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【経営学を学ぶ企画】第一章その1

挨拶

 予告通り、今回は第一章の企業システムをやります。

企業とは何か

 まず、企業の定義は継続的に経済活動を行う組織体のことを指します。企業には、法律形態と経済形態があります。法律形態は民法及び会社法に記された形態であり、個人企業、組合企業、会社企業の三区分されます。個人企業に扱いの差はありませんが、組合企業は民法上の組合と匿名組合で扱いが異なります。会社企業はよく耳にするの株式会社の他に、合名会社、合資会社、合同会社、相互会社等が含まれてます。

公企業について

 企業の経済形態に関しては出資と経営の違いで区分されます。出資元の公私区分から私企業、公企業、公私合同企業に分かれます。私企業は営利目的の元に出資された組織体で、公企業は営利目的ではない公共性の高い事業を国や地方公共団体が出資者(元を辿ると国民の税金)となります。国や地方公共団体が直接行う事業は行政法人と呼ばれ、出資元として間接的に行う事業は公共法人になります。公企業弱点として、利潤追求をしない為、コスト高になることです。その為、バランスをとる為に独立行政法人や民営化が進められてます。弱点の高コスト体質から脱却しようとしたのが公私合同企業という共同出資の元で企業活動を行う形態になります。民間と政府の出資の場合、政府公私合同企業と呼ばれ、民間と地方公共団体の出資の場合、地方公私合同企業(別名:第三セクター)と呼びます。第三セクターによる地域活性化を目的とした事業は全国各地で行われてますが、大多数は赤字もしくは、見込み益以下の結果で終わってます。

注:公企業の営利目的ではない特徴はコスト面で高くなりがちですが、私企業の政府への働きかけで公企業より安くも、私企業としては高い超過利潤を得ようとする場合があり、そのことをレントシーキングと呼びます。

注:戦後、全国でインフラ開発をする為に公企業(道路公団、国鉄等)がありましたが、バブル崩壊以降に公企業の特殊法人や特別会計問題が国会議員の石井紘基が追及したこともあり、民営化の動きも加速した。

注:インフラ投資には公企業が効果的なことは日本もそうですが、中国でも証明されてるので、一概に非難はできない。

私企業について

 私企業は出資人数の大小で少数集団企業と多数集団企業と区分され、単独出資の場合は個人企業と呼びます。少数集団企業には二つの区分があり、出資者全員が経営する第一種少数集団企業(別名:人的集団企業)、出資者に経営する人員としない人員で構成される第二種少数集団企業(別名:混合的集団企業)に分かれます。
 多数集団企業は営利目的か非営利目的の差で区分され、営利目的の多数集団企業の形態として株式会社が代表的で、非営利目的の多数集団企業の形態として協同組合や相互会社があります。

日本における私企業の種類

現在、日本の私企業の種類として個人企業、合名会社、合資会社、株式会社、相互会社、合同会社(日本版LLCとも言われる)があります。昔は有限会社も認められてましたが、今は新規設立はできないことになってます。

補足:2006年の会社法で法的根拠の有限会社法が廃止されましたが、特例有限会社という形で有限会社の名称の使用を続ける会社もあります。株式会社との大きな違いは役員任期に関する法定の制限がなく、決算の公告義務もないことです。

私企業の種類と違いは以下のようになります。

個人企業

出資者    一人
資本     個人財産
経営者    本人
金融機関借入 個人の信用
責任*      無限責任 一名以上(個人なので、本人)
問題点    個人資財産と企業資本の区別が不明確になりがち

*  責任には、債務不履行に陥った時に債務返済義務を出資者の財産を提供する形の無限責任、出資された額のみの返済義務を負う有限責任の2種類があります。

合名会社

出資者    社員
資本     出資社員分の財産
経営者    社長(厳密には社員一同だが、実態は社長や社長側近)
金融機関借入 会社の信用
責任     無限責任 一名以上
問題点    出資者との信頼関係の制約で出資者数が多く集まらない。

合資会社

出資者    社員
資本     出資社員分の財産
経営者    社長(厳密には社員一同だが、実態は社長や社長側近)
金融機関借入 会社の信用
責任     債権者には無限責任担当社員と、出資額の有限責任担当社員
       各一名以上
問題点    出資額の回収に肩代わりする出資者を探さなければならない

株式会社(非公開)

出資者    株主
資本     株式
経営者    取締役一名または二名以上
金融機関借入 会社の信用
責任     債権者(株主)に対しての責任はないが、出資の義務はある
問題点    株式譲渡に会社の承認が必要、取締役の任期が10年以内
       と長い上、監査役は任意である点

株式会社(公開)

出資者    株主
資本     株式
経営者    取締役三名以上、代表取締役社長(CEO)一名以上
金融機関借入 会社の信用
責任     債権者(株主)に対しての責任はないが、出資の義務はある
問題点    株式譲渡は自由かつ、取締役の任期も2年以内と短く、監査
       役も一名以上いるが、出資者の増加による支配統一が困難で
       あり、出資者が増えた際の株式に対する議決権の持つ影響力
       が減る等の問題がある

相互会社

出資者    保険加入者
資本     保険加入者分の財産
経営者    取締役(社員総代会にて取締役と監査を選出)
金融機関借入 会社の信用
責任     債権者には無限責任担当社員と、出資額の有限責任担当社員
       各一名以上
問題点    出資額の回収に肩代わりする出資者を探さなければならない

注:相互会社は保険事業を営む企業体にのみ許された会社形態です。

合同会社(日本版LLCとも言われる)

出資者    社員
資本     出資社員分の財産
経営者    社長(厳密には社員一同だが、実態は社長や社長側近)
金融機関借入 会社の信用
責任     出資額を限度とした有限責任
問題点    出資額の譲渡に社員全員の承諾が必要

あとがき

 今回は公的企業と私的企業の種類について取り上げました。次回は経営目的における所有・経営・支配について取り上げます。

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