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私の先生

先生は言う。

小さい筆で作品を書いたり
筆でお手紙を書いたり

それがしたくて
うち(の書道教室)に通ってる人もいるけど

そういう人に
大きな作品を書きなさいって言ったって
そりゃ書きたくならないでしょ

だから
その人の嗜好や
ライフスタイルに合わせて指導してるの

ただね
大きな作品を書くと
筆の穂先の回し方や、紙の余白の使い方
色んなテクニックを覚えられるから
物凄く上達するのよ

それだから
大きな作品を書きなさいって言うの




あ、先生。
もしやそれ
大は小を兼ねるってやつですね?


と、心の中でつぶやいていたら



先生は



次は、今よりひとまわり大きな作品を書きなさい



と、微笑みながら
私に言ってくれた。



それはまるで

もっともっと上を目指しなさい

そんな風に言ってもらえたような気がして、とにかく嬉しかった。次に書くのは行書にしようか、それとも草書にしようか、どんな内容の詩を選ぼうか、と思わずワクワクした。




すると突然



あなた硬筆が下手ね!!!
硬筆を練習しなさい!!!



今度は先生の、びっくりしたような、けれど清々しい声が飛んできた。
ん?もしや?と思って先生の方を見てみると、私が"筆"ではなく"ボールペン"で書いた文字、それを見ながら言ってる事に気づいた。


わ、わたしに言っていたのですね、先生!!



ほらだって、頭の中は大きな作品の事でいっぱいで、何にも耳に入ってこない。いわゆる絶賛妄想モード。だから、はじめは誰に向かって言っているのか全然分からなかった。でも、先生は私に対して言ってるんだと気づいて、慌てて妄想モードをOFFに。


(ほっといたらエンドレスで妄想してたかも。あぶなっ。)



その後、先生から硬筆を書くにあたってのレクチャー、という名の説得を受け、結局今回は

「ひらがなと漢字を"ジャポニカ学習帳"で練習せよ」

という課題と向き合う事になった。



ジャ、ジャポニカ学習帳!?
懐かしい!!



て、そんなことは置いといて
つまり、大きな作品に取り掛かるのは一旦休止となったのだ。



あぁ、大きな作品よ…
また会う日まで。




そうはいっても、先生はいつも
ベストなタイミングで
次のステージを用意してくれる。



しかも
そのステージの事に真剣に取り組むと
あっという間に2ステージ分くらい
前進しているから凄い。



という訳で、今回の私のステージ
『ジャポニカ学習帳での硬筆練習』。
これは、上達の一番の近道である"大きな作品を書く"という所からは随分と離れてしまう。
けれど、ジャポニカ学習帳が終わる頃には
きっと3ステージ分くらいレベルアップしている



に違いない。
たぶん。




さて、最後にこの言葉を紹介して終わろうと思う。



先生が私によく言ってくれる言葉。



書道ばっかりやらなくていいんだからね
やりたい時に書道をガーッと練習して
飽きたら別な事をしなさい
ほら、フラメンコやサーフィンをやればいいのよ
それで、フラメンコやサーフィンに飽きたら
また書道に戻ってくればいい
そんなんでいいのよ




この道40年。
現代女流書家100人にも選ばれる私の先生は
書家としてはもちろん、指導者としての腕も
すこぶるすごい。



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