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腎臓の病気 急性腎障害

何が起きている?

急性腎障害はその名の通り、急激に腎臓の機能が低下して尿として老廃物を体外に出せなくなって、からだの水分量や塩分量の調節が出来なくなった状態を指します。急激にというのはごく短時間でという意味で、数時間から数日という極端に短い間い腎機能が悪くなってしまいます。

ここまでは急性腎不全と全く同じです。そして、かつては急性腎不全と呼ばれていました。では何が違うのかということですが、じつは急性腎不全についてのキチンとした定義というものが曖昧な状態らしいのです。元々は戦時中の、今でいうクラッシュ症候群が病態認識のきっかけということのようで、したがって定義を決めたりすることもなく、また必要もなかったという状況だったそうです。その後世の中が落ち着いてきて、じつは様々な程度で腎機能障害の患者さんに遭遇するようになり、少しずつ概念が変わっていったようです。そして、より軽微、しかし急激な腎機能低下といった症例も含むような概念が確立して、それに合わせて急性腎不全という名称から急性腎障害という名称に変わっていったということです。

ちょっと整理をしておきます。急性腎不全の概念は「急激に腎機能が低下して機能不全に陥り、体液の恒常性が保てなくなった状態」というモノでした。現在の急性腎障害の概念は「「何らかの原因によって、急激に腎臓に障害が加わった結果、腎機能が破綻して機能不全に陥るが、それに先だって比較的軽度の腎機能低下が確認できる状態」を含んだ概念となっています。この「先だって比較的軽度の腎機能低下が確認できる」という文言が加わったことで、概念がガラリと変わったということです。なぜなら、腎不全の場合は機能不全に陥ったところからしか対象にならなかったためです。

人工透析との兼ね合い

今までは腎不全というと一般論として、人工透析か腎移植を待つという方法しかありませんでした。そして一度人工透析を始めると、よほどのことがない限り生涯透析を続けることになるとされていました。人工透析を始めると、それまでの尿が作れなくて極端に少ないか出(乏尿期)て来ない時期を経て、いくらかでも尿量がついてくる時期(利尿期)になり、そしていくらかでも回復していくのですが、この利尿期あたりで人工透析から離脱する出来る症例もあるようです。

尿が作れずに老廃物を体外に出せなくなり、腎臓が負担に耐えかねてダウンしてしまった状態だったのが、人工透析を行なうことで老廃物を体外に出すことが出来て腎臓の負担が減り、その結果多少なりとも腎機能が回復するといった例があるようです。ただ、その病態によるとのことでした。

その他、大筋は急性腎不全で書いたものと同じです。


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