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双子出産記#3 安定期とカミングアウト、そしてかゆみとの戦い

安定期に入ってからは、わりと平穏な日々だった。
とはいえ、正確に言えば双子には安定期というものはないらしい。
いつ緊急入院になってもいいように準備しておくよう言われていた。

実際、子宮頚管(子宮の入り口の長さ。短すぎると赤ちゃんが出てきてしまう)も検診のたびに少しずつ短くなり、毎回「今日こそ入院かも…」とドキドキしながら通院した。

一方で、お腹の子たちの成長はすこぶる順調だった。
双子は小さめに成長するイメージがあったけれど、うちの双子は予想以上のペースで育ち、推定サイズはいつも長男の同時期よりも大きかった。
胎盤も2つ、赤ちゃんのお部屋も2つあるDD双胎(二絨毛膜二羊膜双胎)のため、他のタイプよりはリスクも低い。

安定期はないと自分に言い聞かせつつも、妊娠発覚時に感じた「また失うかもしれない」という不安は、お腹が大きくなり、胎動が強くなるにつれて薄れていった。

○○○

ちなみに今回、直属の上司には安定期に入る前からカミングアウトしていた。
つわりでどうしても仕事ができない日もあったので、早めに伝えておいてよかったと思う。

前回の妊娠時はまだ上司に妊娠を伝えていないタイミングだったが、たまたま流産が昇格試験の日と被ってしまって結局伝えることになり、どのみち伝えるならもっと早く言っておいてもよかったなと思ったのも大きい。

また、双子の場合、産休開始が早い。
出産予定日の14週前から取得できるので、私の場合8月末の予定日で、6月の頭から。
となると、妊娠発覚から休みまで、もう半年しかなかった。
数か月から半年以上先のゴールを目指して個人で(社外の人と)動かす仕事も多いので、妊娠が分かったらすぐチーム長と課長には伝えた。

逆に、職場の同僚や同期には私が産休に入ってもあまり大きな影響がないため(もちろん確実に、少なからず迷惑はかけるけれど、事前準備が必要なわけではないので)休みに入る直前でお知らせさせてもらった。
フルリモートで働いているので、体型変化で気付かれることもなかった。

親しい友人たちには、私の誕生日にお祝いのメッセージをくれたときに、その返信で伝えた。ちょうど妊娠5か月頃だった。

友人に妊娠を告げるときは、いつも少し緊張する。
もし相手が子どもをのぞんでいるのに授からない状況だったら?
授かったけれど失っていたら?
私の妊娠が相手にとってショックな出来事になりうるかもしれない。
そう思うと、伝えることが怖くなる。
でもやっぱり、自分にとって嬉しい出来事を、親しい人には伝えたい。
さらに正直に言えば、一緒に祝ってほしいという気持ちもあった。

結局私は悩んだ末、長男のときも、今回の双子のことも、産前に知らせた。
友人たちはみんな祝福してくれて、出産を応援してくれた。
本当のところ、どう思っていたのかは知る術がない。
そしてお祝いの言葉を送ってくれる際、何か葛藤があったとしても、優しいあの人たちが今後それを私に知らせることはないのだろうと思う。

○○○

さて安定期の話に戻ろう。
赤ちゃんたちの発育は順調だったけれど、やっぱりマイナートラブルは尽きなかった。
今回最も苦しんだのは、かゆみ。
しかもこのかゆみ、非常に残念なことに、産後半年現在まだ解消されてない。
号泣。

最初は手足にぷつぷつと赤みがでて、ちょっとかゆいかも、程度だった。
まぁ妊娠中はこういうことあるよね〜と放っておいたら、妊娠6か月頃にはひざ下が湿疹まみれに。

検診の際に相談したところ、ホルモンバランスの乱れと急な体型変化で皮膚が伸ばされて、湿疹でる人いるんだよね。双子の妊婦さんに多いみたい。まぁ原因不明なんだけど。
とのこと。

はーい、でました!
原因不明&個人差!!!!
別にひざ下の皮膚伸びてないんですけど!!!!!

塗り薬(レスタミン)が処方されたけれど、あまり効果は感じられなかった。

しばらくすると、ひざ下のブツブツがおさまり始め、お腹周りにブツブツが発生するようになった。
なぜひざ下がおさまったのか不思議だったけれど、今思えば季節が夏にかわり、靴下やタイツを履かなくなったからかもしれない。
お腹は、大きくなっていくお腹と肌着が擦れる箇所に湿疹が発生しているようだった。

これまた医師に相談するも、同じ塗り薬が増量されて終わった。
薬はいまいち効果を発揮せず、日増しにかゆみは増し、妊娠7か月頃には夜に痒みで眠れないレベルになっていった。

あまりに痒くて我慢しがたいので、自分でもいろいろと調べた。
どうやら私の症状は「PUPP(妊娠性皮膚搔痒症)」というものに該当するようだった。
妊娠中にかかる原因不明の皮膚疾患。
多胎の場合、リスクが8~12倍という記述も見つけた。
確実に治す方法は、「出産」のみ。
妊娠状態でなくなれば治るらしい。

産むまであと2か月以上あるのだが…と、痒みのピークにいた私は絶望した。
けれど一方でその「産んだら治る」は心の支えにもなった。ゴールはある。

今だけ、今だけの我慢と自分に言い聞かせ、時に欲求のままに搔きむしり、血が滲んだ肌を見ては悲しくなり、でも痒さには敵わずボリボリと搔きながら、薬を気休めに塗り耐えた。

が、先述したとおり、産後も治っていない。
産後はお腹だけでなく腰回りやデコルテ、腰にも湿疹が広がってしまった。
だからPUPPではないのかもしれないし、産後も長引く特殊なパターンなのかもしれない。

産後、育児の合間にオンライン皮膚科で診てもらったところ、妊娠出産による様々な影響でおこっている「接触性皮膚炎」と言われた。
もう妊婦ではないので、PUPPではないということらしい。
難しい。

寒くなるにつれ、猛烈な痒みはおさまったけれど、今も腰の湿疹がうっすら痒い。
授乳を終えて、飲み薬も気兼ねなく飲めるようになったら本格的に治療できるかなぁ。そしたら治るかなぁと、少し諦めモードで願っている。

○○○

そんなこんなで、双子は順調に育ち、母体はまずまずなコンディションで妊娠後期を迎えた。

寝付けないほどの痒みはしんどかったけれど、双子妊娠で、母子ともに健康体ならそれ以上のことをのぞむのは贅沢かもしれない。

私のお腹は長男の臨月の時より遥かに大きくなり、2人が同時に動くと地震が起きたかと思うほどに体が揺れた。

命が2つもお腹の中に宿っているなんて、頭ではどこか信じられないままだった。
でも明らかに、この重さは2人いる、異常事態だ、と身体が訴え始めてもいた。


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