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コンプラ無視の破茶滅茶な主人公『Dr.タイフーン』

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掲載作品の中でも特におすすめの作品を紹介してまいります。今回は『Dr.タイフーン』(原作:高橋三千綱 作画:かざま鋭二)をご紹介します。

Drタイフーン書影

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Dr.タイフーン』は、現在も連載中の『風の大地』(原作・坂田信弘)に先駆けて発表された、かざま鋭二のゴルフ漫画の原点とも言うべき作品。とはいえ、主人公のタイプはまったくの真逆! 『風の大地』の主人公はイケメンで寡黙な熱血漢。一方、本作の主人公「タイフーン」こと泉大風はどうしようもないスケベで金に汚く、試合中もふざけたことをペラペラしゃべりまくり……。

とはいえ、タイフーンにはスポーツものでは定番の「破天荒キャラ」の枠に収まりきれない、得体の知れない魅力がある。

アメリカから突如日本にやって来てゴルフツアーに参戦した彼は、日本では無名だがアメリカでは「すごい、つよい、いやなやつ」と言われた存在。対戦相手に、優勝タイトルを譲る代わりに賞金を寄こすよう交渉したり、軽口を叩いてギャラリーを笑わせたりとヘラヘラしているが、プレーは一流。長身で筋骨隆々の体躯から叩き出す、ダイナミックかつ洗練されたフォームとのギャップに惹きつけられるのだ。

実は、タイフーンは21歳で教授に就任したほどの天才的な天文物理学者という顔も持っている。そんなわけで日本では高校の講師を務めつつツアートーナメントに参加しているのだが、生徒たちにはただのイカれたオッサンにしか見えていない。

なにしろ同僚の小山内祐子や女子生徒へのセクハラがすごいのだ。急に抱きついたりオッパイつかんだり……いやはや、たとえ漫画といえどもコンプライアンスに厳しい現代だったら許されないレベルだろう。
「このあたりで真面目にキメるかな?」というシーンでも、しっかり予想を裏切ってくるのがタイフーン。不良高校生をとっちめた後に、金をまき上げる始末。

やることなすことホントにひどいが、一貫してとことん明るくすっとぼけているのがタイフーンの持ち味だ。試合に負けても、大好きな祐子にキン蹴りをお見舞いされても飄々としたトーンは変わらない。独特の間合いで見せる《ズッコケ》感が、昭和的なほのぼのムードを醸し出す。この、かなりヤバいことをやっているのに牧歌的に見せてしまう笑いのセンスは、それこそ昭和期のドリフターズに似ているかも。

マジな表情が1ページと持たないタイフーンだが、人が見ていないところでは努力もしていたりする。底知れない才能を持つ人間のオーラを、高校の生徒たちも次第に感じ取り、彼のことを慕うように。当初はタイフーンを軽蔑しきっていた祐子の心も動いていき……。

物語が進むにつれ、タイフーンの意外な純粋さが見えてくるのも読みどころ。やがて舞台は日本を離れ、海外ツアーを経てマスターズへ。微妙な感情を精細に描出する画力と、青春小説を得意とする原作者(芥川賞作家!)の手腕がガッチリ噛み合って、スポーツ×恋愛ロマンの快感に浸れる瞬間が待ち受ける! 

MiCCOMiでは続編『Dr.タイフーンJR』も公開中。さらに公開中の作品で『Bird』『AGAINST嵐』といったゴルフものを読むも良し……また、高橋三千綱(原作者)との黄金コンビぶりが光る高校野球漫画『我ら九人の甲子園』も超オススメだ。

書き手:粟生こずえ

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