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サイエンス・ファンタジー ワンシーンカットアップ大賞 結果発表

はじめに

この度はサイエンス・ファンタジー ワンシーンカットアップ大賞にご参加いただきありがとうございました。

結果発表の前にお伝えしておきたいことは、今回賞に選ばれなかったからといってあまり落ち込んでほしくないと言うことです。
重ねて言えば、賞を取っていない=劣っているということではありません。
むしろ、いずれも信じられないほどレベルの高い作品ばかりで驚いたというのが本心です。

これはコンテストですので、勝者と敗者が出てきます。
出来る限り平等に審査を行ったつもりですが、残念ながら万人に納得のできる評価は事実上不可能です。

とりわけ、主催者が言うことではありませんが、この企画のレギュレーションは相当癖が強いものです。

まず内容について、これは意図してのことでもありますが、SFとファンタジーという大ジャンル同士を混淆せよという難題を課しています。
しかも、混ざり具合が5:5であれば高評価ということでもない、曖昧な基準です。

そして作品形式についても、参考にした企画とも違い、前後を感じさせるワンシーンをカットアップせよという一般的にはあまり無い、難易度の高い形式です。

加えて、間違いなくこれは開催経験の無さから生じた私のミスなのですが、文字数の目安をかなり適当に決めてしまい、ワンシーンというには長く、頑張って切り詰めれば超短編が書けてしまう5000文字という数に目安を設定したことが混乱を招いたと思われます。(念のため補足しておくと、ワンシーン規定と文字数規定についてはバランスを考量して審査しています)

大賞と優秀賞、最終候補作はそれぞれ1点ずつしか差が有りません。どれが優勝してもおかしくありませんでした。

「わたしの作品が理解できなかったか凡愚が」
「振り切っちまったかよ、おれの速度が」
「次はないぞ、たぬき畜生が」

そう思って、飲み込んでください。

結果発表

大賞(賞金5,000円)

ほうき星の魔女と妖魔の王子
サイエンスファンタジーとしての世界観、物語としての広がり、共に優れていました。
見せ場の戦闘シーンを展開させつつ、その勢いを損なわないよう主人公の思い、これまでの出来事を織り込んだ腕前は見事です。
また、戦闘と帰艦した後とを主人公の心の流れでつなぐことで纏まりを持たせている点も良いですね。

優秀賞(賞金1,000円) 2作

MAGIC
高度に科学の発達した世界観に本物の魔法が顕現する。
サイエンスとファンタジーを融合というより溶接したが如きこの試みを、テンポの良い文章で成立させる手腕は見事です。
小説を書く地力というべきものを感じました。


パラポリンカ
文明が退歩し、一部の技術の歪な発展の様子は魔術じみています。
仮想SFとサイエンスファンタジーの境目はギリギリで、私はサイエンスファンタジーと断じました。
レギュレーション上予想はでき、期待もしていましたが、多くの作品で大ネタのシーンがチョイスされていました。その中でも全体と詳細の切り替えが巧みです。

最終候補作 2作

ニールと結晶の乙女たち
世界観とシーンのカットアップがともに優れていました。
しかし、テンポ良くシーンが展開される反面、却ってキャラクターの把握に一瞬のタイムラグを要することで微かな不和が生じており、紙一重の差で受賞を逃した形となりました。


ユグドラシルの空の下(賞に参加したため非公開化:2023/4/11記)
降下作戦の直前から始まる一連のシーンを描き出す筆力に確かなものを感じました。また、世界観もすっきりと分かりやすいものでした。最後が投げやりなように思えたのが唯一残念です。

特別賞

宇宙龍脈幹線 地球支線(スペースレイライン・ジ・アースブランチライン)
取り上げることに最後まで悩みました。
静謐な魔術宇宙の空気感が伝わってくる見事な一作でした。
世界観、文章、ワンシーンとしての出来、何れにしても上記上位入賞作品と並べて遜色ない作品でしたが、ただ一点、短編として完成してしまっている点でレギュレーションから外れてしまっており、惜しかったです。

今後について

賞金送付の方式についてはnoteサポート機能、その他、希望を主催者ツイッターDMにてお知らせください。順次送付いたします。完了


では、またいつか!


資料費(書籍購入、映像鑑賞、旅費)に使います。