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腎臓の病気 糸球体腎炎の話

どんな病気か

糸球体腎炎はその名の通り、糸球体(ごく細い糸状の血管が丸まって、ここから老廃物がこしだされる場所)に炎症が起きた状態を指します。そして、老廃物を体外に出すという働きが低下することによって、血液や血清中のたんぱく質なども体外に出てしまい、浮腫(むくみ)を引き起こします。

糸球体腎炎という病名は、一つの病気ではありません。病名というよりも、様々な病気のグループにつけられた名前と考えた方が、分かりやすいでしょう。このグループに含まれる各病気は、それぞれが定義を持つ別々の病気ですが、糸球体の炎症によって、タンパク尿や血尿が出る病気を総称して糸球体腎炎と呼びます。

急性糸球体腎炎

腎臓の病気ではなかなか完治するということが無く難しいのですが、急性糸球体腎炎の場合は別です。この病気は完治することが多いとされています。

一般に子供(4歳から10歳くらい)に多い病気とされていますが、時には大人や高齢者が罹ることもあるようです。寒い時期に多くなる傾向があり、通常は風邪をひいたりしたあとに、しばらくして腎臓が炎症を起こす、そんな発症の仕方が多くみられます。感染症の後に続けて罹ることが多いため、病気の成り立ちとして免疫反応が関わっているとされています。

どんな免疫反応が関わっているかというと、どうやら2種類あるようですね。一つ目は、抗体と呼ばれるたんぱく質が腎臓に直接悪さをして炎症を起こすというもの。もう一つは、他の場所で抗原と抗体が反応して、結合してできた複合物が腎臓の糸球体に引っかかって悪さをするというものです。いずれも炎症を引き起こすことによって、糸球体腎炎となります。

ただ、急性糸球体腎炎の場合、半分ほどの人では症状が出てきません。症状自体にも程度の差ということがあるかもしれませんが、症状が出てきた場合は、体内の水分が溜まってしまうことによる浮腫(むくみ)がみられたり、尿量が減ったり、血液が尿に混入したりします。浮腫(むくみ)は、最初は腫れぼったい顔になる感じで、瞼等の程度ですが、やがて脚にも目立つようになってきます。成人や高齢者の場合は、体がだるくなったりすることもあります。

こういった症状は何も糸球体腎炎に限ったモノではありません。様々な病気でこのような症状が現れてきますので、これだけで診断をつけるわけにはいきませんので、最終的には腎生検を行なうことになります。腎臓の組織の一部を取ってきて、顕微鏡で組織を観察して診断をつけるという方法です。

こうして診断がついて治療が行われるわけですが、急性糸球体腎炎は殆どが完治できるとされています。しかし、わずかですが一部で、慢性腎臓病になることがあります。治療の開始時期が早ければ、その可能性は回避できることも多いので、どうかなと思ったら医療機関で診てもらうのも良いでしょう。


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