見出し画像

【MeWSS論文コラム】アクセプトのために考えること

英語原著論文の執筆作業は、どこかの査読付き英文ジャーナルにアクセプトされて掲載されることで、とりあえず完結します。
目標の達成には、できる限り具体化した目標を設定することが大切で、この場合「アクセプト」という結果を、漠然とした、一般的なものとして考えないことがとても大事です。
執筆前に投稿雑誌を決めましょう。
挑む前に相手の情報収集するのは戦いの基本です。目指すジャーナルにどのようなデザインの研究結果が掲載されているか、ご自身の研究に近いものがあるかどうか、年間に掲載される原著論文の数や、著者の所属国に偏りがないかなど、インターネットだけからでも、得られる有益な情報はたくさんあります。
例えば、レトロスペクティブな研究の優先度を低くする傾向があるジャーナルは、少なくありません。そういう雑誌に後ろ向き研究を投稿しても、レビュアーに回されることすらなく、エディターのところでリジェクトされる可能性が高くなります(これをdesk rejectといいます)。こういった”傾向”は情報公開していない場合が多く、instruction for authorsを読んでも分かりません。
投稿しようとする雑誌の目次やアブストラクトを確認してみてください。レトロスペクティブ研究掲載例がある場合は、サンプル数や解析内容などをみてみます。
雑誌にはそれぞれ”好み”があります。それは研究の良し悪しとは無関係で、ジャーナルの特性となるものでもあります。ご自身の研究とうまくマッチするジャーナルを見つけることが、アクセプトへの近道です。


リジェクトの戦略

せっかく論文を書くのだし、望んだ通りの結果が得られたので、高いインパクトファクターの雑誌に投稿したい、と希望される著者も多いと思います。
どこに投稿するかは、共著者の皆さんのご意見を入れて、責任著者が決めるものですし、いろいろな雑誌の反応を探るのも意味があります。
ただ、できれば査読コメントは得られるような雑誌を選んだ方がいいと思います。査読に回さずに、Editorから直接送られるリジェクトメールは単なる定型文です。クリック一つで送信される電子メールであり、著者にとっては何も得るものがありません。
desk rejectの可能性は、事前の情報収集でかなりの部分予測できるはずなのです。もちろん、それでも投稿したい、というのを止めるものではありませんが、せめてその次の投稿雑誌は、査読コメントが得られそうなところを選んでいただきたいと思います。
その論文が雑誌の要件(policyやinstruction)に沿っていて、近い研究デザインの論文掲載例がある(”好み”の可能性がある)場合は、採否の判断に専門家の意見が必要になります。Editorは査読者の意見を求めるでしょう。
また、その論文がジャーナルの”好み”に合致していた場合、査読者の意見が割れたとしても、Editor判断が良い方に向くことがあります。もちろん査読者の意見に対応して修正することがアクセプトの条件ですが、Editorが味方についてくれるのは心強いです。
結果的にリジェクトだったとしても、査読コメントを得ることはとても重要です。今の論文ではリジェクトの要因があったとしても、次の研究ではそうではないかもしれません。その時にコメントを参考にしてアクセプトされるような論文にしていくことができます。