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酸化防止剤

今回は酸化防止剤を取り上げます。これも食品添加物の一つとして、よく目にするものですね。でも、なぜ酸化防止剤が必要なのか、何故この食品に入っているのか、疑問に思った事はありませんか。べつに要らないんじゃないのかと思うこともあるのですが、必要だからこそ添加されているはずです。その理由も併せて考えてみたいと思います。

まず、酸化防止剤とはどんなものかという事ですが、その名が示す通り「食品の酸化を防ぐために添加される物質」ということです。では、酸化を防止しなければならない理由とは一体何かという事ですね。

食品の場合の酸化を考えてみると、色や味、風味などが変化して、どちらかというと劣化した状態になってしまいます。原因は主に空気中の酸素の存在なのですが、油の類(油脂)の場合は酸化することによって過酸化物が生じたりします。うっかり口に入れて食べてしまうと、お腹を壊したりしかねません。また、食品が変色(茶色がかった色に変化したり、色が褪せてきたり)することによって、見た目も悪くなりますし、栄養価も下がってしまいます。

このように、食品が傷んでしまった状態になるのを防ぐ意味で、酸化防止剤を使う必要があるわけです。酸化の反応は空気中の酸素に触れることで発生しますので、どうしても避けることはできません。そこで酸化防止剤を加えることで、新鮮な状態を少しでも長く維持するために必要なんですね。

酸化防止剤はどうやって食品の酸化を防ぐかというと、それ自身が食品の成分に代わって酸化されることで、食品の方の酸化を防ぐという作用です。自分が犠牲になって、肩代わりして食品の劣化を防ぐという、なんとも犠牲的精神の持ち主なんですね。

よく目にする機会が多い酸化防止剤の一つに、アスコルビン酸という物質があります。ご存じの方も多いと思いますが、じつはこれ、ビタミンCの別名なんです。つまり、ビタミンCとアスコルビン酸は同じものなんです。

このアスコルビン酸は、強い還元剤という側面を持っています。どの程度強いかというと、医療機関を受診するとよく行われる検査の一つに検尿がありますが、その検査項目の中の一つとして「潜血反応」というものがあります。尿中に血液が混じっていたら、ごく少量だったとしても血液の存在が分かるという優れモノです。しかし、この反応を妨害して隠してしまう物質の代表が、アスコルビン酸だったんです。

多くの人、特に若い女性(に限りませんが)では、アスコルビン酸を多めに摂取している人が結構な割合でいたようです。美肌(美白?)効果やビタミン摂取として、あるいは風邪を引いた時の治る効果を期待して等のさまざまな理由があるのですが、この検査の反応が隠れてしまうために、潜血反応が「陰性」となることが時々あったんです。

そんな強い作用を持つのがアスコルビン酸ですから、これを添加しておけば酸化は確かに防ぐことが出来るでしょう。製造する側も、味の変化が起きてはいけませんから、ごくわずかな量しか添加していないでしょうが、これが身代わりになって食品を守ってくれるというわけですね。

テーマからは外れますが、もし医療機関を受診することがある場合は、化粧はなるべくせずに、マニュキアも外して、受診前の食事や甘い飲み物なども控えたうえで受診していただくことをお勧めします。その方が、より正確な判断が出来ますので。

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