意識して聴こうと思うと意識して聴く行為そのものを忘れることへの対策
よく人の話を聞いていないと言われる。
連絡帳開いてと言われて、連絡帳を開くのだが、その途中で連絡帳という文字が目に入り「連絡帳ってこんな漢字だったか、ここに書いている以上この感じが正しいのだろう。自分はなんの漢字と勘違いしてたんだろう」と考えていると、ちゃんと連絡事項を書きなさいと怒られたことは、鮮明に覚えている。
そのころは、今ほど語彙力もなく説明できず、強く出られない性格であったので、言い返すこともできなかった。
その気が逸れる癖をなんとかしようと試みてきた。
まず、先に書くことということを心がけた。
しかし、その先に書くということさえも忘れてしまった。だめだった。
次に動作している間に連絡帳を見ないようにしようと考えた。
急に目に入るから、その新情報に動きを止めてしまうのだと考えた結果だ。
だから、いつも使っている机を見るようにした。
しかし、机の木目がつい気になって意識がそれた。だめだった。
そして怒られた後、先生が話の続きを喋っているときに、新情報は視覚外からではなく、あるということに脳が気づいたときに発掘されるのだなあと考えていて、また怒られた。
次は、外からの情報に目を向けないようにした。詰まるところ、ずっと話を聞け話を聞け話を聞け…と常日頃から言い聞かせるようにした。それだけではまずいと思い、できなければ体罰を与えることにした。
しかし、言い聞かせること集中したり、こんな感じに言い聞かせるのって洗脳っぽいなと考えたりしていて、これもだめだった。
その他にもいろいろ試したが、なかなかうまくいかない。
先生にもお前は怒られるのが好きなのか、そんなにも怒らせたいのかと怒られたときには、そんな奴がいるか!と言い返したかったが、やめた。言われて嬉しい人がいる可能性を考えていない発言だったし。
そんなこんなして高校生になったとき、とある本を読んだ。
兄の住んでいるところに行ったときに兄に見せてもらった。
それがこの本だ。
熱心に読んだことをよく覚えている。
薄々気づいていた通り、最初から考えなければいいのだと思った。
つまり、精神統一をして無の状態になればいいのだ。
目を閉じ、軽く深呼吸をすると、ある程度人の話を聞けるようになった。
その時は1人感動したものである。
あとはこれを続けられればと思うが、なかなか続かない。悪い癖である。
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