出したのだった。小林聡美さんの演技もさることながら、このシーンの劇伴も素晴らしく。おいおい泣きながら同じシーンばかりを繰り返し見てしまった。好き。好きが溢れいく。体にめちゃくちゃいいホルモンがどばどば出ている気がする。

自分で拵えたものを自分で食べ、美味しいと感じる。これほどたしかなことはあるだろうか。こうやって日常は続いていき、あるとき終わりが来る。そしてまた別の誰かの生活に続いていく。永遠に続くようで終わりがあり、終わりがあるようで続いている。連綿と続く日常を想像したら涙が止まらなくなった。
やばい、また涙が出てきた。
心を落ち着かせるためにもう一周『ペンションメッツァ』いってきます。


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