イチョウ色のスニーカー
僕らは、何かの歯車が噛み合わず出会ったのだろう。
言い換えると、人生のイレギュラーといえようか。ボタンの掛け違いが組み合わさって、僕らは出会ったんだと思う。
そう思いながら、京の都を自転車で駆け抜ける。
青、茶、赤、黄で彩られる景色。
枯葉が舞い、冬が迎えに来たようだった。
この街は秋が似合う。
和洋折衷だが、我こそがと和が前に出ているのは、母国の意地のようで悪くない。
小さな自転車にのる友人は小柄だがしっかりしていた。
この歳になって、自転車に乗って旅に出る友人ができるのはなんとも感慨深い。
歳なんて関係ないと言ってくれているようで、
好むことが近ければ、どこへだっていけるのだと思えた。
何も話さずに、ただ前に前に風を切る。
「いい休日だ」
信号待ち、そう言い合い笑う。
「健やかだ」
そう言った友人は、いちょう色のスニーカーで勢いよくペダルを踏んだ。
これから楽しくなりそうだ。
さぁ次はどこへ旅にでようか。
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