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防カビ剤のはなし

今回は防カビ剤について書く事にします。カビは微生物の一種なので、防腐剤でもいいじゃないのかという気がしますが、防腐剤と防カビ剤はちょっと違うもののようです。文字からすれば「防腐剤」は腐らないようにするために使うもの、「防カビ剤」はカビが生えないようにするためのもの、そんな違いがありそうな気がするのですが、実際はどうでしょうか。

防腐剤、防カビ剤とも、微生物の繁殖を抑えて腐敗や発酵が起きて食品が変質しないようにするためのものです。インターネット上のサイトや記事によると「静菌作用」が目的だと書かれています。それじゃ、その「静菌作用」って、いったいどんな作用なんでしょうか。

じつは名前の通りなのですが、「静菌作用」というのは細菌の増殖を阻止したり遅延させたりする作用の事で、基本的には菌を殺してしまうわけではありません。そして似たような働きとして「殺菌作用」がありますが、こちらはその名の通り菌を殺すことで食品の変質を防ぐという目的になります。

ただ、こういった働きは絶対的なものではなくて、静菌作用と言いながらも菌の種類によっては死滅させてしまうことがあります。また、反対に殺菌作用と言いながらも増殖を阻止するに留まる場合もあることから、これらの違いは絶対的なものとは言い切れないようです。

また、防腐剤は微生物の繁殖を抑えて変質を防いだりする目的があるのに対して、防カビ剤はカビの繁殖を抑制することにあります。対象が少し違うということでしょうか。いずれの場合も強い作用を持つんじゃないかという期待と懸念が交錯するような感じですね。

ここでは食品添加物の一つとしての防カビ剤を取り上げていますが、実際には工業の分野でも用途があるようです。これについては割愛するとして、食品添加物として考えるとポストハーベストとして用いる農薬などもここに含まれることになります。また、家畜などの飼料に添加されるモノも含まれるようですが、テーマが異なるのでここでは省きます。

防カビ剤について調べていくと、個々の物質はともかく、ポストハーベストという言葉が頻繁に出てきます。これは収穫後に使用する農薬といった意味合いで、海外からの輸入品に対する防腐の役割なのでしょう。可食部分には影響しないと考えているからでしょうか、日本国内では認められていないものでも使用されていることがあるようです。輸送に時間がかかるので、カビ対策は重要なんですね。

ポストハーベストとしては、穀物や果実などに対して使用されます。そうすると、今度は残留という問題が気になりますよね。これらについては、人体の健康に悪影響を及ぼさないように、使用基準が定められています。この基準は食品衛生法に基づくもので、使用できる食品や最大残存量などが定められているという事です。

これ以外で気になるとすれば、表示の問題でしょう。東京都の資料によると、防かび剤を使用した場合は表示する義務があるとのことです。実際に「防かび剤(オルトフェニルフェノール)」というように、使用した物質の名前と一緒に使用目的が(防かび剤又は防ばい剤)として併記されます。店頭などでばら売りする場合にも、これらの表示は必要とされているようです。

防かび剤は、出来れば除去したいものですね。果実などの場合は残存する場所は主に果皮ですが、しっかりと水洗いすれば、およそ 30 %~ 70 %が除去できるというデータもあるのだとか。

こういった情報をしっかりと活用して、体に良いかどうかも判断しながら摂取しましょうという事ですね。

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