見出し画像

膨張剤のもう少し詳しいはなし

今回は前回の続きで、化学的膨張剤のはなしから始めます。化学的膨張剤というと何やら仰々しく感じますが、要は口にしても安全な薬品による膨張剤ということです。具体的な物質名を挙げると、重曹(炭酸水素ナトリウム)や炭酸アンモニウムといったものです。

このような薬品(ちょっと語弊がある表現ですが)は、加熱によって炭酸ガス(つまり二酸化炭素)が発生します。これらが生地の中で気泡として出て来ることで、生地自体を膨らませるという働きをします。炭酸アンモニウムは膨らませる効果はあるのですが、最後に少しアンモニア臭が残ることがあるので、使われることは少ないようですね。

重曹自体はホットケーキのような洋菓子やパンなど以外に、和菓子でも用いられたりします。用途が多いので、それだけ万能選手といったところでしょうか。昔から用いられてきた膨張剤なんです。ただ、混ぜた重曹が全て反応して残らないというわけではないらしく、時にほんの少し残ることもあるそうです。反応し切らなかったという事でしょうね。残るのはアルカリ性の炭酸ナトリウムという物質で、これが残ると少しだけですが食品の色を黄色くしてしまったり、あるいは独特のアルカリ臭を残すこともあるのだとか。

食品を作る側にしたら、これはちょっと困りますよね。そのため、色の濃い食品に使うことで目立たなくするとか、ベーキングパウダーと併用して使ったりすることも多い膨張剤だということです。

重曹はこのほかにも膨張剤の役割以外ではよく知られている働きとして、野菜のアク抜きであったり、油などによる汚れを落とすためなどで使われることもあります。キッチンの掃除やフライパンの焦げ付きを落とすといった話題の時に、よく出てきますよね。

前回、物理的膨張剤については省略いたしましたので、ここで触れておきたいと思います。物理的膨張剤というと、それこそ仰々しいですね。何を添加するんだろうと思いますが、じつは添加材じゃないんじゃないかとも思うのですが、バターや卵白を撹拌して細かい気泡をたくさん生地に混ぜ込むという、ちょっとくたびれそうな手法なんです。この状態で加熱すると中の細かい気泡がそのまま残って生地の水分と一緒に膨らむという方法ですね。

さて、ここでちょっと気になる事があったので書いてみます。最近の健康志向はよいことですが、ちょっと危ないんじゃないかという成分が少しでも入っていると、それを取り上げて大騒ぎする傾向もあるように感じます。危険な成分なら食品としては不適格ですが、それなら添加物として禁止になるでしょう。また、食品の成分自体で問題があるとすれば、これもまた流通しなくなるのではないでしょうか。市販されているという事は、ある程度許容できるものとして考えてみても良いんじゃないかという気がします。

もちろん、市販されているから大丈夫というわけではありませんが、気になることがあるなら、先ず自分で調べてみるところから始めてはどうでしょう。食品の成分表示などを見ていると、たしかに問題視されても文句言えないような不思議な表現になっていたりしますよね。こんな書き方だと詳細が分からないという事例もたくさん存在しています。

だからこそ、先ずは自分で調べてみて、考えて、判断することが大切じゃないかと思うんです。危険なものだと分かれば誰も買わなくなるでしょう。作っても売れなければ市場から消えていくでしょう。今の時代はその過渡期なのかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?