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34、ACTHの話の続き

内分泌関連の話題で大きなウエイトを占めているのは、分泌量の問題でしょう。内分泌ではホルモンの量が多くても少なくても、何らかの弊害が表れます。そのため、分泌される量を調べることで表れている症状がそのまま疾患として認められ、そして治療対象として扱われます。

ACTHの分泌が多い時

ACTHの分泌量が多いということは、その上位組織である視床下部から分泌されるCRHの量が多いということかも知れませんし、ACTHの分泌量の増加でその先にある副腎から分泌されるホルモンの量が多くなっていることもあります。

この流れの始まりである視床下部での異常はあまり耳にしませんが、異所性のACTH産生腫瘍というものができる場合があります。これができると、本来のACTHに加えて異所性のACTHが加わることでACTHの全体量が増加して、その結果症状が表れるということがあります。

ACTHの分泌量が増加すると、その下位にあたる副腎から分泌されるホルモンも量が増加します。とくにコルチゾールの分泌が増加することが知られていますが、糖質コルチコイドと一括りになっている場合もあります。糖質コルチコイドの代表例がコルチゾールなのですが、そのコルチゾールはストレスの反応として分泌されるホルモンですから、ストレス反応としてコルチゾールが増えた時と同じような症状が表れます。

ACTHが増加してもコルチゾールの分泌量が増加しない場合もあります。増加しないどころか、減少している例もあるんです。副腎に何らかのトラブルが起きることでコルチゾールの分泌量が減少し、もっと出せとばかりにACTHの量が増加して副腎を突っつくといった感じでしょうか。そしてコルチゾールのフィードバックが視床下部や下垂体に働きかけて、それぞれからコルチゾールの分泌を増やすようにとCRHやACTHの分泌量を増加させる反応にもつながります。

ACTHが減少する場合

コルチゾールの量が増えてくるとフィードバックとしてACTHの分泌量は減少しますが、それ自体は正常な反応です。そのうえで考えてみると、例えば下垂体に何らかのトラブルがあってACTHの分泌量が減少する場合があります。また、異所性のコルチゾール産生腫瘍というものもあります。コルチゾールが増えるとフィードバックとしてACTHの分泌を抑制しますので、実際にACTH減少の原因が下垂体ではなくて、異所性のコルチゾール産生腫瘍ということもあるんです。

この他にも例はいろいろとありますが、その状態のそれぞれに名前が付いています。ACTHが増加した場合の例がクッシング、減少した場合の例がアジソンというように。これらを診断して治療するためにも、その分泌量を調べることは重要です。ACTHはその流れの要なんですね。


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