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2月

校舎から眺める空は相変わらず曇り続きだった。
空には雪虫が飛び出していて、夕方のテレビも冬を知らせる。
気づかないうちに草木の緑色はすっかり死んでしまったようだった。
虫や動物が姿を隠しだし、何もないそこに
乾いた空気の冷たく緩やかな流れを感じる。
次第に車や電車、遮断機の音も消えていき、10月の冷たさだけが残った。
静まりかえった無彩の大地。
青色のレインコートの君が少し笑った。

君の手は僕より小さくて繊細で、あの日と変わらずとても暖かかった。

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