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【東京巻き込み育児 #07】涙が止まらなくなったママ友の「強引だけど優しい行動」


サンタモニカと違い、ママにとって苦しい“東京の子育て環境”の中、周囲を巻き込むことで4人の子どもを育てた私の経験からお届けする【東京巻き込み育児】。
前回、1人で大変ぶって、夫と言うパートナーを自分の人生の蚊帳の外に追い出していた自分に気づくことができたことについてお送りしました。
今回は、“驚きの託児システムがある、とても変わった幼稚園”についてお送りします。

前回はこちら ↓

東京で長女の幼稚園にと選んだそこは、ハッキリ言って“ふつう”ではありませんでした。

都内のど真ん中に位置するのに、まず目につくのは、一面茶色い土の園庭と、樹齢おそらく100年以上の立派なクスノキです。

園舎は風格と歴史を感じさせ、敷地内に1歩足を踏み入れた途端、「ここは、いつの時代・・・?」とタイムスリップしたような感覚に襲われます。

初めて見たのに何故か懐かしい、クスノキと園舎が作り出すその風景に魅かれて、私たちは娘の幼稚園としてそこを選びました。

■ 驚きの託児システム

その幼稚園では、毎月保護者会が開かれます。

放課後、先生と親とだけで、丸い輪になって子どものことをあれこれと語る場です。

その間、子どもは話し合っている親のそばにいてはいけない、というルールがありました。在園の子はもちろん、未就園の弟妹もです。

そして保護者会の間は、他の学年のママが未収園児を、マンツーマンで、つきっきりで託児するというシステムがありました。

年少組の保護者会時には、年中組と年長組の有志ママが託児をするという風に。長年の伝統として、学年を越えて協力し合っていたのです。

■ 優しさが受け取れなかった筆者

預ける時は、どんな子も最初は号泣ですが、担当ママは笑顔で泣く子を受け取り、鮮やかに去っていきます。

そして保護者会終了後、引き取る時には、その子が泣き止むまでどれくらいかかったか、どういう遊びが好きだったか、他のお友達との関わりなど、託児時間の様子を詳しく教えてくれるのが常でした。

子どもを第1に考えてくれる、なんとも優しさに溢れた託児システムだったのです。

自己否定で満身創痍だった当時の私にとって、その託児システムは心からありがたい反面、実は、どうしようもなく申し訳ない気持ちになりました。

私がアメリカから帰国してからそれまでは、子どもは1人で育てるのが当たり前、人に迷惑をかけないのも当たり前でした。

頑なになっていた私が、突然子どもの手を放して他人に預けるのは、かなりハードルの高いことだったのです。

自己否定と見栄とプライドの塊で、他人の優しさを疑い、信じられない人間に成り下がっていたのでした。

■ 胸に響いた先輩ママの言葉

そうはいっても、保護者会活動が盛んなその幼稚園で、常に下の子がオマケみたいにくっついていた私は、他のママにお世話にならない日はありません。

すみませんという言葉を繰り返す私に、ある日先輩ママがこんな言葉をかけてくれました。

「気にしなくていいんだよ、今は甘えていいの。そのうち、自分がこの役目をやる番が来るから。そうしたら、私たちにではなくて、若いママにその優しさを返してあげてね。」

心が軽くなる言葉でした。当時は恐れ多く感じていましたが、“お互い様の子育て”をする環境が、その幼稚園を中心としたコミュニティにはあったのです。

■ 次女の一言で大ピンチ!

“他人に頼ってはいけない、自分でやらないと”と罪悪感がじたばた暴れるのとは裏腹に、3女を妊娠、出産したことで、ますますママ友に頼り切りになる日々が続きました。

ある日のこと、その日は幼稚園のお泊り会でした。

年中組にいた次女が、当日になって突然「お泊り会に行きたくない」と言い出したのです。

なだめすかし、褒めおだて、怒り脅しても、次女の意思は変わらず、がんとして行かないと言うのです。3女は当時まだ5ヶ月、お世話の手を休めるわけにもいかず、私は焦り、苛立ちました。

そのとき、ピンポンと玄関のベルが鳴りました。次女の大親友のママが、心配して来てくれたのです。

玄関先で事情を説明すると、あろうことかそのママ友が、ずかずかと上がってきました。

時は朝、部屋の中は大荒れです。

普段そんな状態で他人を上げる事など、当時の私には考えられず、驚いたものの何も言えずに、ずかずかと入ってゆくママ友の後を追いました。

そして彼女はぎゅっと口を閉じてこちらを睨みつける次女を手際よく説得し、お泊り会へ連れて行ってくれたのです。

この出来事は、私の人生における、大きな転換点でした。


■ 「人の優しさを頼っていいんだ」と分かった瞬間

この時、私の中で、何かが音を立てて崩壊しました。私は一体何を無理していたんだろう?

本当はずっと前から、1人で完璧になんて出来なかったのに。

心優しくおせっかいなママ友だらけのコミュニティで、頑なだった私はとうとう白旗をあげられたのです。

ひとりじゃ無理だから、助けてって言っていいんだ。そしたら私は助けてもらえるのだ。

人の優しさは、信じて頼っていいものなんだ。

3女と2人きり、汚い部屋に取り残された私は、涙が止まりません。つき物が落ちたような心境でした。

おそらくそのときからやっと私は、“お互い様の子育て”が分かり始めたように思います。

私の東京巻き込み育児に、個性豊かなママ友たちが加わった瞬間でもありました。

★今回の教訓★
(1)誰もあなたに「完ペキ」を求めていません。気楽に!(2度目)
(2)「罪悪感」「完ペキ主義」は人の優しさを受け取れなくします。
(3)もらった優しさは、かつての自分と同じ立場の人へ返しましょう。

次回はこちら ↓



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