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(32)「52ヘルツのクジラたち」を読んで感じたこと

3月14日(木)22:26

この本に出会って、宝物を見つけたような温かい気持ちになったのでnoteでシェアします。私はこの本を読み終えた時、もつれた糸がふわっとほどけたような感覚でした。


🔖本と出合ったきっかけ

きっかけはひょんなこと。先日の朝、親友からのLINE。内容は、【52ヘルツのくじらたち】っていう映画がおすすめだというものだった。彼女曰く「今上映されている映画を観る前に、あえて、小説を読んでほしい。きっと見え方が変わると思うから!」とのこと。

聞き慣れないタイトルだけど、いい作品だったからとおすすめしてもらったことが喜しくて、仕事終わりに本屋に寄ると決めた。彼女と出会って約12年、私のことを熟知している彼女のおすすめなら間違いない。

その日の仕事終わりに早速最寄りのBOOKOFFへ駆けつけた。私は本を買う時、まずは古本屋に行ってみる。ふらっとありそうなところを歩いてみて、出会えたらラッキー。そしてついつい、表紙やタイトルに惹かれた他の本も一緒に買ってしまうのはお決まり。新品もいいけど、本は新品じゃなくてもいいし、私は誰かが読み終わって不要になったもので十分。

本屋って落ち着くよなあ

ここにはそれぞれの見解や正解がズラーっと並んでいて、ジャンル問わず様々な本が共存する。この空間にほっとするというか、仕事の疲れが浄化された。並んでいる無数の本の中にいると心が落ち着くので、本屋は気軽に寄れる癒しスポットだ。

ふらっと店内を歩いていると、ふと目に入ってきたお目当ての【52ヘルツのクジラたち】

そう、これこれ!

〜あらすじ〜
52ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一匹だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。そのためこの世で一番孤独だと言われている。
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれる少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる――。

読書メーター KADOKAWA  Groupより

文庫本と単行本のそれぞれ違う表紙の可愛さをまじまじと見比べて、しばし悩んだ。どっちも良い。だけどもし私がこの本を読むとしたら、電車の中やちょっとした空き時間で読むはずだから、気軽に読めるほうがいいよな。なんて考えながら、持ち運びが便利という理由で小さな文庫本に決まった。


🔖感想

※ネタバレにご注意ください


通勤時間や仕事の休憩などのスキマ時間を使い、なんと3日で読み終わった。私史上最速を更新。こんなに夢中に小説を読んだことも、小説を3日で読み終えたことも初めてだった。

感情を揺さぶられ、琴線に触れるとはきっとこのこと。この作品を読んで、これ以上に深い愛はないと思った。重たく辛い場面もあるけれど、最後は光を見出し切ろうとする貴瑚(主人公)の姿に生きる勇気をもらった。大切にすべき人はすぐそばにいること、限りある人生で誰に自分の時間を使うかを特に考えさせられた。最初はページを捲ればめくるほど孤独という深い海を彷徨うように感じていた辛さが、いつのまにか温かな優しさと切なさに包み込まれて、読了後こんなにも心が満たされると思ってもいなかった。心のど真ん中に響いた素敵な作品。

映画の主題歌であるSaucy Dog「この長い旅の中で」をBGMにこの本を読んでたんだけど、通勤時間や仕事の休憩時間にひとりウルウルして鼻を啜っていたのはこの私です。ここだけの話、何度も涙を堪えて涙腺が崩壊寸前だったので、涙脆い方は誰もいない場所で1人っきりで読むことをおすすめします。ぜひBGMは、Saucy Dogの「この長い旅の中で」


🔖電子書籍じゃなくて紙の本を

この作品の素敵な部分は沢山あるのですが、表紙もそのひとつ。この作品は決して軽やかに読み切れる内容ではないはずなのに、この表紙だけは世界観が違う。読了までは、なんでこんなに希望の光を感じるんだろう?まるで誰かの宝物と優しさを描き集めたような優しい絵だなと不思議に思っていました。

ブックデザイナーの鈴木久美さんは「重たいテーマを扱っているだけに写真だと生々しくなってしまうと考え、表紙はイラストを提案しました。人の大事な感情が描かれた、希望が込められた作品でもあるのでその部分も表現したかった」

「ブックデザイナー・鈴木久美さん 物語の先にある優しさと喜び」 産経新聞 より

調べたらこんな答えを見つけました。あぁ、なんて深いんだ。この紙の本には、一見、見落としてしまいそうな愛が沢山詰まっている。

「読み終えた後に表紙を見ると、ガラッと世界が変わって見える。本が売れない時代だからこそ、紙の本を買ってくれた人に、物語の先の喜びを味わってもらいたかった」

「ブックデザイナー・鈴木久美さん 物語の先にある優しさと喜び」 産経新聞 より

今の時代、電子書籍も便利だけれど、紙の本を選んで本当によかった。親友よ、いい本に出合わせてくれてありがとう。


ふと文字数を確認すると2,123文字。私史上一番長いnoteです。愛を込めすぎました。ここまで読んでくださりありがとうございます。ハート♡もぜひお待ちしております!

それではまた来週木曜日にお会いしましょう〜!

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