飲んで、笑って、涙して|メキシコ、テキーラ列車の旅
メキシコ中部ハリスコ州にあるテキーラ村は、その名の通り、世界的に有名なお酒、テキーラ発祥の地。そこにはテキーラ列車という観光列車が走っています。
列車に乗車するには、テキーラの老舗、Jose Cuervo社催行のツアーに参加する必要があるのですが、このツアー、テキーラが飲めるだけではなく、メキシコの民族舞踊を見ることができたり、美しくカラフルなテキーラ村を散策できたりと、メキシコの魅力がギュッと詰まったツアーなのです。
今回は、親子3人(未就学児連れ)でツアーに参加したメキシコ在住の筆者が、テキーラ列車の旅の様子を、写真と共にお届けいたします。
09:00 列車の旅のはじまり
ハリスコ州の州都、グアダラハラのセントロ近郊の駅からツアーはスタート。ここからテキーラ村に向けて、約2時間の列車の旅が始まります。
乗車するのはJose Cuervo社のテキーラ列車。ネイビーの車体にゴールドのロゴ。昔日本を走っていたブルートレインを彷彿とさせるようなレトロで重厚な外観に、乗車前から胸が高鳴ります。息子も久しぶりの電車に大興奮の様子でした。
列車ははじめ、市街地をゆっくり通過。次第に建物が減り、気がつくと、アガベの畑が車窓いっぱいに広がっています。
乗車後は次々とテキーラやカクテルが提供されます。どれも美味しく、酔いすぎないようにペースをコントロールするのが大変なほど。
さらにはタマレス(とうもろこし粉がベースの、チマキのような食べ物)やグアダラハラ名物のトルタ(パンに肉や野菜を挟んだメキシコ版サンドイッチ)もいただきました。
ほろ酔いなところに、列車の心地よい揺れが加わり、このままぼーっと景色を見続けていたいなと、なんだか幸せな気持ちになってきたところで、テキーラ村に到着。約2時間の列車の旅は、あっという間に感じました。
11:00 テキーラ村に到着
テキーラ村の駅からバスに乗車し、10分ほどで、Jose Cuervo社の敷地に到着。工場の敷地に入るとすぐに、アガベの良い香りが漂ってきました。
トイレ休憩後、まずは同社が運営する博物館へ。中庭のある美しい建物の中に、さまざまな民芸品が飾られていて、とても見応えがあります。
12:00 歴史あるテキーラ工場の見学
いよいよJose Cuervo社の工場見学。
テキーラは、アガベという植物を、加熱して絞り、発酵・蒸留して作られています。そして、ハリスコ州の政府の機関が認定した蒸留所で作られた、特定のお酒のみをテキーラと呼び、作り方や材料などに細かい条件があります。
ツアーでは、アガベの加熱炉や、蒸留釜、そして熟成樽や倉庫まで、テキーラ作りの一連の流れを見学。ガイドさんがその工程を一つ一つ丁寧に説明してくださいました。
ちなみにJose Cuervo社はテキーラの蒸留所の中でも最も古い、1795年創業の蒸留所なのだそう。そのため工場はどこかレトロで、どこを写真に撮っても絵になる雰囲気。特に工場全体のカラーである壁の鮮やかな黄色が美しく、青空とのコントラストが素敵でした。
工場見学の終盤には、テキーラベースのフローズンカクテルも。終日テキーラを味わえるツアーです。そして工場の出口付近には、Jose Cuervo社グッズのお店があり、テキーラやTシャツ、タオルなどを購入することができます。
13:00 カラフルなテキーラ村を散策
工場見学の後は、テキーラ村での約3時間のフリータイム。ランチもこの時間にいただきます。私たちは、行きの列車でガイドさんが提案&予約してくれた、Jose Cuervo社経営のビュッフェ形式のレストラン、Patio Mexicanoへ。広い中庭があるレストランで、炭火で焼いたお肉や野菜がとても美味しかったです。
食後はテキーラ村を散策。テキーラ村は、メキシコ政府認定のPueblo Magico(魔法のような素敵な街)にも選ばれている、カラフルでとても美しい街です。
素敵な建物やお店が多く、またお土産や食べ物の露店も並び、街歩きがとても楽しい場所です。
屋台でテキーラやテキーラベースのカクテルなどが売られていて、多くの観光客が、大きなカップを片手に、歩きながらお酒を飲んでいました。35度超えの暑いテキーラ村の屋外で飲むお酒の味は格別です。
16:00 圧巻のメキシカンショー
自由時間の後は、メキシカンショーの観覧。まずはマリアッチの演奏からスタート。ショーの最中も、好きなだけテキーラやカクテルをいただけます。
途中5〜6曲ほど、お客さんも一緒に歌う曲がありましたが、驚いたのは、老若男女問わず、多くの方がほとんどの曲を知っていて、歌っていること。日本にはみんなが歌える曲のレパートリーはこんなにないような気がします。メキシコって音楽の国なんだなと、改めて実感しました。
私にとっては知らない曲ばかりでしたが、明るい曲調に心が踊り、また多くのお客さんが楽しそうに歌っている、という光景に感激しました。
続いて、メキシコの民族舞踊。衣装も踊りも明るく華やかで、思わず、わぁ!と、口から気持ちが溢れてしまうほど。そして、ナイフを使ったダンスや、水の入ったコップを頭に乗せた面白いダンスも。
何より、踊り手のみなさんの、心からダンスを楽しんでいることが伝わってくるような笑顔や、踊りながら楽しそうに叫ぶ様子に、なんだかとても元気をもらえました。
そしてショーを見ているうちに、"こんなに底抜けに明るくて元気な、メキシコという国に来れて本当によかった!!"と、感極まり、少し酔っていたのもありましたが、涙が出てきました。心が動かされる、本当に素敵なショーでした。
18:00 これぞメキシコ!な景色。アガベ畑
ツアーの最後はテキーラの原料、アガベの畑を訪問。日差しが強く、テキーラには、この太陽のエネルギーがたくさん詰まっているんだろうなと感じました。
アガベの葉を刈り、ピニャ(piña)と呼ばれるテキーラの材料となる中心部分を取り出すデモンストレーションを見たり、写真を撮ったり、テキーラを飲んだりと、畑ではのんびりとした時間を過ごします。
ここでもまたマリアッチの演奏があり、今度は20人ほどのお客さんが何曲も踊っていました。さらにお客さんに混ざって、私たちの担当のガイドさんの踊る姿も。陽気なガイドさんの様子に、こちらも楽しい気持ちになりました。
畑からはバスで2時間ほどで、グアダラハラのセントロ近郊の停留所へ戻りました。
テキーラ列車のツアーは、テキーラについて知ることができるだけでなく、メキシコらしい景色を見ることができたり、メキシコの陽気な国民性を肌で感じることができたりと、メキシコらしさが溢れるツアーでした。
メキシコに住んでいる方も、メキシコに旅行に来る方も、メキシコらしさにたっぷり浸りたい方は、ぜひこのテキーラ列車のツアーに参加してみてください。
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