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8週間で「学習する組織になる」に

菅平でのゼミ合宿で、これから1年どういう勉強をしていくのかを相談しました。予め35期生と私が素案を作っておいて、それを36期生(の候補者)に提示して議論してもらうという形です。もともとこのゼミは「他者のリーダーシップ開発」という題名がついていて、受講生は自分のリーダーシップ開発は既にある程度勉強していることを前提に、自分以外の他者にリーダーシップを発揮してもらうにはどうしたらよいかを学ぶことが目標になっています。 組織やグループのなかで、ある一人がリーダーシップ行動をとれば、それに影響され支援されて他の人も成果をめざして行動し始めるというのが、リーダーシップのプロセスそのものです。それでも、最初に動いた人といつもあとから動く人とでは、最初に動く人のほうにより多くのリーダーシップがあると言えるでしょう。目標共有がしっかりなされている限り、皆がそういう人であるほうがそのグループや組織は生産性が高くイノベーティブである可能性も高まるでしょう。その意味で、「他者のリーダーシップ開発」は、教員やTAのためのリーダーシップ教授法ないしリーダーシップ習得支援法であるのはもちろんですが、教員でもTAでもない人が、グループや組織のなかで皆にリーダーシップをもっと発揮してもらう方法を学ぶことでもあります。これはリーダーシップ最小3行動の「同僚支援」の上級版に相当するとも言えるかもしれません。おおよそそのような考え方でゼミではここ数年、立教と早稲田で、質問会議と360度フィードバック(およびコーチング)を勉強してきたのですが、早稲田の今年度の春クォータには、夏クォータに行われるLD2(質問会議)の授業設計をゼミでやってみたところ、ある問題が繰り返し起きました。それは、受講生が消費者であることをどの程度許容するのかということです。洗練された消費者である受講生のありのままを認めて、それに合わせて授業設計を行うことは可能ですが、それでは真のリーダーシップは身につかないと思われるからです。ゼミでは、消費者として改善を要求し続けるメンバーも居て、ゼミの運営自体に対しても消費者スタンスを貫いたので、そのことが他のメンバーの反発を買うほどでした。 そこから学んで、次の代の新メンバーによる17年度秋クォータのゼミの目標案として今回の合宿では「ゼミが学習する組織になるように全員がリーダーシップを発揮すること」が提案されたのです。ただ、個人の目標とゼミの目標は自明に同じではありません。例えば、個人がリーダーシップを身につけるためには、自分でPDCAを回さねばなりませんから、その個人が常に学習する姿勢を持っていなければならないのは比較的分かりやすいことですが、ゼミやグループならどうでしょう? 学習する個人個人が集まっていればいいのでしょうか? リーダーシップの出番はどこでしょうか? 自分たちを実験台にして、これを理論と実践で習得するのが、今月末から8週間のゼミの課題です。

早稲田大学の菅平セミナーハウス

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