ある日の訪問看護から#2
介護とともに主夫になる
お母さんが病で倒れるケース。
男所帯のお家はとくに大打撃をくらう。
今まで、家族の買い物から食事から洗濯など家の事や、家族のメンタルケアまで、家族のサポートを当たり前のようにしてくれていたお母さんが倒れると、家庭の機能がストップする。
やはりお母さんって偉大だな。と思う。
末期癌で徐々に動けなくなった奥様。
この方は、ご主人と息子3人家族。1人の息子様は家を出られて、2人の息子様が家で一緒に暮らして居た。
ご本人から、お子さん達が柔道部で食べ盛りの時は、大量に唐揚げを揚げても、食卓に出す前には半分以上なくなっていたというお話しを聞いていた。
毎日朝と夕飯はそのような状況だったと言う。
洗濯も回しても回しても…干しても干してもの状況だったと。
聞いただけで目が回る 。
よくテレビでみる大家族のお母さんだ。
この奥様は、ずっと主婦だったが、子供が手を離れてから学びたい事があり、自分で勉強をして、大学に入り卒業したというのだ。
すごい⟡.·*.
そんな頑張り屋の奥様が倒れてから、
ご主人は介護生活が始まった。
退職後は地域の活動に忙しく、訪問開始した時も自治会長さんでした。
私たちが訪問に入るまでは、奥様はゆっくりだけど歩けていたので、自宅でご主人がシャワーしてあげていた。
けれど、段々と動けなくなり、食事も排泄もサポートが必要な状態に。
息子さん達は朝早く~夜遅くまで仕事。
ご主人が家事のほとんどをする事に。
訪問に行くと、
毎日よく動くようになったから、シュッとスリムになって、シェイプアップしたと喜ぶご主人。
イキイキしている⟡.·*.
私たちがケアしてる最中が、お昼寝タイムで、隣り座ってカックンカックン居眠りスタート(*´艸`)
そのご主人から、
『看護師さん、すごいね、働いて家の事もして』と声をかけてくれる。
へ? (¯꒳¯٥)
(適当に家事している私には面目無いお言葉)
家事がどれだけ大変か、身に染みると話す。
そしてまた素晴らしいなと思うのが、
家事を楽しんでいるのだ。
夕飯のメニューを考えたり、こういうの作っておいしかったよとか教えてくださったり⟡.·*.
はたまた、これはどうしたら上手くいくのかとか、手抜き主婦代表の私に相談したり^^;
訪問している中で、主夫にならざるを得ない男性は割といる。
今でこそ、家事が得意な男性は多いが、
ある世代以上は上げ膳据え膳世代だと思うので、中々のハードルではないかと思う。
介護の面でも、最初はあたふたするだけで何もできなかったお父さんや息子さんが、私たちのケアを見て、「なるほど。そうやればいんだ。」とか「そんな簡単でいいの?」と、ケアを始めていく。
少しずつ介護に慣れ、自ら色々工夫し、オムツ交換から口腔ケアまで 見事にこなす方もいる。
初めはオムツなんて、前後ろ逆でも何でも良いのだ!と、私は思う。
オムツ交換をしてあげよう、自分がやるんだという気持ちを、私は大事にしたい。
確かにオムツ交換して下さい、口の中もきれいにしてあげてくだいと、言われても、介護なんてした事がなければ、それはわからないし、できないのが普通だ。
やんや言っても仕方がない。
とにかく一緒にやっていくしかない。
そして、
男の人の方が、真面目で慎重できっちり完璧にケアをしたりする。
こういう経過を見ていると、けっこう感動してしまうものだ⟡.·*.
私たちのケアだけでは、24時間の在宅療養は成り立たない。
介護する方がいてこそのもの。
大変な事は大変と共有し、不要な事はやらず、簡単に出来る事はどんどん簡単にする。
介護する人の肩の力を抜ける様に、サポートしていきたい⟡.·*.
ブラックホーーール
60代の女性。
ある難病である。
色々訳あっておひとり様。
人生色々あった様だ。
初めてあった時から、非常に細かく、
あれはダメ、これはだめ。
それはしないでください。
同意してもアドバイスしても、
否定のオンパレード…
人にかなりの厳しさ…
とにかく何事も重箱の角をつつくのだ。
訪問する看護師によっては、一挙一動コテンパンに指摘され、看護師が病んでしまい行きたくないと言うレベル。
または本人から、あなたはもう来ないで!と
一方的に出禁にされる…
なもので、訪問できる看護師がどんどん減り、気付いた時には行ける人がいなくなる。
こういう方は時折おり、
大変失礼だが、
訪問看護ステーションをとっかえひっかえすることになるタイプ。
地域の訪問看護ステーションで有名になるタイプだ。
数々の訪問看護ステーションをローテーションするような状態になる。
そうでないと、
看護師のメンタルが崩壊する。
そしてどこも誰も介入できなくなる。
本人もわかっている。
訪問看護が自分にとって必要なこと。
しかし、心の闇はブラックホールだ。
底なしなのだ。
難病とともに生きるつらさ。
孤独と寂しさ。
素直になれず、誰も受け入れる事ができない。
ご本人は、
いつも無表情か怒りか泣いているか。
でも、ご本人はとても美人なのです⟡.·*.
なので、笑顔はきっと素敵だろうなと。
どうしても笑顔がみたくなる私…
そこから対峙するように、否定はせず、話を聞いた。不満も悪口も何もかも聞いた。
言うべきことや必要な事はしっかり伝えるようにした。
そのうち気付いた。
彼女はやはり寂しいのだ。
全ては話そうとはしないが、合間合間で聞く、生い立ちや離婚や、裏切りや親友の死。
人を信用できなくなってしまったのだ。
相変わらず、毎度ヘルパーさんやケアマネや看護師etc..…への不満は訪問直後からノンストップ。
看護師目線で正直に言うと苦痛な日々だったのだが、
そんなこんなで、
いよいよ初めて笑ってくれる日が訪れた⟡.·*.
病気の事ととかではなく、
突然ご本人が話し始めたお話しで、
それが、まさかの
昔 熱烈に燃えたという、
西城秀樹のおっかけをしたというお話し(笑)
( ゚д゚)ポカーン
あまりにも急展開に訪れた、
素敵な笑顔と西城秀樹!
吹き出してしまった、私。
その人らしさがやっと見えた。
気づけばそこから、
少しずつ訪問看護を受入れてくれるような様子が見え、色々な話をしたり冗談も聞けるように⟡.·*.
今後、まだまだ乗り越えなければならない事はあるのだが、
ブラックホールからの突破口が見えたような瞬間でした⟡.·*.
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病気の人を看る事や、介護する方をサポートするのが私の仕事。
病気や介護だけの人生だと、日々過ごしてほしくないと思うのである⟡.·*.
今回も最後までお読み頂き、
ありがとうございました⟡.·*.
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