試験的にメスイキしてみたのである。
めっさ鬱になる。
それ以来ずっと妄想をしつづけている。

私の知らない美少女がいて、二人でバーカウンターに並んでいる。
美少女は美少女なのにモテないのが悩みなのである。
私からのアドバイスはこうだ。
「ぼっくもですね～モテなくてモヤモヤすることありますよ？でそれでね～モテるための本をね～買ったんですよ。そしたら、『女性の悩み相談には共感を示せ』って書いてあってぇ～それで、ま、今ね。共感をしてみたというわけですよ笑」
美少女はクスリともしない。
私はこう続ける。
「でもね。本音を言うとね。ぜんぜん共感しないよ。モテないから悩むなんでおかしいんだから。だって、モテないやつがモテるようになるわけないんだもん。無理なことで悩んでもしょうがないじゃん。モテないっていうのは、例えば彼氏ができても、その彼氏に浮気される。結婚しても不倫される。子どもができれば、『汚ねえババアだな』とか言われるってことで、無間地獄なんだから」
美少女は「じゃあ、死ねって言うのか」という目で私を見ている。
言外のメッセージに応答した。
「そうじゃなくて、モテるようになるわけがないんだから、そこ以外のことで幸せになってさ、それで『ああ、この人とだったら不幸せになりたいな』と思ったら、その人に恋をすればいいと思うんだよ。片想いで終わっても、付き合ってボロボロになっても、結婚して人生台無しにされても…そういうことがあっても、心がどこか救われた気持ちになるかもしれないじゃない。だからモテるモテないで悩むのはマジでやめたほうがいいよ」
美少女は口を開く。
「素直に幸せになりたいって思えないなんて不幸せだね」
私は動揺する。
「いや～、思ってるよ。恋愛とかそこ以外のとこで幸せになっていこうって」
美少女は冷徹に続けるのである。
「たぶん諦めてる『そこ』でしか幸せになれないよ」
私は言う。
「マスター、チェックで」

こんな調子である。メスイキ、ダメ絶対。