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「小説家」と呼ばれなくても、小説は書ける。

ミュージシャンだとか、絵描きだとかに対して、「で、それで生活費、稼いでんの?」と聞く人がいる。それで生活の糧を稼いでいなくちゃ、ミュージシャンだとか絵描きだとか名乗っちゃいけないかのように。

やりたいことで生活費の全てを稼ぐこと。そうすると初めて「自分は表現者」と名乗れる。そして、それが成功のカタチなんだと思われがちだけど、それは違う。表現者は、自分のやりたいことで「お金を稼ぐ」とか、ましてや「生活費の全てをまかなう」とか考えなくていい。他者から与えられた肩書きだって、関係ない。ただ表現していくだけだ。

「本を出していなくちゃ小説家と名乗れない」
「それも紙の本じゃなきゃだめ」
「だれでも知っているような出版社から、自費出版じゃなくて新人賞を取って本を出さなきゃだめ」
「全国の本屋で売られるような本を出さなきゃだめ」
「評論家から認められなきゃだめ」

私の中で何度も繰り返されたつぶやき。

そうやって、「小説家」という肩書きが欲しいの?
「小説家」と人から呼ばれたいの?
そのために書いているの?

ちがう。

「小説家」という肩書きがなくても、小説は書ける。

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