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#2 次世代の管理会計分析環境「MF on SSOT」までの道のり

マネーフォワードで分析推進室/室長をやってます、酒井と申します。

今回は、マネーフォワードのイケてる管理会計を実現している、データ構造/管理会計分析フレームワーク「MF on SSOT(Management by Fractal on Single Source of Truth)」が、どう実装に至ったのかという流れと、実際に自社で始めるためのポイントについてご説明します。

「MF on SSOT」については、#1_マネフォが実践する「MF on SSOT」、イケてるデータ分析/管理会計のご提案を参考にしてください。

プロジェクト発足前

私個人で、複数のExcelファイルをつかって各種「フラクタル」な分析を実施していました。そのときの元データの持ち方が、すでに「フラクタル」でした。一方で、SSOTでなかったため、運用に無理が生じていました。

プロジェクト発足(Day 0~)

昨年、GWの自由研究として、BigQueryでExcelのロジックを再現しはじめました。財務会計の集計プロセスがフラクタルでないものについて、分解して集計できるようにロジックを確認し、SQLで再実装するのが辛かった……。

この経験から、Day0人材は、自社内のベテラン分析官(SQLの素養必須)、可能なら管理会計やマネジメント経験があるような人をアサインすると良いと感じました。

組織立ち上げ(Day 90~)

脱Excelができ、フラクタルなデータ構造がBigQueryに貯まるようになりました。一方で、運用負荷が高く、ヒューマンエラーも沢山起きていたので、これを本格的にシステムに載せることにしました。このタイミングで、GCPにめちゃくちゃくわしいエンジニアと一緒にチーム化を行っています。

Day0人材が同様にデータ分析基盤の知識を持っていればまだ1名でもいいかも知れないですが、ここでどれだけ将来を見越して理想的なシステム構成を作れるかが直近数年の生産性の鍵なので、ケチるべきでないです。

※ ちなみにこの頃、組織の目指す姿をこの記事にしたためました。

組織拡大(Day 180~)

活用拡大をすべく、BIツール(当社の場合Looker)を導入しました。また、同タイミングでBIに明るい人材を採用しました。これにより「MF on SSOT」基盤の活用が一気に拡大を始めます。

ざっくり役割分担としては、
・Day90人材(GCPのプロ)が、データ基盤の作り込み
・Day0人材(ベテラン分析官(私))が、データマートの分析テーブル作成
・Day180人材(BIのプロ)が、データマートのテーブルを使ってBIの作成
という感じで、データの上流から下流までもれなくカバーしていました。

現在(Day365~)

インターン生を一気に採用し、組織は6名になりました。ここから先は、なるべく学生インターンを中心に組織を拡大することで、筋肉質な組織を目指します。

正直なところ、超優秀な人材にとって、BIダッシュボード構築や、分析環境の維持は、単調になりがちで挑戦しがいを感じづらい仕事だと私は考えています。
一方で、超優秀な学生にとっては、こういう仕事は珍しく、知的で、様々な部署と関わり、やりがいを感じられるとも考えています。特に、「MF on SSOT」利用拡大により、こういった仕事は指数関数的に増えており、比較的気軽なインターン採用と非常に相性が良いです。

等身大の課題

このように語っていると、いかにも当社がすごく見えるかも知れません。
一方で、まだ取り組み中の課題も多いです。

例えば、利用拡大が進んだ一方で、あまりに進みすぎて基盤の安定性が追いついていません。

具体的には、テストの記述が足りず論理エラーが起きて数字の間違いが発生したり、まだ残っている手作業・Excelのミスがおきたりしています。SSOT = Single Source of Truth の観点でこれは大きな問題であり、鋭意解決に向け取り組んでいます。

また、「財管一致」ができていないという問題もあります。

これは会計人以外には耳慣れない単語だと思いますが、要するに「MF on SSOT」により計算される管理会計上の売上と、経理が集計する財務会計上の売上に差が発生しているという問題で、マネジメントの観点でこれはノイズなので、除く必要があります。一方で、この実現には、財務会計ロジックのSQLによる正確な再現が求められるので、かなり難しい取り組みです。

他には、費用サイドのフラクタルなデータは、まだ基盤に載ってきていません。費用サイドはフラクタルと相性が悪く、例えば交通費などは個人・部署に紐付けやすいですが、オフィス費用や光熱費について、フラクタルに個人のレベルまで、というのは現実的になかなか難しいです。とはいえ、ABC(Activity-Based Costing)分析などを活用すれば実現も不可能ではないと考えています。

最後に

「MF on SSOT」をやりきるには、ある程度特殊な人材要件が必要です。
ただ、とにかくまず第一歩として、Excelベースでいいので「フラクタル」なデータを整備しはじめることをおすすめします。

確実に今やっている分析業務の苦労が減り、より高度な分析をできるようになります。これは、第3回:マネフォで経営と現場を繋ぐデータ構造/管理会計分析フレームワーク「Management by Fractal」で詳しくご説明します。

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