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ゆる物理学ラジオ 補足

この記事は、こちらの動画の補足記事です。
コメントでもご指摘頂いたが、我ながらモニョモニョとイマイチな喋りをかましてしまったし、物理学徒以外には伝わりづらい表現などもしてしまったので、せめて字幕代わりにと筆を執る。コメントいただいた内容にも回答していきたいし、質問いただければ適宜加筆したい。
動画が公開されてから書き始め、メタモン発症して数日たってしまったがそこはご愛嬌ということで…。なお敬称等は省略しています。

文章にしたとて至らない部分は多々あるのでご容赦いただきたい。
感想や意見はどんなものでも大歓迎です。

二次選考動画内容の補足

用語解説

  • SI単位系
    Système International d'unités、国際単位系のこと。略語としてはSIだけで「単位系」も含むので、「SI単位系」では頭痛が痛いのだが、聞き取りづらさもあり堀元さんも言ってしまったのでこのように発話している。

  • 「ガリレオ」
    東野圭吾原作、福山雅治主演のサスペンスドラマ。主人公は天才物理学准教授なのだが、フィクションなので我々物理学徒からすると「そうはならんやろ」のオンパレードである。あと助教の渡辺いっけい氏の扱いがひどすぎて胃が痛くなる。なお劇中に登場する数式は母校をはじめ有名大教員(専門家)が各回のテーマごとに監修しているそうで、正確である。ただし普通は計算するだけなら基礎方程式から書き始めたりしない。基礎方程式からきちんと書いててえらい。
    動画では右手を使ってしまったが、正しいきめポーズは「フレミングの左手の法則」より左手を用いるらしい。なんのこっちゃ大変失礼いたしました。
    というかこれをいじるだけで動画または記事一本できちゃうな。トリックはともかくサスペンスとしての話は面白いのでオススメ。

  • 「Dr.ストーン」
    稲垣理一郎原作、Boich作画、くられ監修の神マンガ。全人類はこれを読んで育つべき。
    動画の都合上いじってしまったのですが、Z=178 (178話)で、主人公の千空がきちんと定規と重量計を作成している描写がありました。申し訳ありません。あまり厳密な話もしていないのでご容赦ください(くられさんがわかっていないというつもりも全くない)。なお秒に関しては千空はほぼ誤差なく数千年数えられるというチート能力の持ち主なので心配なし。

  • 「トップ・ガン マーヴェリック」
    トム・クルーズ主演映画の第二弾。戦闘機乗りのアツい空中戦を中心とした映画。前作の出来事をきちんと伏線として回収し、新しいテーマについても掘り下げている名作。早くも今年一かも。音響も音楽も最高。
    アメリカ海軍の「空挺部隊」と言ってしまいましたが、正しくは航空部隊ですね。空挺だとパラシュート部隊とかになってしまうらしい。軍事には明るくないので間違えました。すみません。

  • 「方丈記」
    畳ではなく、長さの単位、丈を使っている。平方丈の部屋に住む元祖ミニマリストのエッセイ。
    これ自体面白いし、徒然草、枕草子と並んで古文の勉強にもなるので受験生にもおすすめ(現代語訳だけでも知ってると楽な時もある)。

  • 「海底二万里」
    知らなかったのですが、2万マイルは深さではなく、行程距離だそう。エアプすみません。
    なお里は原題では「リュー」であり、5.556 kmに相当するそう。マイルだったとしても航海で使う1海里は1.852 kmなので、いずれにせよ1.6倍というのは誤り。
    コトバンク:リュー

  • 尺貫法
    前漢後期におこり、採用された計量単位系。Wikipedia以上の知識は私にはないのでそちらを参照されたし。

  • キログラム原器
    キログラムの基準となる分銅のこと。正しい比率はプラチナ90%、イリジウム10%でした。
    こちらのサイトによると、2022年7月平均で、プラチナが3,915円/g、イリジウムが20,980円/gらしいので、今作ると材料費だけで5,621,500円かかる。加工費も考えるとなかなかの値段である。
    「キログラム元気ー!(CVなかやまきんに君)」ではない。

  • 真空を「破る」
    真空に空気を導入して圧力を上げることを、物理屋は「破る」ということがある。

  • プランク定数
    量子力学に頻繁に現れる定数。堀元氏が何を思い浮かべていたかは永遠の謎だが、一番わかりやすいのが光子のもつエネルギーが振動数に比例するという式$${\varepsilon = h\nu}$$。
    動画では誤って10の$${-23}$$乗くらいなどと口走っているが、正しくは$${-34}$$乗くらいです。申し訳ございません。

  • シリコン球
    同位体制御した28シリコンを球状に成型して、レーザーでその寸法、X線でモル質量、ワット天秤で質量を測ることにより、プランク定数と原子数から質量を定義する…ということを話したものの、やりすぎた。
    要は堀元さんのおっしゃる通り、原子の重さを基準に定めていると考えて差し支えない(と思う)。重要なのは、これまで測定値だったプランク定数が、定義値に変わったという点である。これは人類が古典物理学ではなく量子力学を基準に重さを考えるようになったということでもある。

  • リンゴ3個分
    品種にもよるが、平均およそ200 gから400 g程度までの幅があるそうなので、サ〇リオの某ネコ様の体重はおよそ600~1200 gと推定される。倍違うじゃん。猫の重さとしては妥当?月の重さがどうとかに比べたらまぁいいか…。

  • NIST、NICT
    それぞれアメリカと日本の度量衡を司る機関。たぶん。名前が似ているのは偶然の一致。たぶん。関係者の皆様ごめんなさい。

訂正・補足

  • アメリカの船が難破した話
    参照した記事が見つからず…見つけた人は教えて下さい。何れにせよ原器を載せた船の難破は事実でヤーポン云々は話半分です。

  • 水による質量の定義
    SIで考えると、力は質量×加速度なのでkgm/s$${^2}$$、圧力の単位は力÷面積なので、kg/ms$${^2}$$となる。したがって、一定量の水でkgの定義をしてしまうと、圧力が定義に含まれる→kgを定義するのにkgが必要となる。これは循環定義である。

  • 単位の「便利さ」:次元解析
    上記のように、方程式で結ばれた物理量は、その単位も変数の文字のように扱って計算してよい。したがって、単位から逆に方程式の形をある程度定めることもできる。
    例えば、位置エネルギーの式を忘れてしまったとしても、エネルギーであることから、運動エネルギーと同じ単位であることがわかる。したがって$${mv^2 /2}$$を覚えていれば(係数は無視して)単位がkgm$${^2}$$/s$${^2}$$であることがわかる。位置エネルギーに関係しそうな物理量は、高さ$${h}$$、質量$${m}$$、重力加速度$${g}$$なので、これらの単位であるm、kg、m/s$${^2}$$をうまく組み合わせて上の単位を作れば良い。したがって$${mgh}$$とすれば良いことがわかる(係数を求めるのはまた別のお話)。
    高校物理の例なので歪になってしまったが、最先端の物理で新しい方程式を考えるときにも使える手法で、例えば超ヒモが11次元…なんて話もこのあたりと関係がある……かもしれない(正確にはちょっと違うと思う。曖昧でーす)。

  • 秒の定義、長さの定義
    ご質問頂いたので回答したいところだが、ここに書くには余白が…足りないこともないけれど長すぎ案件なので、いずれまた。アツい7つ物語があるんだってばよ…。

動画内では触れられませんでしたが、着ているのはこのTシャツ。堀元さんに写真を撮られました。どうせなら一緒に撮ってもらえば良かった!!!

それから、使っているデバイスについてもご質問頂いたので貼っておきます。残念ながらこちらは終売となってしまいましたが、富士通から丸パクリ類似のクアデルノという商品が出ているのでよろしければ。電子ペーパー界隈、一時期のブームからだいぶ減ってしまったので、金銭に余裕がある方は市場に貢献されたし。


所感

(時間のある時に追記)


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