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デブ菌とヤセ菌の話

デブ菌とは、ヤセ菌とは

トゲのある話でスミマセン。誰がこんな言葉を使い始めたんでしょうね。憤慨している人の顔が目に浮かぶ・・・。冗談はともかくとして、このデブ菌・ヤセ菌といった名前ですが、何やら言い得て妙という気もしませんか。

デブ菌とは太りやすくなる菌、そして、デブ菌が増えると太りやすい体質になる、そんな感じの菌を指します。ですからヤセ菌はこの逆で、痩せやすくなる菌、そしてヤセ菌が増えると体質的に痩せやすくなる、そんな菌を指します。

以前に善玉菌・悪玉菌・日和見菌について書きましたが、デブ菌・ヤセ菌はこの中では日和見菌のグループに入るとされています。ただ、日和見菌と一言で括ってしまうにはちょっと難がありそうです。日和見菌とは、いわばどっちつかずの状態にある菌ですから、もともと、その時に優勢な勢力の側につくという性質があります。

しかも、日和見菌だってそれぞれに性質を持っていますから、善玉菌側につく菌もあれば、悪玉菌の側につく傾向がある菌だって存在します。この場合もデブ菌は悪玉菌側に、ヤセ菌は善玉菌側につく傾向があるとされています。

体型的な問題は遺伝ばかりとは限らない

背が高いとか、足が長い(?)とか、そんな場合は遺伝的な影響が強いとされることがあるでしょう。男性なら年齢が上がると頭が白くなるとか薄くなるとか、このあたりもそうですね、遺伝的な要因が強いと言われる部分に当たります。これらを仮に縦系とすると、横系はどうでしょうか。体型的に横に膨らむ場合のことですが、これも遺伝的な影響とされることが多いようですが、ちょっと考えてみましょう。

食生活という事であれば、子供の頃の食は親の影響がとても大きいと言えるでしょう。親の食生活や嗜好の傾向がそのまま子どもの食生活に影響を及ぼして、コピーとでもいうような状態を作り上げていくと予想できます。表現はともかく、実際にこういった傾向はあるでしょう。そしてそれがそのまま、デブ菌やヤセ菌の増え方にも影響を及ぼすとは考えられないでしょうか。

遺伝的な要因がないと言い切るには抵抗がありますが、遺伝といわれる傾向のうちのいくつかは親の生活パターンの影響の方が強い事もだってあるでしょう。その中でも食生活のパターンだと、腸内細菌叢の形成にも影響を及ぼすことになります。デブ菌・ヤセ菌の話だって、関係しないはずはありません。

デブ菌

では、デブ菌とはいったいどんな菌でしょうか。日和見菌のグループで悪玉菌と仲良くなりやすいという事は分かりましたが、他にどんな性質があるでしょうか。

現在分かっていることを挙げていくと、先ずデブ菌は日和見菌のグループですが、腸内細菌の中では「フィルミクテス門」に属します。細菌の名前には「種」とか「属」などがあります。腸内細菌では腸内細菌科という細菌学の分類があると書いたことがありましたね。「門」という言葉も分類の一つですが、これはかなり上の方の名前です。

参考までに分類の名前を挙げていきますと、上から順に「界」「門」「綱」「目」「科」「属」「種」とするのが一般的です。「フィルミクテス門」は門となっていますから、かなり上位ランク分類にあたることが分かります。つまり、デブ菌はその種類がとても多いという事。

そしてその性質はというと、高脂肪、高糖質、低食物繊維などの高カロリーな食べ物を好むという贅沢な(?)側面を持っています。栄養分の吸収についてはかなり貪欲で欲張りな面が知られており、腸の内容で人間の側にしっかりと栄養を吸収されて、あとは便になるだけとなった残りカスからもデブ菌は栄養を吸い取ります。そうやって栄養がわずかなところからでもたくさんのエネルギーを作り出すことができます。しかも、そうやって作ったエネルギーのうち、余ったエネルギーは脂肪に変えて蓄えてしまいます。嫌ですね。

ヤセ菌

一方のヤセ菌はというと、同じく日和見菌のグループですが、こちらは善玉菌側につく傾向でしたね。分類では「バクテロイデス門」に属する菌で、こちらも「門」ですからかなり上位の分類です。数多くの菌がヤセ菌のグループになるんですね。

その性質はというと、食物繊維や低糖質、低脂肪な食べ物を好むとされています。そしてこれらを発酵という手段を使って「短鎖脂肪酸」と呼ばれる物質を作り出します。

この短鎖脂肪酸、近頃話題になることもあるようですが、なぜかというと脂肪の吸収を抑えるとか、体内の脂肪の燃焼を助けるとか、そんな働きを持っているからなんです。さらにこの短鎖脂肪酸は血流に乗って全身に運ばれると、脂肪細胞が栄養を摂ることをストップさせるという働きも持っているんです。

年齢が上がっていくと消化吸収の機能も少しずつ衰えてきます。高脂肪、高タンパクな食事は消化機能に負担がかかるため、次第に控えていく傾向が出て来るのはご存じでしょう。そして脂肪分が少ない、食物繊維が多い食事が増えていく傾向が表れます。高齢者は総じて痩せている人が多いように見受けられますが、食事の傾向がヤセ菌を増やす方法と一致している点が、痩せた人が多いという事と関係ありそうですね。

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