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沢山美果子 『性から読む江戸時代』を読む

岩波書店のツイッター(多分お調子者がやってる。時々炎上しているのも面白い)で話題になっていて、興味を持った本。
何が印象深かったって、浮世絵師の英泉が、妊婦との性行為について、時期によってどういう影響が胎児に現れるかという説につけていた挿絵のくだらなさ。
私、英泉って好きなのよ。多色を捨てて藍色で全てを表現しようとしたセンスの良さとか、ラブホ経営しちゃう軽さとか、そういう部分も大好きだし、何よりどこまで真面目でどこまでノリなのかがわかんないとこが。朝井まかての「眩」をNHKでドラマ化した時、英泉を松田龍平がやっていたのは当たり役だったなあ。

それにしても、快楽の性と子作りのための性がどうやって市井の人に意識されていたのか、とか、岡場所でやりとりされる女の年齢や代金がどのようなものであったか、というデータ分析が面白くって。30代で岡場所で取引されてる女がいなかったってのも興味深いな。女性としても労働力としても成熟する年代だからわざわざ玄人の市場に出てこないのかしら。いずれにしろ、かつてのアナール学派ってこんな感じの分析だったのかな。と思わせる本でした。

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