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祈りの雨【#青ブラ文学部】

結婚式は雨の日だった。
フリルとリボンにレースたっぷりのドレスを身にまとうと、どこかの国のお姫様になった気持ちになった。
「永遠の愛を誓いますか」
「はい、誓います」
どうかこの幸せな時間がいつまでも続きますように。祈りの雨が降っていた。

お姫様にはなれない。でも、結婚式はウエディングドレスを着るとお姫様になれる非日常の世界なのだ。
ウエディングドレス…それは誰もがお姫様になれる魔法。

その魔法が解けるのは、結婚式の儀式が終わってからのお話。

埃を被った写真を娘が見つける。
「これ…若いときのママ?」
「結婚式のときの写真よ。私もこんなときがあったのね」
今の自分とは目を疑うほど別人で、人はこんなにも変わるもなのかと現実に打ちひしがれた。

引っ越しをする日も皮肉にも雨の日だった。


山根さんの企画に参加させて頂きます。😄
初めてショートストーリーを書きました。
よろしくお願いします。🙏✨


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