オードリーのオールナイトニッポンin東京ドームの話
2024年2月18日
オードリーのオールナイトニッポンin東京ドームを観てきた。
本当はいろんな人たちの感想を聴く前に純粋な自分の言葉で感想をまとめたかったけど、ゆっくり感想が書ける日が本人たちの感想回を聴いた後になってしまった。
今回はイベント単体の話をするか、この数年のオードリーについて話すか、そもそもブレイク以降から語るか、私とラジオについて書くかすごく難しい。推敲しすぎると、また感想の鮮度が下がってしまう。
なのでごちゃごちゃな文章になるかもしれないけどご容赦いただきたい。
オードリーに対してはブレイク期のズレ漫才も好きだったし、何よりその後の若林さんの人見知り芸人でのラベル見つめをはじめとした根暗トークやエッセイに惹きつけられていた。私がたまにnoteを描くのは、ほぼ若林さんの影響と言っていい。
お笑い好きの中の一部、ゆるめのオードリーファンといった感じがラジオを毎週聴く以前だった。
ラジオに関しては高校3年生だった2012年にくりぃむしちゅーのオールナイトニッポンの過去回をすごく聴いていたんだけど、その後は深夜ラジオはたまに話題になった回を聴いたり、作業用BGMにしてた程度。
オードリーのオールナイトを恒常的に聴き出したのは2018年の12月から、確か武道館前の北九州でのライブ後の放送だった。
たまたまその頃いろんな芸人さんのラジオを再度聴き始めてた頃だったんだけど、若林さんが久留米に住むラジオネーム"朝礼にチョーレイ"に会いに行く話をしてたのが面白く、そこから全ての回を聴いている。
ラジオで言うと、この年度明けの2019年4月に佐久間さんのANN0が始まったことも大きい。
初回から全てをリアルタイム軸で聴けるラジオが誕生したことで、ラジオへの思い入れが深まっていって、現在に渡るまで飽きることはなかった。
武道館の時は、その後若林さんの燃え尽き症候群や独身クライシスの話をしてたので(やってるテレビゲームをクリアすると人生の目的を失っちゃうからクリアするのが怖いみたいな話とかしてたよね)、本人たちがものすごい集大成として懸けていたことは感じたのだけど、前後の語りから重さを知ったという感じだった。
一方今回は武道館以降の全ての回を聴いている、最新の傑作選がかなり分厚く「この中に入ってるトーク、全部聴いたことあるやつなんだよな、どの回が選ばれてるんだろう」と、そう思える事に感慨深い気持ちになった。
イベントの感想にも通じるけど、話してること、ネタにしてること全部が背景含め分かることが嬉しかった。
5年単位で見ると二人のトーク内容やテンポ感も異なるのだろう。
前の5年間は春日さんモンクレール真っ只中で、他にも東大を受験してたりしたのだから。散々ネタにされるミレニアムズもこの辺の時期なんだから。
若林さんが海外から日本に帰国する時「ほんとのことを言わない国に着陸するんだな」とか思ってたような時期だから。
あのライブでの観客の様子を見て、もう若林さんはそう思うことはないんだろうなと感じた。
脱出ゲームでは超初期の放送の一部を聴いたが、春日さんがすごく率先して話しててびっくりした。あの頃なら露出からしても春日さんの背番号が1、若林さんが2で全く驚かなかっただろう。
オードリー自体はともすれば一発屋になりかねない芸風だったにも関わらず、2008年のブレイク以降ずーっとテレビに出続けている。
厳密には若干下がった時期もあるのかもしれないけど、傍目で見る分には分からないほど。
春日さんの"春日"をやり切る力と、若林さんのブレーンとしての優秀さがあって、2人の良さが交互に発揮されているような感じ。
二人ともテレビで与えられた役割を忠実にこなしていた、そのサラリーマンの悲哀を思わせるような二人がラジオで本音をぶちまけている様が、まるで飲み会で愚痴を語り合うような親近感を湧かせ続けてくれてるのだろう。
明確に段が上がったタイミングが分からないのだが、この5年間で気が付いたら凄まじい格の上がり方をしていたことを今回のライブを通じて感じた。
春日さん第一次オードリーブーム中ならまだしも、2022年テレビ出演本数ランキング1位だもんな。あの集計基準も曖昧でぬるっと発表されるランキングに春日さんと麒麟の川島さんが本気になってたのめっちゃ笑ったな。
春日さんは一貫して悠然としてるけど、若林さんがかかりつけの病院の先生に結婚の話をして「思春期が終わりましたね」と言われたエピソードに象徴されるように、何かとの葛藤から抜け出した期間な気もする。
キーポイントは2019年開始のあちこちオードリーになってくるのか。あの番組当初土曜の昼やってたんだよな。途中でmenuのテイクアウトのご飯食べながら。
あの精神的に一番余裕のある時間に放送していたあちこちオードリーをリアタイで見るのが好きだった。
テレビの中でオードリー、特に若林さんの良さが一番発揮されている番組の一つだろう。
開始当初からとにかく生き生きしてることが伝わってきた。割り切ってテレビの骨組み作りをやっている若林さんではなく、ラジオでの良さが発揮されていた。
また春日さんもラジオの春日さんに近くオンの"春日“からは降りている。今や二人が自然体に近い番組ばかり見てるのだけど、「あのオードリー春日がまともなツッコミをしている」というのもたしかに数年前ではなかなか見られない光景だったかもしれない。
そんなあちこちオードリーの中で「天下は諦めた」とか言って、天下に執着するノブコブの吉村さんをつい最近まで笑っていたはずなのに。今回のライブ後の反響、明らかに天下取っちゃってんじゃん。
佐久間さんがラジオだったかで「世の中が嘘に厳しくなった」と言ったようなことを言っていたけど、そんな時代にはカリスマより等身大生き様芸人の相性が良いのだろうか。
日向坂46の公式お兄さんとしてもすっかり定着した。パパにもなった。
かつてみんな死んじゃえって目や話し方をしてた、世の中を皮肉るようなトークが注目された人の表情が今はとても柔和だ。
二人の良さが違うからこそどんな時代、笑いにも柔軟に対応できるのだろうか。いや、もはやいつの間にか時代の空気感を作る中心に気付いたらなっていたのだろうか。
東京ドームライブが発表された2023年3月時点では、正直それがどれほど凄いことなのかピンと来ていなかった。
私は東京ドームに野球観戦では幾度となく行ったことがあるが、それ以外のライブ等で行ったことがなかった。
東京ドームからの放送回、二人ワクワクしながらドーム内を散策してたこと、特に春日さんのテンションが高いことが印象的だったが、それは二人ともが野球ファンだからと思ってた。
「イベントで野球やらない?」とか確か言ってたし、あの頃はチケット応募総数を含め、こんな大層なイベントになると思ってなかったのかもしれない。
慣れてるからだろうけど野球を観に行く分には言うほど高尚な空間というイメージもなく、WBCでもないと極端なプレミア感はない。
だから東京ドームでライブをやると聴いてもDJ KOOさながら「野球やるとこだなあ」と思った程度だった。
逆にプロ野球は1球場あたり年70試合近くやってるにも関わらず、別に特別な試合じゃなくても簡単に数万人のお客さんが入っている。
それが5年ぶりのラジオイベント。
若林さんは4,5月のステッカー配布前、ドームがガラ空きの夢を見るというほど過剰に心配してたけど、争奪戦は凄いことになるだろうと思っていた。
ただドームライブとなると大抵は音楽の人たち。芸人のイベントはそもそも前例がないので、想像も付かなかっただろう。特に若林さんは地に足がついてる方なので尚更。
これもまた本人たちや周りの語りを通じて、いかに東京ドームが物理的にも精神的にも大きなところなのか知ったという感じ。
チケット争奪戦。案の定激しかった。ゲストの発表もなければ、イベント構成も不明なのに絶大な信頼があるのだろう。
結果的に私は4次先行で注釈付きアリーナ席を取ることができたのだが、実はこの事には当落発表から丸1日以上経ってから気付いた。
一般販売前日に「そういや4次の結果見てなかったな」となって見た時に当たってた。2次先行までは躍起になって当落確認をしていたが、4次の頃にはそれほどまでもう現地には行けないものだと思い込んでいた。
当たらない期間中road to 東京ドームのコーナーやグッズ販売案内に関しては、応援こそするが複雑な気持ちがあった。
自分には縁のない遠くの話をされている感覚。
くりぃむANNの過去回を聴いてた時、もう過去なので絶対に行けるはずのないイベントの話をされてる感覚に近かった。
(そういや彼らも奇しくも東京ドームシティでイベントをやっていた。81818の回を初めて聴いた時に息が苦しくなるほど笑った。)
似たようなことを思ったファンが少なからずいたのだろう。「気持ちが離れた」といった旨の投稿がバズったりしていた。
放送内で具体的な応募総数が語られることはなかったけど、1次先行後の若林さんの感謝のセリフにとてもグッときたのを覚えている。
最終的に気持ちが離れたとかがバズった後、年明け頃に若林さんが自身のnoteでお詫びをされ、その時に今回の応募総数が19万人に達していたことが公表された。
とはいえ、当人たちもイベント前の週までネタにしていたけど当日まで一体何をするんだか分からないので、1週間前になれどイベントが近付いてる実感が薄かった。体調不良だけはなりたくないなと思ってた程度。
イベント前、ラジオを全く聴かない人に話の流れで「オードリーの東京ドームライブに行くんですよ」と言った時「なんか話題ですよね。ラジオのイベントって具体的に何するんですか?」と質問されて全く答えられなかった。
「うーーん、たぶん漫才はやると思います。あとはトークかなあ。」とか言ったと思う、よく覚えてない。多分イベント後の今でも答えられない。
その後「私、モニタリングの春日のプロポーズにめちゃくちゃ感動しちゃったんですよ。」と返された。
「もしやこの人は例のフライデーを知らない?」と思ったので、直後に週刊誌報道があったこと、フライデー直後のラジオが伝説的に面白かったことは言わなかった。
確かに感動的だった。少したどたどしい栄光の架橋のピアノ演奏、実直な手紙。2019年4月オードリー春日株の乱高下は凄まじいものがあった。あのままの形で好感度No.1芸人路線に乗りかねなかった。
もしフライデーの記者が春日さんを尾行してなければどんなその後があったのだろう。
不祥事なのにうまく作用してしまう、春日が噛んだのを若林が台本以上のツッコミで捌く、まるでM-1で「噛んで面白いってのはどういう事だ」と言われたのをそのまま表しているかのよう。
2019年のフライデー事変と若林さんの結婚は明確にオードリーのターニングポイントだったように思う。
イベント当日。
まず外の光景がとにかく異様だった。
ほとんどの人たちがグッズのユニフォームやパーカー、スタジャンを着ていた。武道館のリトルトゥースTシャツを思うと、今回は本当にファッショナブルだ。
最寄駅では見えないように袖で隠していたラスタカラーリストバンドもアピールしたくなる。
それに本当にいろんな人たちがいると思った。
ステレオタイプ的には深夜ラジオリスナーは内向的そうな男性が多そうだが、もうそんな時代じゃないし、サブカルでも閉じ切ったものでもなくなったんだなと感じた。radikoで時間、場所を問わずに聴けることの効果だろうか。
席はレフトの守備位置あたりだった。またしても「野球やるとこだなあ」と思ったし、野球ファンとしてラジオに関係なくフィールドに立てることが嬉しかった。
面白かったのはステージ裏体感席がどのエリアよりも埋まりが早かったこと。
たしか前座ナイトニッポンの時点で大半埋まってた。あと規制退場を完璧に守ってて、熱量もモラル意識も高いリトルトゥースが集まってたんだなと思った。
若林さん登場、ビタースイートサンバをBGMにラスタカラー号で通路を走る様がカッコよかった。席が通路寄りだったので、目の前で見れたのが嬉しかった。
二人がグッズを着てやってくれてるところも、ファンと一体感を感じさせてくれて嬉しかった。
オープニングトークやフリートークを観ていながら不思議な感覚に陥った。東京ドームに5万人、オンラインも含めると10数万人を集めている"スーパースター"の二人が身近なのだ、まるで仲の良い先輩がとんでもないとこ行ってしまったような感覚。
若林さんのフリートーク、Masayasu.Wとして意気地なしだったり、お金を稼ぐ難しさを感じたり、目的があると世界に色がつく話、良い意味で通常回の公開収録か?と思わせるほど若林さんの面白さが全面に出たトーク。
春日さんは長楽のポークライスを再現する話。大半のリスナーからすると全く思い出はないはずの話なのになぜあんなに懐かしく思いながら聴けるのだろう。
元の長楽の味を知らないので、おそらくみんな頭の中で作り上げたポークライスの味は違ったはず、だから面白い。二人連続トークの中で中華料理が登場したので、すごく中華を食べたい口になった。
春日さんがベンツのゲレンデを買ってしまい、節約キャラとしての扱いが難しいとなった直後にゲレンデの資産価値を1円も下げたくないことをフリにしたひろしのコーナー。
この春日さんの感覚は若干ながら分かるので、ちゃんと気の毒に見てしまったんだけど笑
ステージ裏に近い席だったので一斗缶の撤収でものすごい音がしてた。
春日さんとフワちゃんのプロレス。
私はフワちゃんANN0も聴いてるので、出囃子がイッツアシンゴーライフなので歓喜してしまった。
次の日の本人のラジオで流れてたけど、めちゃくちゃラジオ内のネタが使われてるリミックスバージョンになっててよかった、当日全く聞こえなかったけど。
フワちゃんもラジオだとテレビで見ているオンの"フワちゃん"とは違うので、久しぶりにオンモードのフワちゃんを見て新鮮だった。振り返ると、この点春日さんと似てるんだよな。
途中途中にショーパブ芸人が起用されてることに愛を感じた。去年のどっかの放送で若林さんが「俺やっぱショーパブの笑いが好きなんだよね」と言ってたことを思い出した。
若林さんのDJプレイ。サンプリングが最高。EZ DO DANCEが流れ始めた時、まさか武道館からtrf駆け付けるのかと思った。KOOさんやっぱ面白すぎるよな、実質ゲスト出演してた。
若林×星野源ライブ→しんやめ→エンディングトークの時、もしやこのまま終わるのかと思った。それくらい充実感に満ちたものだった。
通路のそばだったので、トロッコの時また二人を近くで見れるかと思ったけど、ちょうどレフトスタンドの近くだったので、二人はステージ裏体感席に向かって手を振っていた。
イベント中二人は、ライブビューイング勢に配られたラバーバンドを身に付けていたが、ステージ裏体感席やライブビューイング、配信勢に盛んに言及したり、かなり気にかけていたように思った。
若林さんの謝罪noteを振り返っても、当初観客数を過小に見積もっていたことや、大量に会場から溢れてしまったリトルトゥースがいたことにかなり複雑な思いを抱えているのかと思った。
だからこのシーンを見て優しいなあと思いほっこりした。
代わりに私たちのブロックにはサトミツさんがめっちゃ手を振ってくれた。佐藤満春タオルの人結構いたんだよな。
漫才。
最高だった。私の席からはライトに照らされる後ろ姿の神々しい二人の姿が見れた。
あれはDVDになっても見ることができない、あのブロックの人だけがセンタースクリーンを犠牲に見れたものだ。
漫才のネタも入りはいつかのオープニングトークでやっていた名探偵コナンのネタなの嬉しかった。
若林さん2009年より絶対音程取れるようになってる。ラップもできるし、今なら歌へた芸人として起用されることはなさそう。
最後二人が感謝の棒をスイングしてる時、ライトに向かって打とうとしている後ろ姿、本当にカッコよかった。
何より嬉しかったしグッと来たのは、最後ズレ漫才で着地をしたこと。
冒頭で述べた通り私はオードリーのズレ漫才が好きなんだけど、最近披露はなく、ラジオのトークを聴いていても若林さんはもうズレ漫才を作りたくないのかな?と思っていた。
本人的に武道館でのイタコの漫才が最高の出来、ということならなおさら。
ズレ漫才は画質が粗いレッドカーペットの違法アップロードでしか楽しむことはできないものだと思っていた。
そのオードリーブレイクの原点であるズレ漫才を東京ドームという最高の舞台で、漫才の一番最後に持ってきたことに勝手ながらポリシーを感じて大いに笑ったと同時に感動した。
漫才の体感時間は15分くらいだったので、翌日のワイドショーで「漫才30分以上」と書いてありたまげてしまった。
どう考えてもそんなわけなさすぎる、密度こそ濃かったがそれくらいあっという間に感じた。
私が一番恐れていたのは、今回のライブでオードリーANNの勇退が発表されることだった。
武道館後の若林さんの燃え尽き方を知っている。まして東京ドームという日本最高の舞台。「これ以上のものが出来る気がしない」とラジオを引退してしまうリスクがなくはない気がしていた。
悲しいことに永遠はない。どんな長寿番組だって、どんな人気番組だっていつか何かのきっかけで終わるのだ。今回のライブに対してもずっとそれはあった。
なので漫才中の若林さんの「ここで皆さんにお知らせがあります。」のセリフで本当に身構えてしまっていた。
20代後半という年齢柄、人から急に結婚発表や重大発表をされることも増えた。あらかじめ一番驚くことを頭に浮かべ、心の準備を取ることをよくやってしまう。
会社のポータルサイトにアップロードされる「ご退職のお知らせ」が仲の良い社員の退職かもしれないと警戒しながらクリックしてしまう、そんな感じ。
しかし、ライブ終了間際の二人の表情を見てそんな心配はしなくていいんだなと思えた。
家庭を持った効果なのか、二人とも"明日がある人"の顔をしていたように思った。5年前と確実に違うところ。
これからもリトルトゥースの期待に応えなければならないと、そう思わせられたならよかったと、ほんとに烏滸がましいけど一ファンとして思った。
滅多に人前で感情を出さない春日さんが本当に満足げで泣いてもおかしくない表情をしていたことが印象的だったし、「5年後またトゥースだったらやろうや」と言ってくれたことが嬉しかった。
24日の放送でも若林さんはライブ発表からリトルトゥースを含めみんなで作り上げたものだと言ってくれた。本当に嬉しかった。
最後に。
今回のライブの感想をいろんな方々が語ってたけど、個人的にはフルーツポンチ村上さんの感想が凄く好きだった。
完全に一ファンとしての目線で語ってくれてるので、ライブに行ったその日の感動をありありと思い出せた。
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