前曲の変ホ短調から、まさかの遠い遠い調、ロ長調。まるで目が覚めたような。でもどこか非現実的な響きのする調。覚めると分かっていても見たい、彼女の夢。
四分の二拍子、他に指示なし。
歌もピアノの両手ともアウフタクトから始まるのは、不安定な落ち着きのない感じがする。三番とも詩の二行目までは歌、三行目、四行目は語りで作曲されている。
前曲も夢だったが、一連毎に目を覚ましては泣いていた。
この詩では目を覚ますのは三連目だけ。
彼女は詩人に糸杉の花束を渡したのです。
ゴッホの絵にしばしば現れる、あの細長く伸びる木。
花束を渡されたところでハタと目が覚めた。糸杉は死を象徴するもの。え?
もちろん手には花束などなく、その前に彼女はなにかいいことを言ってくれてたけどそれも思い出せない…..
前奏もなければ、後奏もほとんどなく終わる。