2023年2月、24歳を迎えた私はわずかに身体の衰えを感じるようになった。 皿洗いをすると手荒れしたり、駅の階段を上る足が重くなったり。 年を取るってこういうことかあ、、と思った。 と同時に、はじめて人生のタイムリミットの存在に気付かされた。 「人生は短いのかもしれない」 人間はいつか必ず死ぬという事実をようやく体感したのだった。 時間の作用を受けるのはなにも肉体だけじゃない。 無垢な好奇心がゆっくりと死んでいくのを感じたのは24半ばあたりからだった。 私はそろ
薄紫が空ににじんで、時の流れさえあやふやな雨上がりの朝。夏の喧騒が去るのとともに、こころのざわめきが沈んでゆくのが分かった。カーテン越しから日差しがやさしくまぶたを撫でる。もう夏はいない。ひんやりと湿っぽい空気を肺いっぱいに送り込んで、身体を覚ます。わたしの今日が始まる。少し冷えた身体の中に、淡くあたたかな、それでいて決して揺らぐことのない力強い何かを見つけた。それは決意だ。いや、あるいは慈しみか。何があろうと、このきもちだけは守りたいなどと、私はうかつにも寝ぼけ眼で誓った