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写真は加工したら写真じゃ無くなるのか?についての加工有り派からの答え(続き)

さて、前回からの続きです。前回の記事はこちら


では、早速。写真は『真実を写すから写真』。。これは本当でしょうか?

写真という言葉は日本にカメラが伝わる以前からありました。明代(1300年)の中国で書かれた書物に、写真という記述があるそうです。カメラの発明が1800年代だから言葉の方が先にあったことになります。写真の本来の意味は、そっくりに描かれた肖像画。江戸時代まで日本でもこの意味で使われていたそうです。つまり水墨画でも浮世絵でも、そっくりに描かれた肖像画は写真。

日本でカメラが普及しだしたのは幕末の頃で、その頃のカメラは大きいし重いし外に持ち出すのは大変。カメラが最初に担った仕事は、室内で肖像を撮ることでした。この頃の偉人の肖像が写真で残っているのをよく目にしますよね。坂本龍馬とか新撰組とか。カメラは『そっくりな肖像画を自動で描く機械』という意味で写真機と呼ばれました。『真実を写すから写真』ではなかったんですね。

本来photographyは、photo=光 graphy=描く で光で描くという意味。ここにも真実を写すという意味は含まれていません。日本でも、光画(こうが・光で描く絵)という訳があてられた時期があったそうですが、結局写真という呼び名が定着してしまいました。もし油彩画、水彩画、光彩画、このような並びに写真が訳されていたら、もっと写真の未来は自由だったと思いませんか?


実際、絵画手法の延長として写真を捉えていたアーティストが、実験的な作品をいろいろ残しています。マン•レイ、デビッド•ホックニー、そしてピカソも。僕が知る限り世界で最初にライトペインティングを行なったのはピカソです。当時最新の発明品であった小さな電球を、ピカソの友人がピカソに見せるためアトリエに持ってきたそうです。しばらくそれを興味深く眺めるピカソ 。そしてカメラを持ってきてと友人に頼むと、カメラのシャッターを開いて電球で空中に絵を描き出したそうです。最新の発明品をすぐ作品に活かすピカソ、天才過ぎません?

彼らの時代にはフィルムカメラしかありませんから、暗室やコラージュ、長時間露光などのアナログ的な手法を駆使して、なんとか新しい光の絵を描こうとしていました。もしピカソが現代のデジカメやデジタル加工技術を使えたら。。どんな写真作品を作っただろうって、想像すると楽しいですよね。

最後まで読んでくださってありがとうございます。『写真は加工したら写真ではなくなるのか。』その問いに加工有り派からの答えとして書き始めましたが、結局はそれぞれのスタイルに誇りを持って写真を楽しめればいいわけで、この記事が少しでもそのヒントになれば嬉しいです。

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